博文(ひろぶみ)通信

浪江町の今をできる限り発信!

「HAPPY福島版」

2014-06-09 20:50:28 | 日記

 <ヤフージャパンニュースより>

ほんとに福島で撮ったのか?」と海外から疑われている「HAPPY福島版」登場人物の背景

熊坂 仁美 | ソーシャルメディアプロデューサー

2014年6月8日 9時23分
 

先日の「HAPPY福島版」に関する記事は大きな反響をいただき、たくさんの方にツイートやシェアをしていただいた。

ファレルの「HAPPY」福島版を作ってわかった、地域コンテンツの新たな可能性

この記事でも触れたが、このHAPPY福島版を作ったきっけの一つは、例の「美味しんぼ問題」だった。

あのとき町や県から抗議文なども出されたが、そのわりに私のまわりの福島の人たちは「またか」という感じであまり話題にもされてなかったように思う。

でも、私自身は憤りを感じ、もやもやしていた。

そのもやもやの理由を、福島市出身の弁護士石森 雄一郎氏が昨日の記事でうまく表現してくれていたので引用したい。

美味しんぼ「鼻血問題」 福島出身の弁護士はどう見たか?

問題となった『美味しんぼ』の回を読んで、私が率直に思ったのは、『こんなに簡単に結論が出せるはずがない』ということです。作中の『意見内容』が問題なのではなく、一つの意見にすぎないものを、ほとんど悩みを見せずに、いとも簡単に客観的事実として『断定』する表現姿勢が問題なのです。 福島県民ですら、いまだに悩み続け、判断できないことがらについて、いとも簡単に『福島は危険』と『断定』した作者の姿勢が、騒動の大きな原因です。作者はそのことに気付くべきです」

そう、そうなのだ。鼻血と放射線の因果関係というよりは、地元住民ですら判断できないことを、外部の人間がちょっと取材したぐらいで、あるいは福島に来てもいないのに「そこに住むべきではない」などと断言することが腹立たしかったのだ。

福島では、ローカルのニュース番組は毎日必ず震災、原発問題や風評被害についての報道が行われている。頻繁に、ではなく毎日である。

震災後はみな、自分の生活のあり方について考え、引っ越すのであれば仕事や家族はどうするかなど、正解はないだけに判断が難しい問題に取り組んできた。特に小さいお子さんをお持ちの方は、悩み抜いたと思う。

HAPPYに出演してくれた福島市内のテレビ番組制作会社にお勤めの宇田さんもその一人。

画像

仕事上、原発地域の取材をし、その現状をつぶさに見て、「自分はこれに対して何もできない」と達観したという。様々なリスクを一般の人以上に知っている宇田さんに「子育てに不安はなかった?」と質問を投げたとき、「もちろん不安はあるけど、ここで仕事をし、子育てをしていくと決めた」という明確な答えに、私は胸が熱くなった。宇田さんファミリーが持つ、お子さんのかわいさ、両親の愛情あふれる笑顔は、「福島のハッピー」を伝える大事なシーンである。

また、個性派ぞろいの出演者の中でも抜群の存在感で海外でも人気なのが「Monks(お坊さんたち)」だ。

画像

ご出演いただいたのは、伊達市の成林寺(じょうりんじ)の久間(きゅうま)住職(中央)。最初、私は恐れ多くて音楽に合わせて踊ってください、となかなか言えなかった。でも、普通なら断られて当然のふざけた申し出を快諾していただき、ノリよく軽快に踊っていただいた。

久間住職は被災地、被災者のための活動を精力的に行っており、今回の「福島だってハッピー」を世界に伝える、という趣旨にご賛同いただいただけでなく、画面が賑やかになるからと、お仲間の住職をお誘いいただいての出演となった。成林寺は、地域の復興支援の中心となっているお寺で、震災慰霊碑が建っている。

