13日 将棋の羽生善治さんと囲碁の井山裕太さんに国民栄誉賞を授与する方向で検討に入った(辞退が無ければほぼ決定でしょう)とのニュースを各メディアが一斉に報じた。
すごい偉業を続けておられる方への授与なのでその事には異論はもちろん無いのですが、何か政府の意図が見えるようでしっくりこない気分です。
それは10日夜に今年のノーベル平和賞の授賞式が行われ、受賞した国際NGO・核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)には多くの日本人や日本関係者が関わっており、受賞後のスピーチは広島被爆者のサーロー節子さん(広島県生まれ)が核兵器廃絶へのメッセージを世界に向けて発したのですが、そのニュースは各社簡単にしか紹介されずじまいだったからです。
そもそもICANのノーベル平和賞受賞が決まったときには安倍首相はお祝いのメッセージすら発しておらず、ノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロ氏の時のニコニコ顔とはまったく異なる対応をして「大人げなさ」を感じた方も沢山おられたはずです。
世界で日本人が大きな賞を受けるたび、ここぞとばかりに「日本人の受賞はすばらしい」と喜びながらコメントする安倍首相が今回は各メディアから流れない・・・当たり前なのです。
安倍首相はICANのノーベル平和賞受賞を快くは思っていないばかりか、早く別の話題に世間の目を向ける方法を考えていたはずです。今回の受賞を契機に国内外で非核の機運が高まることを一番嫌っているのはご本人だからです。それは広島・長崎での被爆の日の式典メッセージが歴代の総理大臣のものより明らかに非核に対して後向きな後退したものだったことでも現れています。
国民栄誉賞は首相が「あげたい」と発し、政府が検討に入り決定するという手順だと言うことで「政権の人気取りに利用」と言う見方もあるようですが、今回は逆に国民を欺く手段として利用した様に見えます。
考え過ぎと思われるかも知れませんが、今までの政治手法を見せられては彼ならやりかねないと思ってしまいます。
ノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロ氏が記者会見で彼の家族も被爆者であること、加えて「冷戦終結後、核への関心が薄らぐ一方で危険性は高まっている。ノーベル平和賞が核の問題の重要性に再び光を当てたことは喜ばしい」と非核兵器とICAN受賞への祝辞とも取れるメッセージをされた事はすばらしい事でした。
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