i氏の海外生活体験記

<part1>ジャカルタ滞在記 <part2>ベトナム滞在記 <part3>ネパール滞在記
<part4>しもきた

緊急時はヘリポート必要

2012-05-31 07:02:43 | 大間原発の中間貯蔵化
5/30毎日新聞が伝えています。

-大災害時、青森の275集落孤立懸念 ヘリポート選定急務-

 地震や大雨の大規模災害時に青森県内で275の集落が孤立する恐れのあることが30日、県の調査で分かった。山間部や沿岸部に多く、避難所では585カ所に上る。県は避難経路を確立する必要があるとして、臨時ヘリポートの適地選定を盛り込んだ防災公共推進計画づくりに着手した。

 県内の農業・漁業集落のうち、役所や役場に至る道路の途中に土石流や地滑り、急傾斜地といった危険箇所がある集落を把握。役所への道路が全て寸断されるケースを抽出した。

 その結果、孤立する可能性のある集落は三八地方や下北地方で特に多いことが分かった。市町村別ではむつ市29カ所、三戸町26カ所、新郷村25カ所、深浦町、東通村19カ所など。

 孤立するとされた集落と避難所のうち、8割強は指定ヘリポートや代替ヘリポート、小型船舶を利用できる見通しが立った。残る41集落、69避難所は輸送手段が確保されておらず、ヘリポート候補地の選定などが急務となった。

 県は調査結果を基に、防災公共推進計画を来年度にかけて新たに策定。市町村と連携し、避難経路や避難場所の確保を進める。調査は2009年度から実施し、結果は市町村に通知した。今回は、東日本大震災と集中豪雨被害を受けて、初めて報道機関に公開した。

-引用終わり-


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地熱小説「マグマ」イントロ

2012-05-30 10:46:04 | 下北の地熱発電
WowowのHPよりあらすじイントロをご紹介します。6/10(日)22:00より全5回です。地熱関係者と温泉女将は必見です。

【イントロ】
 日本のエネルギーのあり方は変貌した。以降、大きな期待とともに注目されているのが“自然エネルギー”。中でも地球の中心にあるマグマの熱を利用するは地熱発電で、安全性が高く二酸化炭素の排出も少ない。日本は地熱資源量世界第3位にも関わらず、充分に活用できていないのが現状だ。そんな地熱発電は、今後のエネルギー問題を大きく解決しうるひとつの手段として期待が寄せられている。

 未来を担うエネルギーを開発しようと地熱発電にを軸に、彼らの情熱に打たれ葛藤する外資系ファンドのエリート女性社員、さらには権益を狙うファンド社長や政治家らのスリリングな人間模様を描いたのが、連続ドラマW「マグマ」だ。原作は「ハゲタカ」を大ヒットさせた真山仁。

 主演には、NHK連続テレビ小説「カーネーション」の好演が話題となったばかりの尾野真千子を迎える。

【停滞する日本の中、未来への夢に挑む人々の熱い思いが湧き上がる! 】
 外資系ファンドに勤める妙子(尾野真千子)は、社長の待田(津田寛治)に、買収したばかりの不振企業の再建を任される。その企業は、地熱エネルギーを供給・開発している「日本地熱開発」という地方の小さな会社だった。
 左遷ではないかと不満に思いながらも、事業を立て直すべく乗り込んだ妙子は、現社長の安藤(谷原章介)に経営状況を厳しく追求。社員リストラと赤字部門閉鎖による合理化を発表し、長年研究に命を燃やしてきた所長の御室(長塚京三)らの猛反発を受ける。収益性を確保し、企業を立て直すという信念のもと突き進む妙子。
 しかしやがて「日本の未来を担うエネルギーを開発する」という御室らの思いと、地熱発電の可能性を知るにつれ、自分の果たす役割を見つめ直すようになる。そんな中、日本地熱開発の前には、利権を狙うやり手政治家の龍崎(石黒賢)や、原子力発電を推進する大学教授・宇田川(大杉漣)らが立ちふさがる。

【地熱発電】
水力発電は、水が流れる落差で、水車と繋がっている発電機を回す。
火力や原発は、水を蒸気にして、その勢いでタービンと繋がっている発電機を回す。
つまり、水を沸騰させるコンロの役割をするのが火力なのか原子力なのかという違い。

地熱発電の場合は、地球の中にある天然のコンロ(=マグマ)を使う。地下にはマグマによって高温になった地下水が溜まっている。そこに、深い井戸を掘ってパイプを通してやると、地下から熱水が噴き上がって、地表に出た時には蒸気になる。地熱発電は、その水蒸気でタービンを回して電気を起こす。

【高温岩体発電】(添付図参照)
ドラマの中に登場する高温岩体発電は、地熱発電の発電方式のひとつ。地上から水を勢いよく流し込み、その水圧によって高温の岩盤に亀裂を入れて人工的な水溜りをつくる。その水溜りがマグマに熱せられて熱水になる。
例えると、マグマが火で、岩盤がフライパンのようなイメージだ。その熱いフライパンに水を入れると蒸気があがって、タービンを回すことができる。
化石燃料を一切使わないからCO2の排出もほぼゼロ。
天候にも左右されず24時間365日安定供給できる。
しかも、日本は世界第三位の地熱資源国で、原発約20基分にあたる資源量が眠っているといわれている。

-引用終わり-

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環境シンポジウム「地熱エネルギーのポテンシャルを考える」

2012-05-30 03:28:29 | 下北の地熱発電
下記のシンポジウムに参加することにしました。HPより抜粋します。

-6/26開催 SDM研究科主催 日本経済新聞社寄附講座環境シンポジウム「地熱エネルギーのポテンシャルを考える」-

 2011年3月の東日本大震災を契機に、政府主導により日本再生のための戦略としてさまざまな検討が進んでいます。特に、エネルギーに関してもグリーン・イノベーション戦略の強化と前倒しを軸とした、新たなベストミックス実現の戦略が議論されており、これまで以上に再生可能エネルギーの導入の機運が醸成されつつあります。本シンポジウムでは、我々の新しいエネルギーの選択肢の一つである地熱エネルギーの可能性について考えます。日本の現状や課題をご紹介するとともに、海外の実例の一つとして、ニュージーランドでの地熱エネルギー活用をはじめ、技術的な側面からその専門家にご講演いただきます。地熱エネルギーそのものを知るとともに、地域との連携や社会システム全体における展望を見出す機会となりますので、ぜひご参加ください。

