北海道函館市の建築設計事務所 小山設計所

建築の設計のことやあれこれ

『寝技の世界』

2016-10-30 12:12:09 | 日記


住宅の設計の仕事をしていると、『寝技の世界』に巻き込まれる、、、。こっちも設計士

のはしくれですから、柔道でいえば立ち技一本、なんとか技を決めたいのですれども、敵

もなかなかで、そうは簡単にはさせてはくれない、、、。



「いま使っている我が家の洗濯機は、浴槽の残り湯用のポンプが調子悪くてホースが長い

と時間かかってしょうがないから、こんど建てる家の洗濯機置き場は、絶対に浴槽のすぐ

隣でなきゃダメ」


吉村先生も昭和の30年代にして、すでに階段踊り場の中二階の浴室の残り湯を、階下の

台所の横の洗濯機に給湯?する仕組みを実現しているわけで、おっしゃることはごもっと

もなんですけど、、、。少しでも離れているプランなんて見せようものなら、「この設計

士は、人の言うことを何にも聞いていない、、。」となりかねません、、、。(白物家電

洗濯機メーカーのみなさん、お願いだから、超高性能ポンプ付き、超高性能濾過フィルタ

ー搭載の洗濯機を開発して下さい、、、。)


アパート住まいの場合はそうでもないのですが、建て替えや貸家の場合は、いま住んでい

る家に対する不満を、最初から延々と聞かされるケースが、ものすこく多い。(だけど、

その家は僕が設計した家じゃないんですけど、、、。)


そうかと思うと、「○○○さんの家は×××が素敵だった」とか、「△△△公園の横に建って

いる家が理想だわ」と言われても、僕はその延々と聞かされる○○○さんの家を見たことも

ない訳で、わざわざ△△△公園に行っても、どれが理想の家だか、さっぱり判らない、。


前にも書いたかも知れませんが、一番困ったのは、「他人から見下さられるのは嫌だか

ら、こんど建てる我が家は隣の家より高く(値段じゃありません、建物の高さです)して

頂戴、お祖父さんもそう言っているの、出来ることなら敷地の地面を1メートル高くした

いわね」と言われた時、、、。(僕の親戚なんです、豊洲じゃないんだってば、、、)


病院に入院すると、普段の人格とは人が変ってしまうケースがあります。入院したらば、

心配するのは自分の身体と家族のことだけ、普段は愛想も人付き合いも良い人が、それま

でとはうって変わって急に我儘になって、どこの病院に入院しても、看護婦さんたちと

すぐに喧嘩して病院を飛び出してしまいます。「こんな病院はダメだ、、、」です。

(でも、ほとんどのケースでは、どんな病院も同等レベルの医療を提供しようとしている

と思うんですけど、、、)


住宅を建てる時も、それまでの自分達の経験や見聞の範囲内での、「ここはこうしたい

の」「これはゆずれないわ」「これならリーズナブルだわ」が延々と続きます。



『寝技の世界』です。



いま、住宅を建てるということが非常に個人的な事柄になってしまっている気がします。

スーパーの買い物と同じで、自分の欲する商品をカートに入れてレジに並ぶだけ、レジの

「チン」の音で終了です、、、。


住宅メーカーやハウスメーカーの営業の方々は、こういった場面ではプロ中のプロです。

建て主さんの「欲望」を上手に、落としどころに落としてくれます。寝技でも何でも対応

してくれます。僕には、とても真似できません、、、。







追記  本当は、一晩でも寝かせてからupしなければいけない文章なんでしょうけど、、





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