流通向けが主力のシステム開発会社、イークラフトマン(札幌市)は輸出生鮮品の輸送中の温度を1箱単位で管理できるシステムを実用化する。小型装置を荷物に取り付け、発送から現地の消費者に届くまでの温度変化を24時間記録。配送後にスマートフォン(スマホ)を近づけデータを読み取り、クラウド上に保存できる。道産生鮮品の海外での品質維持を後押しし、輸出支援につなげる。
10~11月にベトナムで実証事業を行う。現地の小売店やレストランと連携し、道内からホッケなど生鮮品を発送し、試食会を開く。高い品質を保ったままで提供できるかどうかを検証すると同時に、現地消費者に道産生鮮品をPRする。スマート・コールドチェーン事業として、北海道経済産業局が補助金を出して支援する。
鮮度や品質維持のための温度管理が徹底されているかどうかを確認するため、名刺入れサイズの小型の温度管理装置を開発した。魚介類や野菜など生鮮品を入れた箱に入れてそのまま輸出、試食会前に回収して、温度の変化を切れ目なく分析。温度管理が不徹底な場合の原因を探る。
ベトナムでの輸送では温度管理が徹底されていない場合があり、生鮮品は複数の物流業者を経て顧客に届くまでに放置されて傷んだり、冷凍と解凍を繰り返して品質が落ちたりするケースも多いという。24時間の温度管理で責任の所在を明確にし、問題の物流会社などに改善を促し、輸送体制の水準を引き上げる。
イークラフトマンは温度管理の徹底を武器に、道産食品の対ベトナム輸出の支援事業にも乗り出す。得意とする取引伝票処理システムを活用し、発注と受注をインターネット上で管理。発送から流通までを包括的に支援する。来年2月のベトナム旧正月(テト)をめどに事業を本格化する。
同社の伝票処理システム「クイックコネクトサービス」は商品の受発注に加え、代金請求や支払いも含めた取引情報を一元管理できるクラウド型の電子データ交換(EDI)システム。導入費用は約5万円と安価で、伝票処理の負担を大幅に軽減するほか、数量の間違いも簡単に訂正できる。
同社は2007年の創業で、16年3月期の売上高は1億5000万円。伝票システムが好調で、5年間で2.4倍の増収となっている。14年にはベトナム・ホーチミンに現地法人を設立した。
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北海道は特に海産物のベトナム輸出に力を入れているようですね。以前にも書きましたが、ベトナムを始め東南アジアはテト正月が1年で一番のビジネスチャンスだと思います。私もテト正月前に滞在したことがありますが、その購買意欲はすさまじいものがあります。
青森県はリンゴの輸出に見出そうとしているようですが、ベトナムは台湾と条件が全く同じかと言えば、少し違うように思います。輸出拡大に向けた慎重な戦略作りが望まれるところです。