日時
2012年6月26日(火) 13:30~16:30

場所
慶應義塾大学日吉キャンパス 協生館2階 藤原洋記念ホール

スケジュール
13:30~13:40
  ご挨拶
13:40~14:20
  「温泉と共生する地熱発電のあり方について」
     安達 正畝 氏 (奥会津地熱株式会社 代表取締役社長)
14:20~15:00
  「New Zealand and Japan: Opportunities in Geothermal Energy」
     ステファン・コルベット 氏 
     (ニュージーランド大使館第一等書記官 地熱エネルギー担当)
(休憩)
15:10~15:50
  「小型バイナリー発電システム『マイクロバイナリー』の技術と小規模地熱温泉発電への適用」
      角 正純 氏 (株式会社神戸製鋼所 機会事業部門冷熱・エネルギー部
                エネルギーグループ グループ代表)
15:50:~16:30
  パネルディスカッション「持続可能社会へのエネルギーミックス
   ―日本の地熱エネルギーの視点から社会システム全体を考える」
      パネリスト:安達 正畝 氏、ステファン・コルベット氏、角 正純 氏
      モデレータ:佐々木 正一 (慶應義塾大学大学院SDM研究科教授)

-抜粋終わり-

温泉との共生のヒントになるかも、です。また、温泉発電のメーカーさんも講演します。

さて、地熱開発に反対している方々の意見を拝見しますと、地熱開発により生じる不都合な事実を示して「信用できない」というような展開が多いようです。原発推進の時と同じ説明会のやり方だ、と危惧する方もいます。

しかしながら、大部分の課題は「話せばわかる」という程度のものです。課題を最初から明らかにしないのがマズイのです。既存発電所のデータをすべて開示して専門家の方がコメントしてあげれば良いではありませんか。

「もし温泉が枯れたら」という究極の課題には「地熱から熱水を分けてもらう」あるいは「追加ボーリングを補助してもらう」という協定を結べば良いでしょう。地下のことですからいくらモニタリングをしても100%はありません。熱水溜まりの位置や規模にもよります。また温泉発電導入の補助をしてカスケード利用を図る、というのも有力です。

来月からは地熱ドラマ「マグマ」も始まり、マスコミにもより一層取り上げれれるでしょう。ただ、ソーラーとは違いリードタイムが10年くらいあります。先ず簡易な温泉発電を広めて機運を高めて頂きたいと願っています。




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唐津市、再生エネ導入は「市の責務」として条例化へ

2012-05-29 23:53:52 | しもきたインフラ
5/29佐賀新聞が伝えております。

-再生可能エネルギー導入は「責務」 唐津市が条例提案-

 唐津市は29日、再生可能エネルギー導入により低炭素社会づくり推進を目指す条例案を5日開会予定の6月議会に提出すると発表した。県内市町では初めての条例案で、太陽光発電や風力発電など再生可能エネルギーの導入を「市の責務」と位置づけている。

 条例案は福島第1原発事故を踏まえ、前文で「エネルギー産業とともに発展した唐津市だからこそ、持続的な発展を目指す低炭素社会への行動が必要」と明記した。

 再生可能エネルギー導入への努力が企業、市民双方にとっての役割と強調し、エネルギー産業の人材育成、市民に向けた学習や普及啓発の推進、取り組みを支えるための財政上の措置を求めている。市は年度内に基本計画を策定する考え。

 坂井俊之市長は会見で「唐津市として低炭素社会実現に進むという決意を示した。条例を通じ、市民と一緒に取り組んでいきたい」と述べた。

-引用終わり-


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下北送電網の整備

2012-05-29 02:06:11 | かわうち湖の海水揚水発電
経産省が2012.4に「再生可能エネルギーの導入拡大に伴う追加的コスト」と題したレポートを公表しています。
つまり、再生可能エネルギーをいくら進めても「送電網の整備」という受け入れ側がまだできていない、というまとめです。

追加必要な要点をピックアップします。

【1.送電網の整備】
 ①基幹送電網の整備
  北本連系線(津軽海峡横断)などの増強必要
  北海道、東北のみで1.2兆円のコスト増
 ②地内送電網の整備
  特に有望な風力地域に対応した整備が必要
  北海道、東北で3,100億円
   (うち下北で123億円、容量は34万kw→84.5万kwへ、既に原発用に整備途中)

  *将来、私の構想する「下北再生エネルギー半島」が完成すると、
   海水揚水発電、地熱発電、温泉発電、風力発電、小水力発電、海流発電、洋上風力発電の容量をカバー。
   ただし、高岩体発電が成功すれば原発代替の可能性もあるので増強必要。

【2.バックアップ電源又は蓄電池の整備】
  発電が不安定な風力、太陽光を大量に電力系統に導入すると以下のデメリットが発生
 ①電圧の変動
 ②周波数の維持困難
 ③余剰電力の発生
  解決には「ガスコンバインドサイクル発電」や「揚水発電」等のバックアップ電源、あるいは
  変電所に「蓄電池設置」などが必要。ただしコストが高い。
  再生エネルギーで先行するヨーロッパ諸国に経産省は12月ヒアリング済み。

  *ここでバックアップ電源として「かわうち湖海水揚水発電」の存在が非常に重要な意味を持ってくるのです。

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一戸町、ベトナム学生を町の医師に

2012-05-28 22:41:57 | ベトナム滞在記
5/28東奥日報が伝えておりました。

-ベトナム学生を町の医師に 医療過疎で岩手県一戸町-

 医師不足に悩む岩手県一戸町は、将来町の医師になってもらおうと、ベトナムから女子学生(18)を招き、医師免許取得を支援する独自の医師養成策に乗り出した。厚労省によると、自治体が海外の学生を医師に養成する例は初めてという。

