最近のSUBARUですが、続々と良いクルマを出してきていますね。
レヴォーグ、WRX、レガシィ、XV、マイナーチェンジしたインプレッサ...
どれも大変魅力があり、欲しくなってしまうところですが、エクシーガに関してはメーカーの方でもほぼ放置状態...というか、モデルチェンジの情報も無く、「SUBARUに乗りたいけど、たまに6~7人乗りが必要になる」という一部のファンのためのクルマになっています。
立ち位置が微妙なんでしょうね...
「走りは大切にしたい... でも箱型ミニバンはイヤ」というユーザーの受け皿になってもう、6年?(2008年にデビュー)
考えてみると、ずいぶん息の長いモデルです。
私のエクシーガも、手元に来て既に4年目。
特にこれといって不調や故障も無く、頑張ってくれています。
さて、久々のエクシーガの記事なんですが、今回はStiのあの「謎のパーツ」を装着するにあたっての、パーツに関する考察です。
そのパーツとは「フレキシブルタワーバー」。
SUBARU車に乗っている好事家なら釈迦に説法でしょうが、他のメーカーの車に乗っていると絶対に試せないムフフなパーツです。
何故かというと、通常のストラットタワーバーの様にストラットの左右を剛結せず、バーの中央にピロボールジョイントを仕込んでいるという、「これの何処が補強パーツやねん」という、SUBARU専用のパーツだからです。
この、「何処が補強パーツやねん」という点について、私も長年疑問を払拭出来ずにいました。
メーカーの説明文を読んでも、「運転が上手くなるパーツ」等々、抽象的なものでいまいちピンときません。
また、「みんカラ」などでこのパーツを取り付けている人のレビューを見ても、相変わらず
「オクでポチって付けました 効果のほどは鈍感なのでわかりません(爆)」
とか、
「箱根オフ会に向けて装着しました(爆)」
とか、
「元々付いていたので効果は分からず(爆)」
とか、
「感謝ディで安かったので購入(爆)」
とか、
「○○オフで被爆(爆)」
とか、
「付けたばかりなので効果は分かりません(爆)」
などなど、レビューにもなっておらず全く参考になりません。(しかも「パーツレビュー」と「整備手帳」の区別すら出来ていない)
自分としては、このパーツの理論的な解釈をして納得した上で装着したいので、開発者の辰巳英治さんのコメントをあちこちで探してヒントを得ようとしました。曰く、
「今までのチューニングの教科書には無い発想」
「ボディ全体を使って曲がる」
「鉄板と溶接で出来た車体の内部応力を抜いてやる」
「不快な入力は、受け止めるのではなく、いなす」
自分的には、既にケツの部分に「フレキシブルサポートリア」を組み込んでいる事もあり、フロントとリアのバランスを取りたい、という想いもあり、辰巳さんのコメントから推察するに、
「固めるところは固め、抜くところは抜く」
のがドライバーの疲労を軽減させ、それが運転に余裕を生み、安全に繋がるのだな、と解釈しました。
そして、渇望していたフレキシブルタワーバーの理論的背景を説明した特許公報を発見!
これ↓(別ウインドゥになりませんので、ブラウザの「戻る」で戻ってください)
http://www.ekouhou.net/%E8%A3%9C%E5%89%9B%E8%A3%85%E7%BD%AE/disp-A,2009-023529.html
簡単に言うと、このタワーバーを「ストラット中心からオフセットし、且つピロボールを組み込んだ事により」、「曲がろうとする方向に沿って自然な感じにボディ左右が捻れるため、曲がり易くなる」という事と、「ジャッキアップ現象の減少により、路面に対するタイヤの喰いつきがより確実になる」という事、じゃないかな?と思います。
左右のストラットはタワーバーによって繋がっているため、エンジンルーム左右が外側に広がる事は無いでしょう。
逆に、ステアリングを切ってコーナリングフォースが発生し、エンジンルーム左右のどちらかが正面から見て内側に倒れ込む力が加わった場合、ストラット中心からオフセットされたバーの配置と、ピロボールジョイントの働きで、エンジンルーム奥側に向かってバー(とボディ)が曲がり、ノーズの部分が旋回方向に向かって「先すぼまり」になってステアリングの切れ角を大きくした事と同様の働きが生まれ、結果として曲がり易くなると考えられます。
また、ストラット左右が剛結されていないため、左右どちらかの車輪に強い入力(突き上げ等)があった場合でも、通常のタワーバーのようにもう一方の車輪にその入力が伝わる事も無く、ジャッキアップ現象が起きないので、路面に対するタイヤの追従性が保たれ、トラクションも良好となる。
そして、ピロボールの働きで、例えばデコボコの多い道路などの不快な縦のゴツゴツした入力が緩和されるため、乗り心地が良くなると思われます。
これを、判り易く図にしてみました。
↑概念図1
図1では、フロントの部分を上から見た概念図です。
指で引っ張っているのは、フレキシブルタワーバーです。
曲がりたい方向に舵を切ると、フレキシブルタワーバーの特性により曲がりたい方と反対方向(左旋回なら右フェンダー)に「先すぼまり」を促進させる効果が表れます。
これは、タワーバーが「ストラット中心からオフセット」され、なおかつドライバー側(手前側)に曲がり易い(入力が逃げ易い)形状のためと考えられます。
↑概念図2
図2は、正面から見た状態です。
正面から見てフロント部分が地面に対して逆ハの字になるため、曲がりたい方向へ転舵がよりスムーズに行われる事が想像出来、また、左右別々の入力に対応しつつ、不快な突き上げを「いなす」事が容易に想像出来ます。
件の特許公報を見ると、右フェンダーだけではなく左フェンダーも地面に対し少し逆ハの字になるようです。
簡単に言うと、「左右のフェンダーがステアリングを切った方向に捻じれるため、曲がり易くなる」って事だと思います。(多分)
フレキシブルタワーバーで画期的な事は、今までの様にボディ剛性を高めてサスペンションに最大限仕事をさせるという方向ではなく、「外力によるボディの捻じれ(しなり)すら、操縦性を高めるために利用する」というトコロでしょう。
ただし、同じようなパーツを水平対向エンジン以外の~例えば、SUBARU以外では一般的な横置きの直4やV6、縦置きの直6、V6などの車に装着した場合、どこまでこういった理想的なボディの変形が生じるのかは判りません。
もしかしたら、低重心且つ左右対称なボクサーエンジン搭載車にのみ効果が現れるような、つまりはスバリストのみが享受出来る特権かもしれません。
私は以上のような、フレキシブルタワーバーを装着するための「理由付け」をハッキリさせてから購入したかったのです。
この特許公報で長年の疑問が氷解したため、迷い無くフレキシブルタワーバーを装着する事に決めました。
(※素人の私なりの解釈ですので、間違っているかもしれません)