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「坪池」のトンボ

2015年07月07日 | 地域
7月に入ると田んぼでは一斉に「アカトンボ」が生まれる。4日に確認したがまだ始まったばかりだ。「アカトンボ」は通常はトンボ科アカネ属(アカトンボ属、Sympetrum属)に属するトンボを総称して呼ぶ。羽化直後は未成熟で体色は橙色をしている。これらのトンボは近くの山に飛び立ち、稲刈り頃になると繁殖のために田んぼに戻ってくる。

アカトンボ 2015.7.4 川連町清水屋敷

このブログは田んぼのトンボは主ではなく、ここ一ケ月間の「坪庭」の小さな池に繰り広げられるトンボ達の記録。「坪池」とは私の造語。当地では屋敷内にある小さな庭を古くから「坪」(坪庭)と云っている。坪にある池を「坪池」とした。前々回の6月12日のブログ、「金魚とイトトンボとアメンボ」でのカワトンボの正しい名は旧の名「ヒガシカワトンボ」、現在は「ニホンカワトンボ」と呼ばれていることを(財)日本自然保護協会 自然観察指導員の羽後町の「大日向」氏から教わった。翅に赤い斑点があるのは♂だと云う。


ニホンカワトンボ(透明型)♂ 2015.6.11 東の坪池 

「ニホンカワトンボ」は、透明な翅をしたタイプと橙色の翅をしたタイプの二つの型がある。「♂は橙色形と透明型の2型に分かれ、一般に橙色型がなわばりをはり、♀にも優位性があると言われている。♀は透明型のみである。平地から山地にいたる清流に生息し、4月下旬から7月中旬に現れる。腹は緑光沢で美しいが成熟すると白い粉を吹く」(引用)先日雄勝野草の会の研修で、同行の大日向氏が山形市野草園を散策中に橙色の翅をしたニホンカワトンボ(ヒガシカワトンボ)を見つけた。羽化したばかりなのか「ヒメクロサナエ」と一緒の葉に止まっていた。

ニホンカワトンボ(橙色型)とヒメクロサナエ 2015-06-10 山形市野草園

7月に入って我家の北の「坪池」周辺に次々にトンボがやってくる。この池を中心に約50m周辺に、池が自宅の二つの池の他に隣家のため池が三つの計五つある。一番新しい池が我家の「坪池」で平成9年造成、他は100年以上前から存在し、野生生物が生息するビオトープが形成されている。

我家の北の「坪池」は適度に日あたりも良く、周りのトチの木やイチイの木が池の周りを囲みトンボの居場所に適しているように思われる。

 ハラビロトンボ? 2015.7.2 坪池

羽後町の大日向氏は「ハラビロトンボ」かもしれないという。「シオカラトンボ」の♀か。大日向氏は♂、♀の尾部付属器の形で識別されるという。この写真では不鮮明、なかなかすばやくてデジカメに収まりにくかった。穏やかな日で石の上がお気に入りのようだ。近づく気配で屋根越して飛んでしまった。

 オオイトトンボ?(スイレンとキンギョ)2015.7.3 坪池 

「坪池」のスイレンが開花した。イトトンボは「オオイトトンボ」か、スイレンの葉が指定席らしい。デジカメで覗いていたらキンギョが横ぎった。


シオカラトンボ 2015.7,4 坪池

「シオカラトンボ」、精悍な姿はこの「坪池」の主役だ。トンボで以下の解説がある。「トンボの頭には大きな目があり、頭の大部分を目が占めています。トンボは飛びながら、えさとなる小さな昆虫を捕まえるため、昆虫の仲間で一番よい視力を持っています。トンボの頭には、大きな 1対の複眼と 3個の単眼があります。複眼は、小さな目が 1万から 2万 5千個も集まって出来ています。複眼は、ものの形や色をとらえ、単眼は光の強さをはかって複眼のはたらきを助けています。トンボの複眼の色は、青色、緑色、茶色、赤色などと種類や成熟度によっても違います」。引用 「シオカラトンボ」の二つの目はくっつき「イトトンボ」の二つの目は離れている。

ノシメトンボ 2015.7.5 坪池

田圃から飛んできたのか。この池で羽化したのかはわからない。「ノシメトンボ」は「アキアカネ」と並んでよく見られるアカネ属の普通種。6日の午後、いきなり飛んできたトンボは「ダビトサナエ」らしかった。「ダビトサナエ」は良く目にする「オニヤンマ」を小型にしたようなトンボだ。池の水面に急降下して尾を水面にたたきつけること3回繰り返して、隣家のため池の方に飛んで行った。このトンボの産卵を初めて目撃する。素早い一瞬のことでデジカメに収めることはできなかった。

これらのトンボは曇天だとほとんど見当たらない。晴天だと毎日のように目にする。不思議なことに日替わりで現れる。北の坪池はトンボにとって最良の場所なのか、先着がいると他のトンボはその場所を避けるのか、いつも一種類しか見当たらない。先着がいると他の池周辺を回っているのかもしれない。今日になって「オオイトトンボ」が2匹いることに気づいた。このトンボも他のトンボが来たときは目につかなかった。唯一この坪池で羽化したのだろうか。このトンボは比較的水面に近いところを縄張りとしている。

2014.7.29に『帰ってきたスズメと「サンクチュアリ」モドキ』で、スズメ等の野鳥との共生について私案を書いた。今回はトンボ等野生の生きものが息づく空間、我家の「坪池」でのトンボの目撃情報を紹介した。

「ビオトープ」とは野生の生きものが生息する空間を指すドイツ語の造語。近年自治体等が自然の再生や保全を目指して「ビオトープ」造りを推進している。「ビオトープ」の普及啓発に「日本生態系協会」(1992)が設立されている。地域には昔から屋敷内に「堰」が流れ、ため池があったが近年荒れてきているが野生の生きものが根付いている。これらのため池、堰(水路)等は「ビオトープ」と呼ばれても違和感はない。しかし、これらのため池も多少人の手を加えなければ荒れてしまい、トンボもホタルも棲めなくなってしまうかもしれない。

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