 町は人口約1万4千人、開業医は4軒だけで、産科の医師がいないなど医療過疎が深刻。「10年スパンの取り組み」=稲葉暉町長(66)=で優秀な医師を確保する狙い。

-引用終わり-

なんか感慨深い記事です。お互い幸せに暮らせるのであれば国境はあまり関係ないのかも知れません。

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青森リンゴ、3国開拓へ

2012-05-28 07:31:54 | あおもり
5/28読売新聞青森版が伝えておりました。

-リンゴ輸出 3国開拓へ-

 県とリンゴ輸出団体などで構成する「県農林水産物輸出促進協議会」は、大半が台湾に輸出される県産リンゴの海外市場拡大のため、中国、インドネシア、ベトナムの3国を新市場として重点的に開拓する取り組みを今秋から始める。

 財務省の貿易統計によると、2010年の国内リンゴの国・地域別輸出量(9割程度が青森県産とみられる)は最大の台湾(1万5912トン)に比べると、中国(405トン)、インドネシア(62トン)、ベトナム(3トン)は「ほぼ未開拓といってもよい状況」(県内のリンゴ流通業者)だ。

 台湾への輸出は既に頭打ち状態のため、協議会は、大規模人口を抱え、経済成長で富裕層も増加傾向にある3国を将来的な大消費地として位置づけた。

 世界最大の人口を抱える中国対策として、10月に輸入業者を招き、国内商社や生産者との商談を企画するほか、来年1月に上海の百貨店などで販売・試食会を展開する。また、大きさや甘さで基準をクリアした県産「ふじ」を「プレミアムふじ(仮称)」と銘打って販売し、高品質なブランドイメージの浸透を図る。

 インドネシアについては11月に首都ジャカルタで現地輸入業者との商談や百貨店での試食・販売を予定。ベトナムも同月に輸入業者を招いて、産地視察などを実施する。

 協議会会長の黄孝春・弘前大教授は「新しい国では、まず県産リンゴに興味を持ってもらうことが必要。品質の差別化を図りたい」と意気込みを話した。

-引用終わり-

ベトナムはわずか3トンですか・・・。

今年、あと4回ベトナム予定ありますので3kgくらいずつ持って行きましょうかね。輸出量3.012トンに増えますね。


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福島の観光、現実と課題

2012-05-27 08:42:43 | 一般
5/26週刊ダイヤモンドから抜粋します。

-復興へ日本の試練-

福島のホテルや旅館は、地震と原発事故で観光客が激減する中、自治体からの補助金や東京電力の賠償金によって何とか食いつないでいる。訪れる殆どが県内客で、県外客を如何にして呼び戻すかが喫緊の課題となっている。

原発事故の直後、8月まで入っていた宿泊予約はすべてキャンセル。86万人、損害は74億円に上った。2次避難先で被災者を受け入れて凌いでいたところも大幅な売り上げ減はカバーできず、従業員にかなり辞めてもらうしかなかった。福島全体では売上高は前年比で半分程度と低迷が続く。震災前は組合に加盟するホテルや旅館が615軒あったが、すでに70件が廃業に追い込まれている。

業績不振の最大の原因が原発事故による風評被害であることは間違いない。反面、もともとホテル、旅館業界が抱えていた問題が震災によって露わになった部分もある。旅行代理店への依存体質だ。大規模なホテルほどそうした傾向が強く客数減の影響も大きい。震災で代理店がツアーを組めなくなったからだ。代理店を経由しない直販の客を増やす方針に変える必要に迫られている。

また、副作用も出てきた。「東電の賠償金に依存していると、働く意欲をなくす旅館も出てくる」と警鐘を鳴らしている。しかし、賠償金は、一過性のものに過ぎない。施設改修や次に備える投資に回すべきなのだ。

現時点で、支援や補償は必要だ。ただ、やり過ぎるとかえって自立を阻害してしまう難しさがある。「ピンチをチャンスと捉えて、我々は自ら変わらなければならない」と。支援や補償に依存するのではなく、それらを自立の糧にできるか。観光王国・福島の復興はそこにかかっている。

-抜粋終わり-

いま私は「地熱と温泉の共生」というところを勉強中です。地熱開発を推進し、下北を「エネルギー半島」とするためには「地域の活性化」「雇用促進」をセットに提言するべきと考えています。まちづくりとの一体整備の視点も重要です。

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「レンズ風車」がエネルギー革命を起こす

2012-05-26 11:12:43 | 下北の風力発電
5/26週プレnewsで伝えておりました。

-発電量は従来風車の3倍。「レンズ風車」がエネルギー革命を起こす-

騒音や立地、バードストライク……など、再生可能エネルギーの旗手として期待されるも課題の多い風力発電。しかし、そうしたデメリットのほとんどを克服し、日本、いや世界のエネルギー事情を一変させるかもしれない、次世代型風車が始動した。その仕組みとは?
***

再生可能エネルギーの比率を高めていこうというのは、先進国に共通した目標だ。「太陽光」「風力」「バイオマス」が3本柱といわれるが、世界的に最も期待されているのは実は風力発電である。例えば、EU諸国は2020年までに、米国は2030年までに、全電力需要の20%を風力に代えるという政策目標を掲げている。

とはいっても、風力発電には課題もある。敷設面積の大きさの割に発電量が少なかったり、鳥が巻き込まれて死亡する「バードストライク」や運転中の騒音被害など、デメリットも多い。

しかし、そうした欠点のすべてを克服し、従来の風車の3倍の発電量(!)を誇る革新的な風車が注目されている。九州大学の大屋裕二教授が率いる応用力学研究所が発案した「レンズ風車」がそれだ。一見すると、風車の翼が筒状のもので覆われていて、それ以外は特別変わったところはなさそうだが……。

この風車のいったいどこに、従来の3倍もの電力を生む秘密があるのか? 日本の風力発電の救世主と目される「レンズ風車」の仕組みに迫るべく、大屋教授に話を聞いた。

■風車のあらゆる弱点を克服!

