カズTの城を行く

身近な城からちょっと遠くの城まで写真を撮りながら・・・

お城&キャラクター土産  ②

2008-10-07 21:29:33 | Weblog
今回は、名古屋城です。





7月19日、久しぶりに訪れた暑い日の名古屋城。大相撲名古屋場所と重なって、お相撲さんも見かけました。名古屋城に登城して展示品を見たり、売店できしめんを食べたりしました。
土産は、キティちゃんシリーズで金シャチのキティちゃんです。
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『戦国に散る花びら』  第十三話  二人の生還

2008-10-07 00:44:36 | Weblog
「もう駄目かもしれんのお・・・。生きているのが不思議なくらいじゃ。」
薬師は、愛美の痩せ細った身体を見てしみじみ言った。もう何日も愛美は眠り続けている。
「愛美は、先生を待っているのよ。だから死なないのよ・・・。先生帰って来て、お願い。」
さゆみは祈った。
薬師も帰り、さゆみと渡名部、そしてお瑠衣の三人が愛美に付き添っていた。さゆみも渡名部も疲れでうたた寝をするような状態なので、お瑠衣が二人の分まで愛美の様子を注意して見ていてくれた。
そんな二人もハッと目を覚ましてしまうような足音が部屋に迫って来た。バタバタと音を立て誰かがやって来る。そして勢いよく襖が開いた。
「み、三津林が帰って来おったぞ!」
榊原が息を切らしながら言った。しかし三人は呆気にとられてしばらく言葉が出なかった。
「ほ、本当ですか?」
やっと渡名部が言葉を発した。
「ああ、本当だ。」
そう言っている榊原も呆然としている。そうこうしているうちに、再び廊下を歩く複数の足音が聞こえてきた。
「さゆみさん、三津林さんですよ!」
およねの声だ。
「渡名部さん・・・。」
そう言ってさゆみは、渡名部の顔を見た。初めは信じられなかった二人にも、期待感が沸々と湧いてきた。
「先生・・・。」
「三津林君・・・。」
榊原の立っている横へ、およねと茂助に両脇を支えられた三津林が現れた。
さゆみが立ち上がって三津林の所へ行った。
「先生、待ってたんですよ。・・きっと無事に帰って来るって、信じて待ってたんです。」
さゆみが涙を流しながら言った。
「ああ、何とか生き延びたよ。」
「先生、愛美が・・・。」
そう言うさゆみの目線の先には、眠る愛美の姿がある。三津林は、一人で愛美の所へ向かった。
「三津林君、よく生きて帰って来てくれた。・・本当に良かった。」
渡名部の目にも涙が浮かんでいた。
「心配かけてすみませんでした。」
「いいんだ、さあ・・・。」
渡名部は立ち上がって、三津林を愛美の横に座らせた。
「よくぞご無事で。・・皆待っていましたよ。」
「お瑠衣様、愛美を置いて頂きありがとうございます。」
お瑠衣も立ち上がり、榊原達の所へ下がった。
「このお方は?」
見慣れた人物等の中に、初めて見る顔があった。
「かんご、いえ、三河の薬師の方です。」
愛美のもとに、三津林と薬師を残して、さゆみ達は部屋を去った。



三津林は、愛美の手を握っていた。
「看護師さん、信じられないでしょ・・。」
「ええ、今も夢を見てるんじゃないかと思ってます。」
「それが普通だよね。でも現実なんだよ。・・愛美も、さゆみ君も、渡名部さんもタイムスリップしてこの時代に来たんだ。」
三津林は、安達久留美とともにあの崖を落ち、谷から現れた光の中に吸い込まれて、再びこの時代にやって来た。そして三河からこの浜奈へ帰って来たのだ。
「でも、君まで巻き添えにしてしまって、申し訳ない・・。」
「帰れれば、ちょっとした旅行だと思って我慢しますよ。それにあなたの若い奥様が元気になるように、お手伝いします。」
「ありがとう・・・。」
そこへさゆみが、久留美に頼まれた水の入った器を持って部屋に来た。
久留美はその水で、三津林の持ってきた薬を愛美の口に流し込んだ。
「薬師の先生も現代から来たんですね。」
当然、格好を見れば戦国時代の衣装でないことは一目瞭然。
「薬師の先生なんてやめて下さい。私はただの看護師です。久留美と呼んで下さい。」
「で、どうですか愛美は?この時代のお医者さんは、ヤブでたいしたことしてくれないんですよ。」
「実際危ない状況だったと思うけど、意識は戻っていなくても、ここまで生きてるってことは、回復する可能性は充分あると思います。」
三津林は、何も言わず愛美の手を握っていた。
それを見て、さゆみと久留美は部屋を出た。



「さゆみさんは、現代に帰りたくないの?」
廊下でさゆみと久留美は、話をしていた。
「どうかなあ?帰りたいと言えば帰りたいし、この時代でも良いかなとも思うし・・・。」
「でも戦国時代でしょ。・・殺されたりしちゃうんじゃないの?実際、三津林さんも殺されそうになったんでしょ。」
中庭に静かな風が吹いている。
「だけど、こんなに静かなんですよ。人間が殺し合っていても、自然はこんなに私達のいた時代とは違うし、殺しあってる皆も一生懸命に生きて戦ってるの。偉い人も身分の低い人も皆、この自然の中で素直に生きてる。最初は、凄く不便だったし、食事も粗末だったけど、皆優しいし、年齢関係なく付き合えるし・・・ただ愛美があんなことにならなければ・・・。」
久留美は、さゆみの目に流れる涙を見た。慌しく過ごすあの時代では、こんなに人を思う涙は、そうそう見られない。病気に苦しむ人を何人も見てきた久留美も、今いるこの時代は、簡単には治せない病気も、人間同士が当たり前に殺し合う状況も受け止めて、皆必死になって生きてるんだということを、同じ時代から来た若いさゆみから感じ取れた。

「愛美、ごめん。一人ぼっちで苦しい思いをさせて・・・。ちゃんと生きて帰って来たから目を覚ましてくれ・・・。」
目を閉じて愛美の手を握る三津林の心に、今までには感じられなかった愛美への深い愛情が充満している。心から愛美を愛おしく思った。
「せ、ん、せ、い・・・。」
三津林の耳に小さな声が聞こえて、目を開けた。
愛美の唇が、微かに動いているのが分かった。
「愛美・・・。」
「せ、ん、せ、い、遅いよ・・・。」
愛美が喋っている。
「愛美!愛美!」
「先生も、私も、生きてるの・・・?」
小さな声だが、確実に唇を動かして問いかけている。
「生きてるよ、二人ともちゃんと生きてるよ。」
ゆっくりと愛美の瞼が開き、視線を三津林に向けた。そして涙が一粒流れた。
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