散歩道、それは時として非日常を生み出す
ここは車が通れないような細い道が絡まりあっている昔の集落だ
直ぐ側には海岸があり、毎日波の音を聞けるような場所に建っている家も珍しくない
午後9時半
夜は更け、電灯や星、月明かりが無ければ深い闇に取り込まれるような時間だった
初めてきた人は間違いなく通らないような幅2メートルもない程の狭い道
道というよりはもはや通路である
散歩も終盤を迎え家まで残り2分も経たない場所、私は鼻歌交じりに歩いていた
ぎりぎり光が届くぐらいの間隔に設置してある電灯を通りこす
次の電灯はT字路を突き当たり曲がった先にあるのでこの通路の電灯はこれで最後だった
自分の影が後ろから前に自分を点対称としてぐるっと移動する
影が左後ろから左前に動き、それを目で追いかける
その瞬間前方の地面に右から左へ一瞬人影が動いた
私は後ろに人が来たのかなと一瞬振り向くと、10メートルほど後ろに人影があった
逆光のせいで服装はおろか顔も見えず、かろうじて男性だということだけは理解できた
数秒後T字路の突き当たりに到達したので私は曲がるついでに一瞬後ろを見て再確認した
しかし、その時人影は文字通り闇に吸い込まれていた
1度目から2度目の確認までの時間は5秒以内だと思うし、そもそも私と影の間に曲がり角は無い
更にいえば障害物もなく、電灯は私と後方の人影の丁度直線状にある位置だったので見えなくなるはずもない
どうやって見えなくなったのかは謎である
私に影だけを見せて脅かそうという児戯なのか、それとも―――
ここは車が通れないような細い道が絡まりあっている昔の集落だ
直ぐ側には海岸があり、毎日波の音を聞けるような場所に建っている家も珍しくない
午後9時半
夜は更け、電灯や星、月明かりが無ければ深い闇に取り込まれるような時間だった
初めてきた人は間違いなく通らないような幅2メートルもない程の狭い道
道というよりはもはや通路である
散歩も終盤を迎え家まで残り2分も経たない場所、私は鼻歌交じりに歩いていた
ぎりぎり光が届くぐらいの間隔に設置してある電灯を通りこす
次の電灯はT字路を突き当たり曲がった先にあるのでこの通路の電灯はこれで最後だった
自分の影が後ろから前に自分を点対称としてぐるっと移動する
影が左後ろから左前に動き、それを目で追いかける
その瞬間前方の地面に右から左へ一瞬人影が動いた
私は後ろに人が来たのかなと一瞬振り向くと、10メートルほど後ろに人影があった
逆光のせいで服装はおろか顔も見えず、かろうじて男性だということだけは理解できた
数秒後T字路の突き当たりに到達したので私は曲がるついでに一瞬後ろを見て再確認した
しかし、その時人影は文字通り闇に吸い込まれていた
1度目から2度目の確認までの時間は5秒以内だと思うし、そもそも私と影の間に曲がり角は無い
更にいえば障害物もなく、電灯は私と後方の人影の丁度直線状にある位置だったので見えなくなるはずもない
どうやって見えなくなったのかは謎である
私に影だけを見せて脅かそうという児戯なのか、それとも―――