日本の場合、風力発電の普及には地理的な難点がある。早くから普及しているヨーロッパと比べて風速が弱く、風向きも頻繁に変わるからだ。しかし、そうした弱点を克服し、安定した発電量を得るため、大屋教授らは新たな風車を開発。それが「レンズ風車」だ。レンズが光を屈折させて太陽光を集めるように、風車の翼(ブレード)を囲む筒状のディフューザ(集風加速装置)が風を集めるところから名づけられた。

ディフューザは、メガホンのように両端のサイズが異なり、後方にはつばがつけられている。吹きつける風がそこを通過すると風の渦が発生し、風車の後方の圧力が低下する。風は圧力の低いほうへより流れる性質を持っているため、このつば付きディフューザによって増速された風が一気にブレードに流れ込む仕組みだ。

風車の発電量は風速の3乗に比例するという法則がある。「レンズ風車」では風車に当たる風が1.4倍に増速され、発電量は1.4の3乗でおよそ3倍になる。実用化を考えていくなかでレンズの幅は次第に短くなり、今では写真のようにブレードを囲む輪っかのような小ささになった。このようにディフューザのコンパクト化は進んだものの、それでも従来の風車の2倍以上の出力を誇っている。

続いて、風車の問題点として指摘される運転中のノイズの問題はどう解決していったのか? 大屋教授が話す。

「普通の風車はブレードが剥き出しのため、ブレードの先端で発生した渦がらせん状に残り騒音の源になってしまうのです。でもつばつきディフューザにすると、ディフューザの内壁面でブレードの先端渦と正反対の渦ができ、互いに干渉することで先端渦が消え、騒音を打ち消すのです。考えてみると航空機のウィングレット(主翼端につけられた小さな翼)とか、潜水艦のスクリューを覆うダクトも同じ仕組みなのです」

研究所のある九州大学筑紫(つくし)キャンパスには出力3キロワットという小さめのレンズ風車が回っていた。確かに、近づいてみても驚くほど音がしない!

また、バードストライクの問題も克服してみせた。

「レンズ風車はバードストライクもまったくありません。鳥はディフューザの輪っかがあることを知覚するんです。するとブレードの部分に飛び込まずに輪の上で休んだりしてます(笑)。それでも気になるようならディフューザにネットをつけてもいい。性能が落ちることはありません」(大屋教授)

さらに、風力発電で一番怖いとされるのは、風車への落雷による発電機の損傷やブレードの破壊。ところが、ディフューザの外枠部分には避雷針をつけることが可能なので、落雷の心配も無用だ。

ちなみに、首が固定された通常の風車と違い、レンズ風車は風の強いほうへと首が回る「風見鶏型」の設計を施している。これもレンズ風車の大きな強みである。

騒音の心配もなく、空を飛び交う鳥の命をしっかりと守る文字どおり環境共生型の発明だ。

レンズ風車の生みの親、大屋裕二九州大学教授は、「風にしろ海洋にしろ、自然エネルギーを使うには自然を知ることが大事」と語る。

博多湾沖で実証実験中の洋上発電ファーム。レンズ風車2基と太陽光パネル、それに大型の蓄電池が設置されている

■漁礁にもなる! 大型洋上発電ファーム

風力発電の強力な“追い風”となるレンズ風車。いわばその“発展形”として、大屋教授は大がかりな計画に乗り出している。名づけて「洋上浮体式複合発電ファーム」(洋上発電ファーム)だ。海の上に浮体型のプラットフォームを設置して、風力、太陽光、潮力や波力など各種の自然エネルギーによる発電や、漁業基地の建設を試みる壮大なアイデア。世界で初めての実証実験が今、博多湾で進行中だ。

再生可能エネルギーは「面積機器」と呼ばれるほど、とにかく広いエリアが必要。陸地が狭く平野部も限られている日本ではどこに設置するかが大きな課題だ。

そこで大屋教授は考えた……、「海に出ればいいじゃないか!」と。四方を海に囲まれた日本は、領海を含めた排他的経済水域の面積では世界第6位を誇っている。

「海上の風は陸上よりも何割か強く、四方からキャッチできるので、風力発電に向いています。昨年12月に博多湾の沖合で最初の洋上ファームをスタートさせました。ハチの巣形の浮体に3キロワットのレンズ風車2基とソーラーパネルを設置しています。まだ小規模で、いわばステージ1。『これが数倍大きくなると実用的になりますよ』と、まずは皆さんに知ってもらうのが先決です」(大屋教授)

そして、1年間の実証実験を行なった後に、大規模な洋上ファームを計画中だ。大屋教授が話す。

「ステージ2は玄界灘に連結式で最大外径280m程度の浮体ファームをつくるものです。200キロワットの中型レンズ風車を5基置き、合計で1000キロワットになる風力発電を計画中です。ソーラーパネルも合計1000キロワットにして、合わせて2000キロワットの発電を目指します」

規模をわかりやすくたとえるなら、このステージ2を230ファーム設置すると、福島第一原発1号機(46万キロワット)と同レベルになる計算だ。

こうした浮体式の風力発電は福島県沖でも計画があるものの、地元の漁業組合との調整が課題。しかし、同様の心配はないらしい。

「漁業組合が大変協力的で、逆に『早く建てんね』と言われるくらいです(笑)。スウェーデンやデンマークでは洋上風車の周りになぜか魚が集まり、いい漁礁になるという話も聞く。漁業の敵ではないんですね」(大屋教授)

洋上ファームは自然エネルギーの集合体としてだけではなく、漁業との相乗効果も期待できるのだ。大屋教授が続ける。

「浮体式のキーワードは多目的です。さまざまな発電もすれば、プラットフォームの下は生け簀(す)にもなり養殖場にもなる。50m四方以上あるならマグロも可能といわれたけど、『九州だからハマチとかブリとかでよかよ』と(笑)」

陸地の狭さを逆手に取った洋上発電ファームの建設は、島国日本の本領発揮。漁業の振興にも役立てていく取り組みに大きな可能性を感じた。

■洋上風車で日本がエネルギー輸出国に?

