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オオミスミソウ(雪割草)

2018年04月19日 | 地域の山野草
先日和賀山塊にオオミスミソウ(大三角草)に会いに行ってきた。雪割草ともいわれる。オオミスミソウは、キンポウゲ科ミスミソウ属の常緑の多年草。オオミスミソウは、名前の通りミスミソウよりも葉や花が大きい上に花色も白色、淡紅色、濃紫色、淡紫色などの変異があるといわれている。



4月10日になっても林道はまだ積雪があり車から降り歩くこと約30分で目的地についた。南東斜面で陽あたりよさそうな地形。傾斜50度近いブナ、ミズナラの林は歩くことが少しきつかった。這うようにして小さな雑木を手繰り寄せながらの観察となった。春先の斜面が滑りやすく一歩一歩確かめながらの移動もことさら慎重にならざるをえなかった。白花、淡紅色の花、濃紫色のものはまだ見ることが出来なかった。花期の後半になるとみられるという。オオミスミソウの花びらが6枚、7枚、8枚、なかには八重咲きらしきものもあった。



自生地は新潟県を中心に富山県から秋田県とする日本海側にある。オオミスミソウは、雪割草の中でも最も変異の幅が広く、さまざまな色や形が楽しめ交配に熱中する愛好家が多く古くは江戸時代から愛好されてきたと言われている。名前の由来は、正月から春にかけて降り積もった雪を割るようにして茎を伸ばし、花を咲かせる様子にちなんで名付けられた。原産地は日本の他ヨーロッパ、北アメリカで中世ヨーロッパでは、葉の形が肝臓を連想させることから肝臓の病気の治療に用いられたと記録にある。

 一株から一重と八重花に見える

複雑な花



オオミスミソウと出会ったのは今から10数年前、国道101号線の道路脇にある山野草店だった。山野草にもともと興味がありドライブ中見つけると立ち寄っていた。その山野草店にはおびただしい数のオオミスミソウ(雪割草)。客は少なかったせいか主人は長々と講釈が始まった。価格は数百円から数千円、中には特別なものと云いながら万円単位のものまで案内された。教職を定年後オオミスミソウの魅力に取りつかれ念願の店を開業したという。

雪割草は名のごとく早春の山野草。花が終わり休眠期の夏休みに近い季節になると素人にその姿は連想できなかった。古くから変異の大きいオオミスミソウは数えきれないほどの種類の株が育てられ、愛好家の間で取引されている事を知らせられた。当時それほどの関心もなかった。

新潟県では「冬を堪え忍んで春に咲く雪割草は県民の心情に合致する」雪割草(園芸名)オオミスミソウ(キンポウゲ科ミスミソウ属)が県の草花に指定する方向で検討。さらに新潟県に2001年国際雪割草協会が設立されている。オームページに設立の背景として「我が国は北海道を除いて、学術的に貴重な雪割草が4種類分布する。分布は局所的で、しかも、 一般に群落を構成する個体数は少なく、最近の地球の温暖化や人的活動の結果、自生各地で絶滅が強く懸 念されている。、、、、、、、、。

豊かな自然を守るひとつの方法として、私たちは雪割草を大切にする気持ちが日本の自然を守ることにも繋がると考えた。雪割草の育種技術が年々向上し、、、、、それに伴い世界各地からの関心が高まり、園芸的な地位を確立してきた。何ごとにも国際化が叫ばれる昨今、我々は国際雪割草協会の設立を日本でスタートすることが大切と考えた」。とある。(一部抜粋引用)



今回和賀山塊を熟知している達人にオオミスミソウを案内していただいた。自然の状態で変異を繰り返していることがわかる。変異しやすい植物として特徴的なのかもしれない。自然に生え、一つ一つ微妙に違うオオミスミソウに接すると山野草店や園芸店で見かけるものより深い広がりが想像できる。可憐な姿は早春を代表する花にふさわしい。