娘がまた暗い顔をして帰宅した。
「うち…今度学校休みたいの。家庭科のある日が嫌なの…」
「ああママも家庭科苦手だったし、それはよくわかるよ」
通り一遍の話をしても、どうも話が噛み合わない。
よくよく話を聞くと、ハサミが全く使えないという。
「私…紙はなんとか切れるんだけど、布だと全く切れないの。1センチも切れないの」
「どういうこと?」
驚いてハサミを持たせると全く切れない。
「刃を深く入れてゆっくりやってごらん」
全く切れない。
紙を切らせてみたら、驚いた。
殆ど使えていない。
一枚ならなんとか切れるのに、折って厚みを持たせると切れなくなる。
「ごめん。ママ全然気づかなかった。幼稚園からハサミ使ってるよね。小学校入れて9年間使ったよね。
いつから紙は切れるようになったの?
「4年生くらいから何とか…でもめちゃくちゃ下手で先の方を使ってちょっとづつしか切れない。私、みんなができることが9年かかってもできないの。そんな子なの…」
そう言って彼女は泣きだしてしまった。
娘は「交差利き」ってやつである。
絵と字は左手を使うが、箸やスプーンは右。ボールを投げるのも右。
ハサミは?と聞いたら右だというので、ずっと右利き用のハサミを持たせていたが左利きだったのである。
12年傍にいて、一体何を見ていたんだろう?
うちには右利き用のハサミしかなかったが、
「左で持ってごらん」と言ったら
「左でなんか持てない。絶対右。右で慣れてるから」
「いや、見てると力の入れ方が逆なのよ。じゃあママが左で持ってみるね。ほら切れないでしょ」
娘は持ちにくい、絶対無理と言いながら、左でハサミを持って、紙を切ったらスパンと切れた。
クールな娘が驚いた顔をした。
そして
「見て!!楽しい!!スカッとする!!」
とスパスパ紙を切りながら、泣き顔で笑った。
こんなことで「自分は人ができることができない」とずっと悩んでいたのかと思うとショックだった。
ちょっと不器用なんだなあくらいに思っていた私も、完全な思い込みだった。
思い込みというのは本当に厄介なもんである。
でもこんなふうに、ある日突然解けたりするものなんだよね。
「うち…今度学校休みたいの。家庭科のある日が嫌なの…」
「ああママも家庭科苦手だったし、それはよくわかるよ」
通り一遍の話をしても、どうも話が噛み合わない。
よくよく話を聞くと、ハサミが全く使えないという。
「私…紙はなんとか切れるんだけど、布だと全く切れないの。1センチも切れないの」
「どういうこと?」
驚いてハサミを持たせると全く切れない。
「刃を深く入れてゆっくりやってごらん」
全く切れない。
紙を切らせてみたら、驚いた。
殆ど使えていない。
一枚ならなんとか切れるのに、折って厚みを持たせると切れなくなる。
「ごめん。ママ全然気づかなかった。幼稚園からハサミ使ってるよね。小学校入れて9年間使ったよね。
いつから紙は切れるようになったの?
「4年生くらいから何とか…でもめちゃくちゃ下手で先の方を使ってちょっとづつしか切れない。私、みんなができることが9年かかってもできないの。そんな子なの…」
そう言って彼女は泣きだしてしまった。
娘は「交差利き」ってやつである。
絵と字は左手を使うが、箸やスプーンは右。ボールを投げるのも右。
ハサミは?と聞いたら右だというので、ずっと右利き用のハサミを持たせていたが左利きだったのである。
12年傍にいて、一体何を見ていたんだろう?
うちには右利き用のハサミしかなかったが、
「左で持ってごらん」と言ったら
「左でなんか持てない。絶対右。右で慣れてるから」
「いや、見てると力の入れ方が逆なのよ。じゃあママが左で持ってみるね。ほら切れないでしょ」
娘は持ちにくい、絶対無理と言いながら、左でハサミを持って、紙を切ったらスパンと切れた。
クールな娘が驚いた顔をした。
そして
「見て!!楽しい!!スカッとする!!」
とスパスパ紙を切りながら、泣き顔で笑った。
こんなことで「自分は人ができることができない」とずっと悩んでいたのかと思うとショックだった。
ちょっと不器用なんだなあくらいに思っていた私も、完全な思い込みだった。
思い込みというのは本当に厄介なもんである。
でもこんなふうに、ある日突然解けたりするものなんだよね。