環境省の2011年の調査によると、日本の陸上と洋上の両方で、設置可能と思われるすべての場所で風力発電を行なった場合の「エネルギー資源量」は約19億キロワットで、そのうち洋上は16億キロワットという。

もし、全体の1割強で風車が稼働すれば、日本の電力10社の最大電力需要である2億キロワットに届き、日本に必要なすべての電力を賄(まかな)うのも夢ではない。大屋教授も語る。

「領海の風を全部使うわけにはいかないから、僕たちは10分の1くらいに考えています。それでも1.6億キロワットをつくれる試算です。実験は始まったばかりですが、日本がいつかエネルギーの輸出国になる可能性もあるでしょう」

レンズ風車の目前の課題は、生産コストを今よりも下げて、世界市場で競合できる状態にもっていくこと。そして、受注を増やし、地域の中小企業を活性化できるような生産体制づくりを、大屋教授は目指している。

「再生可能エネルギーは産業の裾野が広い。例えば、ディフューザの素材は航空機のボーイング787と同じCFRP(炭素繊維強化プラスチック)を使うとより軽くなります。実はこの素材は日本が世界で7割のシェアを持っている。注文を受けた地域ごとに地元の中小企業に製作をお願いする方法が取れたらいいですね。するとコストも抑えられ、雇用も増えることになる」

今年7月に再生可能エネルギーの買取価格が発表されると、多くの企業や団体が風力発電事業に参画するだろう。環境に優しく地域分散型の産業を生む可能性があるレンズ風車、そして洋上ファームが、エネルギーの革命児となる時代が、もうすぐやって来そうだ。

(取材・文・撮影/長谷川博一、写真提供/九州大学 応用力学研究所)

-引用終わり-

ようやく私の推奨する「風レンズ風車」の記事が載りました。メーカー社長は5kw製品を今年100基くらいで将来は年1,000基こなしたい、と言っておりました。コストを大幅に下げるためです。現在は300~400万/基と言われています。まだ、ソーラーの1.5倍します。

取りあえず5kwを公共施設とか福祉施設とかに設置して様子をみたいですね。カットインが3m/sなので下北はきっと何処でも大丈夫でしょう。

大型洋上風レンズ風車も将来期待が大きいです。繰り返しになりますが、この大型洋上を津軽海峡に是非ほしいのです。


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2030年の原発比率

2012-05-25 22:13:52 | 大間原発の中間貯蔵化
5/25朝日新聞で伝えています。

-30年の原発比率、0~35%の5案に-

 2030年に国内電力のうち原発の割合をどれくらいにするかについて、経済産業省の審議会は24日、0~35%の五つの選択肢を最終案として示した。野田政権は原発への依存度を下げていく方針だが、選択肢は原発ゼロから原発推進まで幅広い。政権は選択肢から一つを選び、今夏につくる「新エネルギー基本計画」で政府目標として定める。

 総合資源エネルギー調査会の基本問題委員会で示された。ただ、「35%」は外すべきだとの意見が出たため、次の28日の会合でも話し合い、選択肢を最終決定する。その後、関係閣僚でつくるエネルギー・環境会議に報告し、この会議が今夏に政府目標を決める。

 五つの選択肢は、30年の原発の割合を、「0%」(原発を早くゼロにする)▽「15%」(原発依存度を減らすが、その後は未定)▽「20~25%」(原発が今後も一定の役割を担う)▽「35%」(原発を新設し、今ぐらいの設備を維持する)▽「割合を事前に決めない」。それぞれで火力発電や水力発電、太陽光や風力などの自然エネルギーの割合も示した。

-引用終わり-

この記事はおかしいと感じませんか? 単に「原発をどれくらい残すか?」と数字を並べているだけです。
もっと言うと、この5通りの数字を示すのに経産省は何カ月議論しているのでしょうか。

大切なのは「再生エネルギーをどれだけ伸ばせるか?」という最大目標値を定める議論でしょう。
政府も首相も「脱原発依存を目指す」とすでに明言しているではありませんか。
(大飯原発+α)の有り無しの2通りしかありません。

ポイントの外し方は、もはやただ事ではありません。


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海洋発電を推進、政府が方針案

2012-05-25 10:43:24 | 津軽海峡の海流発電
5/25毎日新聞が伝えております。

-再生可能エネルギー:海洋発電を推進 政府が方針案-

 洋上風力など海洋の再生可能エネルギーを利用した発電を推進する政府の方針案が24日、判明した。来年度以降、大規模な実証実験海域「実証フィールド」(仮称)を全国の自治体から公募して設定し、海洋発電の早期実用化に政府を挙げて乗り出す内容。東京電力福島第1原発事故を受け原子力重視からの転換を迫られる中、海洋エネルギーを新たなエネルギー政策の柱の一つに位置づける。25日の総合海洋政策本部(本部長・野田佳彦首相)で決定する。

 日本は領海と排他的経済水域(EEZ)を合わせた面積が約447万平方キロ(世界第6位)に上る海洋大国。海洋発電は洋上で吹く風や波の上下動、潮の満ち引き、海中の温度差などを利用する。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の09年の試算によると、日本の全ての海岸線に打ち寄せる波の潜在的な発電能力は、原発36基分に相当するエネルギー量だ。

 政府の方針案は洋上風力や波力、潮力などの幅広い発電方式について、今年度中に条件を示して全国の沿岸自治体から実証フィールドを公募。13年度にまず1カ所以上を選定し、順次増やしていく。実証実験には技術の蓄積がある大手企業だけでなく、ベンチャー企業の参入も想定。海底ケーブル敷設などへの財政支援を行う。

