「オニノヤガラ」(鬼の矢柄)の記事を昨年2013年07月11日 ブログに書いた。「オニノヤガラ」は秋田県で準絶滅危惧種に指定されている。今年も我家の杉林に出てきた。今年はカラ梅雨が影響したのかいつもより少ない。それでも20本は出てきた。6月の末に出てきた「オニノヤガラ」も8月になるとすっかり花も終わり下の写真のような姿になった。地上部分は枯れるが、地下にジャガイモ状の塊茎が残り、この中に含まれるナラタケの菌糸と共生しているために、オニノヤガラ自身で炭酸同化作用を行って栄養分を作る必要がないと云う。
オニノヤガラ 塊茎 2014.8.9
一本の「オニノヤガラ」を掘ってみた。長さは110cm、塊茎はじゅがいも大で長さ12cm、幅8cmはある。開花したあと消滅すると云われているが写真の塊茎の先端部分は腐りかけていた。役目を終え新しい塊茎へ移行中だろうか。元の部分はまだ固かった。6~7月の開花期に、地中の塊根を掘り取り、薄く輪切りにして、天日で乾燥させたものを生薬名で天麻(てんま)といわれている。
花の最盛期は下記の写真だから変わりようが激しい。腐生植物であり、光合成を行わず、葉緑素を持たない「オニノヤガラ」の特長かもしれない。花は黄褐色で筒状に膨らみ,茎の上部に総状に多数つけて6月から7月に咲く。
オニノヤガラ 開花 2012.7.9 湯沢市川連町坪漆
一般的には塊茎は開花した年に消滅する。表面に小さな芽を生じ、その芽が数年間地中で生育し肥大した後に、再び花茎を伸ばして花をつける。そのため生育する個体数は、年によって増減があると云われている。葉緑素がなく、葉は鱗片状でまばらにつき栄養物はナラタケ菌と共生して得ています。地上茎は黄褐色で直立し草丈は60~120cmです。花の終わったこの時期(8月)は一本の棒状になっている。
オニノヤガラ4本 花の後 2014.8.9
薬用には塊茎を用い、通常は蒸して乾燥させる。生薬名をテンマ(天麻)は強壮薬の他、頭痛、めまい、ヒステリー症、てんかん、手足のけいれん、リウマチの痛みなどの改善等に効能があると云われている。食べられると聞いたことがあるが食したことはない。未熟なジャガイモのようなザクザクした食感があり甘味もあるという。かつてはアイヌは食用にしていたとの記録がある。
昨年のブログ オニノヤガラ(鬼の矢柄)2013年07月11日で北京周報(1973)の記事を引用した。当時栽培が難しく「仙人の足」などと呼ばれていることを知り引用した。「オニノヤガラ」はナラタケ菌から栄養提供をうけて生活する菌従属栄養植物であるため、単独で鉢植えにすると栄養の供給が断たれて衰弱枯死する。しかし、共生菌を培養接種したキノコ栽培用原木を土中に埋設し、その隣に塊茎を植えつけた場合は育成が可能の記事があった。あの記事(1973)から45年も経過して中国ではすでに栽培が確立され、現在漢方薬材料として商業的に大量栽培されているといわれている。日本国内でも実験的には人工栽培が試みられているが、価格的に中国産に対抗できないため商業化はされていないという。
日本でも調査研究が行われている。ネット検索で以下の記事があった。
「オニノヤガラは共生菌が日本で最初に明らかにされた種です。共生菌は複数ありナラタケ菌のうち病原性が低い5種が知られています。これらの菌は腐生性が強い種です。オニノヤガラは種子発芽から幼株まで共生する菌と、その後親株にまで生育させる菌とが異なることがわかっています。発芽の時はシロコナカブリと共生し、薬草として栽培している中国では2種の菌を使い分けている」
北方山草会(北海道大学植物園 谷亀高弘)
秋田県で準絶滅危惧種に指定されている「オニノヤガラ」が、近くにあるのにある種の不思議さを覚える。ランの仲間というが普通栽培は難しく誰もほかのラン類のように盗る人はいない。一般的なラン類とはあまりにも違うものだから当然とも思える。集落でこの「オニノヤガラ」に関心はなさそうだ。それが中国では貴重な漢方薬材料として商業的に栽培が確立され大量栽培されている。生薬の材料としては極めて貴重だから、長年の試行錯誤で栽培が確率されたと云われている。
鶴田知也氏は著書「草木図誌」の中で『「神の矢幹」や「盗人の足」の異称がある。昔人が、これを見て、鬼だの神だのこの世にあらぬもの、あやしきものを連想したのは当然であろう。「盗人の足」について牧野図鑑に、「、、、、この種が転々として一定の場所に生えないので、足形にも見える根茎を盗賊の足にたとえてよぶ」とある。盗人の足といえば「ぬすびとはぎ」が頭に浮かぶ。このほうがもっとリアルである。その豆果が、盗人が忍び足のとき、足の側面を使うその足形に似ているからである。おそれいった観察と芸の細かい連想ではあるまいか』とオニノヤガラを取り上げている。
