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西山散策と菅江真澄

2014年12月05日 | 地域
12月1日好天に誘われて、今年最後の西山散策に出かけた。いつもだと温泉の緑風荘を通過し旧山谷峠付近の児童公園、生活環境保全林整備事業で整備された散策道が中心だ。いつも鍋釣山の麓から湯沢方面の西山を見ていると、反対の西の山谷峠付近から東を眺望して見たい衝動にかられる。季節ごと何回か回るのが習慣になっている。どこの地域にもそれぞれの歴史があるのは当然のことだが、直線距離でせいぜい4kほどしかない鍋釣山の麓を眺めていると、日常と違う感慨に耽けてしまう。今回は10数年ぶりに山谷トンネルの一つ向こうの峰から稲川盆地を眺めてみようと想いたった。

川連から湯沢市街に向かう国道398号線の山谷トンネルを抜けるとダリヤ園がある。左にカーブし旧道に入り、林道山院線に入って300mほど走って車を止める。正しい山の名は定かではないが「峠沢山」といわれれているかもしれない。湯沢市が合併前からダリヤ園から散策道を作っていて、この度荒れていた散策道に手を加えられていた。

市民の森 2014.12.1

整備して間もない散策道はすこぶる歩きやすい。小高い峰に沿って南に向かう。田んぼと遠く稲庭方面が見える。この場所は旧児童公園の西側に位置している。林道から10m位上ると398号線の国道が見える。道路はさんで東側は山谷トンネルのある稲川方面から見て西の山。旧山谷峠から北の稲川スキーまで15.67haの生活環境保全林整備事業で散策道等が整備されている。菅江真澄の描いた図は今回歩いている峰と、旧稲川町で整備した散策路との中間に位置する。その距離は直線で200m程と思われる。現在はダリヤ園の側から新しいトンネルができて昔の峠道は歩くことは出来ない。

菅江真澄全集第五巻雪の出羽路 雄勝郡 ニ 勝地臨毫

上は菅江真澄文化11年(1814)がこの地に来て描いた図絵で、この図に書かれている奥、石堂の鳥居のある山と思われる右側の峰を今回歩いてみた。この図の説明によれば、この峠を湯沢峠、またの名を梨の木峠とある。又阿麻陀弖とは何をさすのだろう。調べてみたら古事記に『阿麻陀牟(アマダム)の文字があり、雁等にかかわる枕詞の「天飛ぶ」を阿麻陀牟と書くことから飛ぶをタムと云った、雁、鶴か?』との説にぶつかった。しかし、阿麻陀弖(アマダテ?)とは別の意と思われるが確かなことはわからない。菅江真澄はこの地を「烏舎森山より見わたしたいとおもしろき処也」と書いている。現在の地図にはこの地に湯沢市観光クリ園があって地図上では広沢山となっている。広沢山の西北に取上石山がある。菅江真澄のいう烏舎森山はもっと湯沢市街寄りと思われるが、地図探索では烏舎森山の位置はわからない。見渡したらおもしろき処というこの図絵は、この山からの想像した鳥瞰なのだろうか。

しばらく進むと山側の左から駒形町八面仙道集落、中間は川連町野村、その奥山側に川連集落が見える。手前は久保集落の一部。児童公園より少し高い位置からの眺望で菅江真澄が通った峠から約50m程高い位置となる。中心部右側の少し大きな建物が川連小学校、山際は中心部は鍋釣山で、遠く雪の焼石連邦が望まれる。

駒形町、川連町一部 2014.12.1

この散策道で小高い峰を少し下がると雌長子内岳、雄長子内岳が見えた。この位置からだと雄、雌の名の山が反対に見える。いつも麓から見える雌長子内岳は丸くなだらかに見えるが、ここからの眺望では急峻で別の山に見える。

左が雄長子内岳、右が雌長子内岳 2014.12.1

下の図は菅江真澄がこの峠を下り、現在の皆瀬川の久保橋を渡らないで、右側の山裾を飯田方面に向かっての雄長子内岳、雌長子内岳の図絵と思われる。


菅江真澄全集 第五巻 雪の出羽路 雄勝郡二

菅江真澄 雪の出羽路 雄勝郡 二 飯田村 伊比多「稲川町」に「三梨子の羽竜なる雄銚子山、また大館の雌銚子山とて其形刺名倍に似たる二ツのやまあり」とある。刺名倍はさし鍋(なべ) のことで、弦(つる)と注ぎ口のある鍋のことです。お酒などを温めるのに使った。現在、雄長子内岳の長子内を当時は銚子内の字を使っていた。長子内に変わったのは何時のことからだろうか。


左雄長子内岳 右雌長子内岳 皆瀬川久保橋付近から

好天の12月1日西山散策。比較的恵まれていた晩秋の一日だった。

散策を終えた翌日、大義なき総選挙公示と同時に雪となった。30cm近く積もった。選挙戦も今日で4日目。候補者のポスターは張られているが、選挙戦恒例のスピーカーからの声は聞こえない。選挙が終わっても混乱は続く政局が予想される。




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