 方針案にはこのほか、各地の海洋エネルギーの潜在力をまとめた「海洋台帳」の整備や、発電施設の安全性を担保する新制度の検討も盛り込まれた。

 震災後、太陽光や風力などの再生可能エネルギーが脚光を浴びるようになったが、「島国の日本は陸上の発電施設整備に限界があり、むしろ海に大きな可能性がある」(政府関係者)。従来のエネルギー政策が原発重視だったこともあり、海洋発電施設は洋上風力を利用するものが山形県や北海道などで稼働している程度にとどまっている。

 経済産業、環境両省が洋上風力の実証実験に着手しており、今後は自治体と連携して海洋エネルギー開発を後押しする。

-引用終わり-

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真山仁トークショー当選

2012-05-24 20:18:59 | 下北の地熱発電
嬉しいメールが届きました。6月1日の地熱ドラマ「マグマ」放送記念のトークショーにみごと当選です。

東京で開催されますが、250人のうち33番でした。ナイスです。

経済小説家真山仁氏は、昨年10月の「地熱シンポジウムin福島」の基調講演で初めてご本人を拝見しました。
彼は「新エネルギーはどれも大切ですが、24時間、365日の安定供給が重要です」と言い、良く分かっておられます。

地熱推進を熱く語るところが好感持てます。

スペシャルゲストで野上妙子役の尾野真千子さんなんか出てくれないかなぁ。


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世界第3位を誇る地下資源を生かす

2012-05-24 06:44:56 | 下北の地熱発電
5/24日経ビジネスオンラインから引用します。図表は幾つか省略しました。

-地熱開発に3つのハードル、世界第3位を誇る地下資源を生かす-
2012年5月24日(木)

 前回は、大きな資源ポテンシャルをもち、原子力代替電源として適している地熱発電に対する期待が急速に高まっていること、開発のドライバーとなる再生可能エネルギー電力固定価格買い取り制度(FIT)の条件は事業者の要望に沿って決められたことを紹介した。今回は、地下資源開発に伴うリスクにどう立ち向かおうとしているのか、国立公園内の立地は実現できるのか、温泉旅館事業者との調整はつくのか、に焦点を当てて解説する。

【蒸気供給事業と発電事業に分かれていた】
 まず地熱発電のシステムを概観してみる(資料1)。地下のマグマの熱が地中の水に触れて、熱水・蒸気が生成され、貯留層に溜まる。ここに抗井(生産井)を通して熱水や蒸気を地表に噴出させる。熱水と蒸気を気水分離機(セパレーター)を通して分離し、熱水は減圧機(フラッシャー)を通して蒸気を発生させる。この蒸気をタービンに当てて発電する。発電システムとしてみた場合、熱水や蒸気が通る導・配管、セパレーター、フラッシャー、タービン、発電機などからなる。汽力発電所としてみる場合の最大の特徴は、所内に燃料を焚くボイラーがないことである。ボイラーに相当するのは天然のマグマということになる。使った熱水は、還元井を通して地下に戻し循環させる。

 マグマが有するエネルギーの規模に比して、利用するエネルギーは微々たるものであり、利用後の熱水を地中に戻すこともあり、再生可能エネルギーに分類される。日本のように降雨量の多い地域ではなおさらである。火力発電では水で蒸気を作るが、地熱は様々な成分を含む地下の熱水を使う。地上での環境によくないものも含まれる。公害防止設備を設置してこれを除去し、還元井を通して地中に戻す。

 火山地帯は自然公園を形成し、従って地熱発電の適地は公園内に多く、掘削や配管・発電所建設工事は自然環境に影響を及ぼす。地熱発電に適した土地は、たいてい周囲には温泉旅館があり、熱水の大量使用により温泉が枯渇するのではとの懸念が持たれる。

 地熱発電は、蒸気供給(地下資源開発)事業と、天然の蒸気を当ててタービンを回す発電事業の2つに分かれており、日本では一般に異なる事業者が担当していた。パイオニアである日本重化学工業、鉱物資源開発会社である同和鉱業(現DOWAホールディングス)、三菱マテリアル、三井金属鉱業(奥会津地熱)、新日本製鉄・日鉄鉱業、石油資源会社である出光興産、石油資源開発が蒸気開発・供給を行い、電力会社が蒸気を買っていた(資料2)。

 地下資源開発はそもそもリスクの大きい事業である。電力会社は総括原価で守られているが、開発会社の採算は蒸気をいくらで買ってもらえるかで左右される。これまでは、ほとんどが赤字を余儀なくされたといわれている。川下の発電まで手がけたくとも、当時は、電気事業法により開発会社は発電事業ができなかった。

 一方、電力会社は、必ずしも開発会社の経営までは配慮してくれなかった(と開発側は思っている)。地熱開発は、電力自由化とRPS制度(電気事業者に一定量以上の新エネルギーを利用した電気の利用を義務付ける制度)の対象から外れたことなどにより、八丈島が運開した後14年間も開発の動きがない。有能な職員を抱えながら撤退を決断した事業者も少なくない。実際に事業を行っている者は8社から4社に減少した。石油資源開発、日本重化学工業、DOWAホールディングスの3社が撤退し、新日鉄は蒸気生産事業の経営の主導権を共同事業者に委ねた。

【FITで開発・発電が一体化する事業に】
 今回のFIT適用により、この議論は根本的に変わる。電力の販売条件に事業性が集中することから、開発から発電まで一貫した事業が前提となる。政府検討の場でも、資料を提出しプレゼンを行ったのは開発事業者である。開発事業者が発電まで通して行うという前提である。一気通貫モデルにより、開発事業者は採算見通しを立てやすくなったといえる。それでも事業リスクは大きい。

 事業リスクのほとんどは、開発事業にある。貯留層に当たるか当たらないか、一定以上の期間に安定して噴出し続けられるか。調査・試掘した場所で、そうした確証が得られない場合は、発電まで進めなくなる。一応のメドが立っても、環境影響調査や地元の説得というハードルが横たわる。そのステージを経てはじめて発電事業の投資を行うことになる。それまでは銀行融資は難しく、所要資金は自己資金(エクイティ)で賄うことになる。調査・開発段階で4分の1の費用がかかる。3万キロワット級で60億円かかる。そこでギブアップとなると、それまでの負担はFITではカバーしてくれない。「発電してなんぼ」の支援制度である。

