知的財産研究室

弁護士高橋淳のブロクです。最高裁HPに掲載される最新判例等の知財に関する話題を取り上げます。

VOSS審取(商標)

2012-03-02 08:04:29 | 最新知財裁判例

VOSS審取

平成23年(行ケ)第10203号 商標登録取消決定取消請求事件 

請求認容

本件は登録取消決定に対して取消を求めるものです。

争点は本件商標と引用各商標との類比です。

裁判所の判断は23ページ以下。

本判決は、まず、証拠に基づき、「「VOSS」とはノルウェー産のミネラルウォーターのブランドで,ノルウェー語で「滝」という意味を有し,ノルウェーの山間の小さな町の名であるが,英語,フランス語,ドイツ語,イタリア語では「VOSS」という語は日常レベルの語としては存在しないことが認められ,以上からすれば,我が国において,本件商標から特段の観念が生じるとはいえず,また,本件商標の下段に「フォス」と記載されていることから,原則として「フォス」との称呼が生じる」と述べ、「「VOSS」を英語読みすると「ヴォス」となる」としつつも、「一般に,欧文字と仮名文字とを併記した構成の商標において,その仮名文字部分が欧文字部分の称呼を特定すべき役割を果たすものと無理なく認識できるときは,仮名文字部分より生ずる称呼が,その欧文字部分より生ずる自然の称呼とみるのが相当」と述べ、「本件商標においては,「VOSS」の下段に「フォス」と大きく記載されており,これが「VOSS」の読みを特定したものと無理なく認識できるから,本件商標の称呼は基本的には「フォス」である」と認定しました。

本判決は、次に、「本件商標と引用各商標とでは,そもそもイラストの有無を含め,外観において大きく異なる上,観念においても,本件商標からは特段の観念が生じないのに対し引用各商標からは,「缶コーヒーのボス」や「パイプをくわえた男性」といった観念が生じるものである。 そして,本件商標からは,基本的に「フォス」との称呼が生じるのに対し, 引用各商標からは,「ボス」,「ボスコーヒー」ないし「サントリーコーヒーボス」との称呼が生じ,ここでも非類似というべき、と判断し、「本件決定が「本件商標と引用各商標とは類似する」とした判断は誤りというべきであり,指定商品の類否について判断するまでもなく,本件商標と引用各商標につき商標法4条1項11号を適用した本件決定は誤りである」と結論づけました。

商標の類比判断について参考になる事例です。

 

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