珈琲一杯分の話

2018年2月26日スタートのただのボヤキカフェです。
毒とユーモアを楽しんで頂ければ幸いでございます。

素敵なお母さん

2018-06-09 | 娘と夫の話
体温の低い娘が、友達に誘われて運動部に入った。
ファイトー!!と叫びながらひたすら走らされる。
クタクタに疲れて帰宅したら、回らない頭で家庭教師から数学の問題を解かされる。
私ならゴーモンである。
あー中学なんてとうに終わってよかった!とニヤニヤする母。

同じ部活に、小学校が同じのすごく優秀な男の子がいる。
中学の入学式で、代表で挨拶文を読んだような子である。
こんな子を育てたお母さんってどんな人かというと、やっぱりさすがという感じの方で、明るくて誰とでも仲良くできて、PTA活動も嫌な顔一つしないで参加されている。
私もくじ引きで当たって同じ役員になったので、最近そのお母さんと話す機会が増えた。

「どうやったらあんな優秀な子に育つの?」
と、一度でいいから言われてみたいけど妄想で終わっている、言う方ばっかりの質問をしたら
「歴史が好きなのは私も好きだからで、一緒に中国なんかのドラマを見るのよ」
と返ってきた。
親子で中国の歴史ドラマを鑑賞する?うちではありえん…と感心していたら
「何言ってるのよ。ピノコちゃんといえばビー玉で…」
「ビー玉?」


小学校4年生くらいだっただろうか。
生徒たちは、図工の課題でボール紙を使ってビー玉を転がす模型を作った。
高い塔にしたり、滑り台やトンネルを作ったり迷路風にしたり、形も発想も自由だった。
その工作で、娘が立派なものを作ったのではない。
参観日が終わったあとで、作品展示会があるのでお子さんと見にいってくださいと言われて、展示室に行ったら、娘のそれは貧弱でつまらない出来だった。

しかし彼女は私の手をひっぱり、目を輝かせて教室に飛び込むと、ポケットからうれしそうにビー玉を取り出した。
すべての作品につ残らずビー玉を転がしてみたくて、家から大事に持ってきていたのである。
そして端から順番に、一つづつ試していった。
「こんなことする子、初めて見たわ…」
そのお母さんは大笑いしながらその様子を見ていたそうで、それをずっと覚えていてくれていたのだ。

ちなみにいちばん面白くて、最後まで滞りなく転がった大作を作ったのが、そのお母さんの息子さんの作った作品だった。
私が見ても完成度が群を抜いていた。
娘は「見て!見て!」と興奮しながら何度も転がしていた。

いや、どうせならこんな作品を作る子の方がいいよと思ったけど、「こんな子初めて見た」なんてお世辞でも褒めてくれる…こんなお母さんだから優秀な子に育つんだなあと改めて思った。
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