書く人間の性のようなものかもしれないけど、嫌なことは書いてすっきりしたい。
書かずにいられるか!!と思う。
でも実際に書いてすっきりするかというと、私の場合は書くことで輪郭も色濃く明確に尚鮮やかになって、不快感は鉛玉のようにいつまでも居座り続ける。
以前、娘の事件の加害者の刑事裁判の時に、私は出席しなかったが、裁判官の心象に作用するように「被害者の心情を訴える文章」を書かされたことがあった。
それは加害者の刑罰に影響することだから、刑を重く望む被害者の立場としては、当然訴えた方がよい。
言われるままレポート用紙二枚分くらいの、被害者の苦しい胸のうちを書くことになった。
しかし、これが……一言でいうとめちゃくちゃ苦しいのである。
心が波立った。
書くほどに怒りがこみあげて、それにやられてしまった。
これは加害者の両親を前に、思いを話す場でもそうだった。
弁護士さんと二人だけの時なら、非常に冷静で冗談すら出てくる余裕があったのに、いざ一点集中して思いを話すとなった時、自分でも驚くくらい取り乱してしまって、冷静な言葉なんか出てこなかった。
言いたいことを言って、書きたいことを存分に書いてください。
あなたのいうことはもっともです。
何の遠慮が要りますか?
さあ!
という完璧なお膳立てされていながら、それがちっとも快感じゃない不思議。
怒りというものを「強く執着させる」ということは、こんなに苦しいのかと思った。
苦痛以外の何ものでもない。
苦しさのあまり、これから解放されるならすべてを許したいと思ったほどである。
怒りというのはそういう性質のものと思う。
100万個の言い訳をしてもそうである。
こんな経験をしながら人間は忘れてしまう生き物だけど、嫌なことはすっかり忘れてしまうに限る。
書かずにいられるか!!と思う。
でも実際に書いてすっきりするかというと、私の場合は書くことで輪郭も色濃く明確に尚鮮やかになって、不快感は鉛玉のようにいつまでも居座り続ける。
以前、娘の事件の加害者の刑事裁判の時に、私は出席しなかったが、裁判官の心象に作用するように「被害者の心情を訴える文章」を書かされたことがあった。
それは加害者の刑罰に影響することだから、刑を重く望む被害者の立場としては、当然訴えた方がよい。
言われるままレポート用紙二枚分くらいの、被害者の苦しい胸のうちを書くことになった。
しかし、これが……一言でいうとめちゃくちゃ苦しいのである。
心が波立った。
書くほどに怒りがこみあげて、それにやられてしまった。
これは加害者の両親を前に、思いを話す場でもそうだった。
弁護士さんと二人だけの時なら、非常に冷静で冗談すら出てくる余裕があったのに、いざ一点集中して思いを話すとなった時、自分でも驚くくらい取り乱してしまって、冷静な言葉なんか出てこなかった。
言いたいことを言って、書きたいことを存分に書いてください。
あなたのいうことはもっともです。
何の遠慮が要りますか?
さあ!
という完璧なお膳立てされていながら、それがちっとも快感じゃない不思議。
怒りというものを「強く執着させる」ということは、こんなに苦しいのかと思った。
苦痛以外の何ものでもない。
苦しさのあまり、これから解放されるならすべてを許したいと思ったほどである。
怒りというのはそういう性質のものと思う。
100万個の言い訳をしてもそうである。
こんな経験をしながら人間は忘れてしまう生き物だけど、嫌なことはすっかり忘れてしまうに限る。