花色の緑青のものをのアオテンマ(青天麻、別名:アオオニノヤガラ、f. viridis)というそうだが,まだ出合ったことはない。何しろ出現率が普通見られる黄褐色の花の約10%といわれている。もしかしたら我家の杉林で、、、などと思いを巡らせている。
オニノヤガラ 塊茎 2014.8.9
一本の「オニノヤガラ」を掘ってみた。長さは110cm、塊茎はじゅがいも大で長さ12cm、幅8cmはある。開花したあと消滅すると云われているが写真の塊茎の先端部分は腐りかけていた。役目を終え新しい塊茎へ移行中だろうか。元の部分はまだ固かった。6~7月の開花期に、地中の塊根を掘り取り、薄く輪切りにして、天日で乾燥させたものを生薬名で天麻(てんま)といわれている。
花の最盛期は下記の写真だから変わりようが激しい。腐生植物であり、光合成を行わず、葉緑素を持たない「オニノヤガラ」の特長かもしれない。花は黄褐色で筒状に膨らみ,茎の上部に総状に多数つけて6月から7月に咲く。
オニノヤガラ 開花 2012.7.9 湯沢市川連町坪漆
一般的には塊茎は開花した年に消滅する。表面に小さな芽を生じ、その芽が数年間地中で生育し肥大した後に、再び花茎を伸ばして花をつける。そのため生育する個体数は、年によって増減があると云われている。葉緑素がなく、葉は鱗片状でまばらにつき栄養物はナラタケ菌と共生して得ています。地上茎は黄褐色で直立し草丈は60~120cmです。花の終わったこの時期(8月)は一本の棒状になっている。
オニノヤガラ4本 花の後 2014.8.9
薬用には塊茎を用い、通常は蒸して乾燥させる。生薬名をテンマ(天麻)は強壮薬の他、頭痛、めまい、ヒステリー症、てんかん、手足のけいれん、リウマチの痛みなどの改善等に効能があると云われている。食べられると聞いたことがあるが食したことはない。未熟なジャガイモのようなザクザクした食感があり甘味もあるという。かつてはアイヌは食用にしていたとの記録がある。
昨年のブログ オニノヤガラ(鬼の矢柄)2013年07月11日で北京周報(1973)の記事を引用した。当時栽培が難しく「仙人の足」などと呼ばれていることを知り引用した。「オニノヤガラ」はナラタケ菌から栄養提供をうけて生活する菌従属栄養植物であるため、単独で鉢植えにすると栄養の供給が断たれて衰弱枯死する。しかし、共生菌を培養接種したキノコ栽培用原木を土中に埋設し、その隣に塊茎を植えつけた場合は育成が可能の記事があった。あの記事(1973)から45年も経過して中国ではすでに栽培が確立され、現在漢方薬材料として商業的に大量栽培されているといわれている。日本国内でも実験的には人工栽培が試みられているが、価格的に中国産に対抗できないため商業化はされていないという。
日本でも調査研究が行われている。ネット検索で以下の記事があった。
「オニノヤガラは共生菌が日本で最初に明らかにされた種です。共生菌は複数ありナラタケ菌のうち病原性が低い5種が知られています。これらの菌は腐生性が強い種です。オニノヤガラは種子発芽から幼株まで共生する菌と、その後親株にまで生育させる菌とが異なることがわかっています。発芽の時はシロコナカブリと共生し、薬草として栽培している中国では2種の菌を使い分けている」
北方山草会(北海道大学植物園 谷亀高弘)
秋田県で準絶滅危惧種に指定されている「オニノヤガラ」が、近くにあるのにある種の不思議さを覚える。ランの仲間というが普通栽培は難しく誰もほかのラン類のように盗る人はいない。一般的なラン類とはあまりにも違うものだから当然とも思える。集落でこの「オニノヤガラ」に関心はなさそうだ。それが中国では貴重な漢方薬材料として商業的に栽培が確立され大量栽培されている。生薬の材料としては極めて貴重だから、長年の試行錯誤で栽培が確率されたと云われている。
鶴田知也氏は著書「草木図誌」の中で『「神の矢幹」や「盗人の足」の異称がある。昔人が、これを見て、鬼だの神だのこの世にあらぬもの、あやしきものを連想したのは当然であろう。「盗人の足」について牧野図鑑に、「、、、、この種が転々として一定の場所に生えないので、足形にも見える根茎を盗賊の足にたとえてよぶ」とある。盗人の足といえば「ぬすびとはぎ」が頭に浮かぶ。このほうがもっとリアルである。その豆果が、盗人が忍び足のとき、足の側面を使うその足形に似ているからである。おそれいった観察と芸の細かい連想ではあるまいか』とオニノヤガラを取り上げている。
花色の緑青のものをのアオテンマ(青天麻、別名:アオオニノヤガラ、f. viridis)というそうだが,まだ出合ったことはない。何しろ出現率が普通見られる黄褐色の花の約10%といわれている。もしかしたら我家の杉林で、、、などと思いを巡らせている。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます