2011年度から「定住自立圏構想事業」で始まった、「コメ天日干し」作業は今年で3年目になった。初年度3haが2013年7haへとその面積が拡大している。
稲の自然乾燥は在来から続いてきた稲作の姿だ。化石燃料を使わないエコ農業と云える。30年ほど前から稲の収穫がコンバイン作業になり、刈取で稲ワラは切断、モミは乾燥機で数時間で水分15%ほどに調整される形態になった。「稲川有機米研究会」は昭和62年にJA稲川の中に約146名で発足した。いまでは有機という言葉が定着した感があるが当時は新鮮な響きがあった。
稲川町の「三梨牛」は秋田県内では有名なブランド牛だ。稲の収穫作業がコンバインに変わり、「三梨牛」の生産にもっとも重要なイナワラが不足気味なってきた。一方各地でコメの消費が減少傾向にあり、昭和58年「あきたこまち」の出現によりそれまでの増収から「うまい米」へと移行の傾向にあった。そのような背景で「コメと牛」をより強く結び付け「有機米」として栽培や販売の方法など新な方向を模索した。イネわらと堆肥の交換、循環農業の体系を「稲川有機米研究会」の発足で明確にしてきた。
稲刈り・はさ架け作業 2013.09.20 湯沢市川連町田屋面
「稲川有機米研究会」は発足後25年経過した。コメ栽培の生産費に比較して販売価格は低迷、減反面積の拡大は当時掲げた循環農業は崩れつつある。コメの値段が約40年前の価格なのだ。
米価は玄米60k当たりオイルショックの年昭和48年産10,390円、49年が13,709円。平成25産は11,500円の仮渡価格。ちなみに大卒初任給が平均71,000円から75,000円。
現在大卒初任給は200,000円から220,000円となって、当時の3倍になっている。(平成25年湯沢市役所大卒初任給172,000円)一方のコメの値段は据え置き状態、生産資材も数倍に跳ね上がっている現在単に規模拡大で対応できる限界を超えている。約40年前の価格で新規就農者が生まれないのは当然な結果に他ならない。
そのような背景の中、平成2011年度から「定住自立圏構想事業」で「コメ天日干し」が始まった。地域経済が低迷し雇用削減の中でこの事業による雇用は湯沢市「人材センター」と提携し、平成2014年度はのべ人員270名が作業にあたった。今年は300名ほどになる。
下は平成2011年7月30日の秋田魁新報の記事。湯沢市の「定住自立圏構想事業」を詳しく報道した。稲川有機米研究会、三梨牛肥育組合、JAこまち、湯沢市の密接な連携で確率された。
新聞報道 秋田魁新報 2011.07.30
パイプのはさ架けは整然として秋の風物としても見事だ。好天続きでもうすぐ脱穀作業に入るとこの風景は見られなくなる。
見事なはさ架け 2013.10.01 湯沢市川連町田屋面
このはさ架けの資材が10当たり約13万程と高価なことで、自然乾燥の拡大に難点であったが昨年から改良パイプ杭を考案し、10a当たり約半分の経費で資材が調達できた。稲の乾燥という面から見れば「はさ架け」の方が良いのは当然だが、経費がかかり過ぎるのが難点。アルミパイプ杭は一度調達で十数年は使用可能になる。パイプはさ資材も耐用年数は結構長く使用可能。
改良パイプ杭架け 2013.10.02 湯沢市川連町清水屋敷
このパイプ杭の特徴は田んぼに突き刺す部分と稲をかける部分を分離し、誰でも使用できるように改良したことにある。それまでの稲杭は約240㎝の長さの杉材で、田んぼに付きさす作業が重労働で、この作業を嫌って自然乾燥が激減してしまった。改良パイプ杭は初めに金テコで穴をあけ、その部分に改良パイプ杭を差し込み、建設用パイプ等で差し込み固定する。そしてその部分に竿部分のパイプを差し込めば良いのだから簡単な作業になった。後の稲架けははさ架け作業同様、誰でもできる。この改良パイプ杭は10aあたり約35~40本使用される。
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