曹洞宗復興支援室分室/全曹青災害復興支援部

そして冒頭シーンで新幹線を降りて改札を出てくる会社員風の男性は、JR福島駅の狩野駅長だ。

なぜ駅長なのに制服を着ていないかというと、非公式の出演だから。公式に出演許可を得るとなると、大きな組織だけに時間がかかってしまう。なるべく早く動画をリリースしたい、というこちらのリクエストにお応えいただき、駅長自らのアイデアで、会社員として新幹線から降り立ちホームで踊るというシーンを撮ることになった。

画像

YouTube動画では最初の15秒の「つかみ」がとても大事で、正直、ここでは中年男性よりも魅力的な若い女性を持ってくるのが良いのだが、たとえ視聴者を少しぐらい失っても、トップを飾るのは、風評被害払拭に役立つならと社内から批判されるのを覚悟で腰を振ってくれた狩野駅長しか考えられなかった。

福島に住んでいる人というのは「なんとなく」ではなく「それでも福島に住む」と決めた人たちだ。だからなのか、HAPPY出演者に限らず、突き抜けた明るい笑顔を持つ人が多い。福島に来てもらえれば、それが演出でもやらせでもないことがおわかりになると思う。

「HAPPY」福島版のYouTubeのコメント欄は、そのほとんどがポジティブなものだが、一部海外の「放射脳」の人たちの凝り固まった議論の場にもなり、なかなか賑やかだ。

「福島がハッピーだって?何を言ってるんだ」「よくできた東電の宣伝だ」「政府のプロパガンダにのせられた間違った人たち」「これが福島で撮影された証拠がどこにあるんだ」「マスクをした女性が出てくるではないか」などのコメントも。

Web上にまき散らされた情報を、確認もせずに盲信し、誰かを「悪者」「嘘つき」に仕立て上げるのが大好きな「アンハッピー体質」の人たちが世界中どこにでもいるんだ、とわかってむしろ面白い。こういう人たちを集めて「HAPPY」を踊らせたら、いったいどんな動画ができるのだろうか。怖いもの見たさでやってみたい気もする。

確かに、福島に関するすべてのネガティブな情報を否定はしない。

でも、福島といっても広い。いろんな人がいるし、いろんな人生を送っている。ハッピーじゃない人もいるけれど、ハッピーな人もたくさんいる。

そしてここ福島にも明るい未来が必ずある。

海外からのこのコメントが私的にはとても気に入っている。

「すばらしい。この動画が教えてくれるのは、ハッピーは状況ではなく、選択だということだ」。

「HAPPY福島版」は再生回数6万回を超えた。でもこれからまだまだ、世界中もっとたくさんの人に見て欲しい。

そしてこの動画がきっかけで、カタカナの「フクシマ」といういやらしい呼称が「ハッピー福島」になり、世界的な「HAPPY FUKUSHIMA」になることを願っている。

ぜひもう一度、HAPPY福島を見て、シェアをしていただければうれしい限りだ。

 

<iframe src="http://www.youtube.com/embed/B-pk8z8rX2U?rel=0&wmode=transparent" frameborder="0" width="100%" height="315"></iframe>

オフショット版もどうぞ。

<iframe src="http://www.youtube.com/embed/B5d7HCPVfd8?rel=0&wmode=transparent" frameborder="0" width="100%" height="315"></iframe>

※追記(2014.06.08)

ソーシャルメディア業界で絶大な影響力を持つガイ・カワサキ氏(Google+でのフォロワー600万人)がこの動画を「私の意見ではベストのHAPPY」ということで、二度にわたり紹介してくれたため、世界にこの動画が広がっている。感謝。

熊坂 仁美

ソーシャルメディアプロデューサー

慶應義塾大学卒業後、19年間の専業主婦生活を経てアルバイトで社会人デビュー。インタビューライターとして活動していた2010年ソーシャルメディアと出会い研究を始める。企業のソーシャルメディア担当者研修とコンサルティングを行う株式会社ソーシャルメディア研究所代表。著著に『Facebookをビジネスに使う本』『YouTubeをビジネスに使う本』など。NHK「趣味DO楽」にてデジタル講座のレギュラーを務める。