 このリスクがあるから投資回収率(IRR)は税後で8%という高い水準が認められそうだ。しかし、これは、事業者が複数の開発案件を持っており全体でカバーする、という前提で意味をもつ。少ない案件しかないと、当然ながら大きなリスクとなる。開発事業者の数は減り、経営資源は細ってきている。事業件数をこなすだけでなくコンソーシアムを組むうえでも限界がある。

【大同団結でリスク回避を】
 そこで、今後の発展を見込んで「地開協拡大ビジネスモデルワーキンググループBMWG」を2011年8月に発足した(資料3)。日本地熱開発企業協議会(地開協)の会員4社(出光興産、三井金属、日鉄鉱業、三菱マテリアル)および実績のある2社(日本重化学工業、石油資源開発)に加えて、新たに8社(地熱エンジニアリング、地熱技術開発、JFE エンジニアリング、国際石油開発帝石、JX 日鉱日石金属、富士電機、環境エネルギー政策研究所、ソフトバンク)が参加して、14社で始まった。その後商社4社などが加わり、2012年5月10日時点で23社となっている。まだ増える見込みである。情報の共有、共同調査、出資金の分担などを行い、リスク分担を図っていく。政府や自治体との間の交渉窓口一本化による効率向上も見込んでいる。

 経済産業省も、調査・開発段階での支援を決めている。抗井による掘削費用に対して補助金制度を創設した。補助率は地表調査で4分の3、噴気試験を伴わない掘削調査で2分の1である。従来の補助は水力と一緒の枠であったが、今回は初めて地熱専用の制度となる。補助金からの脱却をうたってFIT導入を進めたなかでは、かなりの支援ともいえる。しかし、あくまで調査を主とする試掘が対象で、調査・開発費全体の投資額に占める割合は小さい。法改正を予定しているJOGMEC(独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構)の支援が具体的にどうなるかが注目されるが、基本的には民間がリスクをとる構図である。民間大同団結の意味がそこにある。換言すると、その意気込みを示したことが政策当局を動かしたとも言える。

【画期的な方向転換に踏み切った環境省】
 世界3位の潜在量をもちながら発電能力で8位に甘んじ、14年間も新規稼動実績がないのは、エネルギー行政の位置づけに負うところが大きいが、環境行政上からくる立地制約も大きかった。地熱資源の約8割は国立・国定公園(以下自然公園)内に存する(資料4)。自然公園は、保護すべき順番に特別保護地区、第1種、第2種、第3種の特別地域および普通地域に区分されるが、公園内の開発は原則、自然公園法が制定される前から計画があった6地域(大沼、松川、鬼首、八丁原、大岳、滝の上)を除いて、開発できなかった。1972年に結ばれた旧環境庁と旧通商産業省の覚書が制約となっていた。また、特別保護、第1~3種、普通地域などの区分は、地元の利用状況と国有林の都合によるもので保全上の格差は特にない、との指摘もある。

 環境省は、3月27日付で「国立・国定公園内で地熱開発に関する新たな通知」を都道府県に伝達した。第2種・第3種内では、傾斜掘削に加えて、垂直掘削や発電所建設を条件付きで認める。その条件は、関係者や地域との合意形成、景観に配慮した構造物の設置、地域貢献等を満たす「優良事例」であること、また開発の段階ごとに取り組み状況を確認しその都度可否を判断することである。字面をみるかぎりでは原則禁止の枠内であり、厳しい条件を羅列しているので実効性を危ぶむ声もあるが、概して高く評価されている。地開協の安達正畝会長は「画期的な第一歩、優良事例を創っていきたい」と評価している。

 同省は、優良事例の形成に向けて具体的な検討を開始する。細野環境大臣は、3月27日に「自然と調和した地熱開発に関する検討会議を発足させる。景観や自然環境の保全をした上で本腰を入れて地熱を開発する」と発言した。大臣は、3月19日に本邦最大の九州電力・八丁原発電所を視察している。会議では、当面2012年度から始まる第2種・第3種特別地域での「優良事例の形成」について議論する。同省は、やはり従来路線を大きく転換したのである。ポテンシャルをいかせる基盤が整った。

【鍵を握る地元温泉事業者の理解】
 地熱発電開発にかかる3大制約要因は、エネルギー政策の低い位置づけ、自然公園法などによる立地規制に加えて、温泉旅館事業者などの地元の反対がある。地元に理解してもらわなければ、地下資源の調査にも入れないが、このハードルは低くない。

 前回、規制緩和を見越して、開発候補地議論が盛り上がっていることを紹介した。その代表が磐梯山を主とする福島県であるが、既に反対する組織が形成されており、説明会でも多くが集まり気勢を上げたと報道されている。ある事業者は「開発者の組織化を進めている中で反対者の体制が整った」と危機感をもつ。

 地元の理解形成は、「本来、地道におこなわれるべきものである」「ある程度の合意形成前に地点名が出ると難しくなる」との意見がある。しかし、今回は、地熱の可能性と期待を理解してもらうために、官民で敢えて開発可能地域を明示したと考えられる。開発再開の絶好の機会であり、長年の空白により悠長に構える余裕がないなどが背景にあるのだろう。いずれにせよ、開発推進側は、不退転の決意で臨んでいる。

 環境省は、3月27日に「温泉資源の保護に関するガイドライン(地熱発電所関係)」を、技術的な助言として都道府県に通知し、地元調整のあり方を具体的に解説した。各段階での許可や不許可の判断基準や考え方を示しているが、あわせて現在稼働している地熱発電所一帯を対象に行った地熱・温泉シュミレーション結果も盛り込んでいる。

【温泉への影響を巡る議論】
 温泉(旅館)事業者は、近くで地熱発電開発が行われると、温泉源が枯渇することを恐れる。一方で、温泉熱源は浅いところにあるが地熱発電用熱源は深い所にあり、また発電利用後の温水は還元性を通して地中に戻されることから心配は不要と説明される。これに対しては、熱水が溜まっているところは貯留層というよりは大きな割れ目であり、温泉用の熱溜まりと地熱用の熱溜りが完全に独立している保障はない。影響を受けないと言い切れないし、実際に影響を受けた事例がある、そもそも地下の状況についてはまだ解明されていないことが残っている、との反論がある。

 マグマ溜りの熱は、深いところに溜まっている地下水に伝わり熱水貯留層を形成する。一方、温泉に使われる熱水はより地表部にある。この深部にある熱水貯留層と浅部にある温泉帯水層との間には、一般に水を通さない(し難い)層がある。この不透水槽を通して深部の熱が浅部に伝わる。不透水の程度により、地熱発電の温泉に対する影響が異なることになる。

 両者の独立性の弱い方から、同一熱水型、熱水滲出型、蒸気加熱型、伝導加熱型、独立型に分類される。「蒸気加熱型」が物質および熱の移動を伴うのに対し、「伝導加熱型」は物質移動を伴わず影響する可能性は非常に低い。環境省の「温泉資源の保護の関するガイドライン」によれば、日本の地熱開発地域では伝導加熱型に属するものが多い、としている。また、同省が2010年度に公表した「地熱発電に係る環境影響審査手法調査業務」には、わが国の地熱発電は「40年以上の実績があるが、この間周辺温泉等への影響が発現した事例はない」としている。

【地熱学会は、批判に科学的根拠ないと分析】
 地開協および日本地熱学会は、具体的に以下のように説明する。

 秋田県の澄川発電所は、1949年に大沼発電所から2キロメートルところに建設されたが、今まで全く影響が出ていない。日本の火山帯の地質構造は、断層が多くブロックとして区切られている。従って、地下水は横への流動より下方への流動に支配されがちになる。

 また、2011年8月に「日本秘湯を守る会」から不都合と指摘された事例に対しては、いずれも問題はなく1998年までに回答している、としている。松川発電所の場合は、温泉井戸がスケール(坑井内に形成される炭酸カルシウムなどの沈殿物)により閉塞されたもの、大岳・八丁原発電所では周囲の環境に変化はない。また、澄川発電所では、澄川温泉は変化は見られない、赤川温泉は温度はやや低下傾向なるも湯量は増加傾向であり国道改修工事の影響の可能性もある、としている。

 地熱貯留層と温泉帯水層との関係は、両者の温度、水位、泉質、位置(深度、水平距離)により判断することができる。いずれにしても、その関係を科学的に判断するためには、十分にモニタリングすることが重要になる。地開協は、科学的な調査に基づく情報開示や地元の納得は当然必要として、地道に取り組んでいくとしている。また、地元理解に関して政府は積極的に支援する用意がある、と感じている。

-引用終わり-


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アメリカ、太陽光と地熱併用発電所が誕生

2012-05-24 06:03:54 | 下北の地熱発電
-エネル・グリーンパワーの太陽光・地熱併用発電所が誕生、世界初-
2012年05月23日 16:12 発信地:ニューハンプシャー/米国

イタリア電力大手エネル(Enel)傘下のエネル・グリーンパワー(Enel Green Power)は5月上旬、米ネバダ(Nevada)州スティルウオーター(Stillwater)の既存の6万キロワットの地熱発電所に隣接する2万4000キロワットの太陽光発電所を完成させ、太陽光と地熱を併用する世界初の発電所が誕生した。発電能力増強と資源の予測可能性の向上を目指す。

 地熱と太陽光という組み合わせは、地熱は太陽光発電の間欠性を補完し、太陽光は地熱の長期的な資源量減少を補完するため、相互にメリットがある。

 エネルは集光型太陽熱発電(Concentrated Solar Power、CSP)技術を組み込む計画も持っており、同発電所でさらなる研究開発に重点的に取り組む構えだ。エネル・グリーンパワー・ノースアメリカ(Enel Green Power of North America)のフランチェスコ・ベントゥリーニ(Francesco Venturini)社長兼CEOは声明で「ネバダが研究開発と技術融合の卓越した研究拠点になることにわれわれは賭けている」と述べた。

 エネル・グリーンパワーは今後、近隣のソルトウェルズ(Salt Wells)の地熱発電所に太陽光発電設備を設置することも計画している。

 同社は現在、北米での再生可能エネルギー事業の強化に取り組んでおり、中でもまだ開発の進んでいない米国の豊富な地熱発電の分野で先手を打とうとしている。

 5月上旬、同社は米ユタ(Utah)州コーブ・フォート(Cove Fort)で、2万5000キロワットの地熱発電所の建設に着手すると発表。同プロジェクトの費用は1億2600万ドル(約100億円)。20年間の電力購入契約(power purchase agreement、PPA)が確保されており、送電開始は2013年の予定だ。(c)RenewableEnergyWorld.com/Meg Cichon/AFPBB News

-引用終わり-

やはり出てきましたか、再生エネルギーのハイブリッド型が・・・。

よく公園などで風力とソーラー併用の小型発電機がありました。発想は同じです。

私は下北の再生エネルギーの豊富なポテンシャルから「地熱と風力」、「海水揚水発電と風力」の組み合わせを考えています。目的は同じで、風力の電力はメイン発電を補完する役目です。



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下北の強風を逆利用

2012-05-24 00:38:14 | 下北の風力発電
以前、NEDOの風況マップ(地上30mと50m)をアップしました。

最近、環境省でも風力ポテンシャル適地をHPで公表しています。少々見難いですがアップしておきます。

着色の度合いからも直ぐにお分かりのように下北西部、東通り、横浜は全国トップレベルの風力適地です。

私はメインでは大型風車とコマ目に風レンズ風車を組み合わせて、ぶっちぎりのウィンドファーム(風の牧場)が可能だと思いますよ。


*あ、いまブログアップ中にネットが切れました。青森で震度5強の地震です。六ヶ所、東通り大丈夫かなぁ・・・。

 日本は永久に地震を心配しないとならない運命です。

 やっぱり、脱原発の方向が正解なのかも・・・。

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