おはなしきっき堂

引越ししてきました。
お話を中心にのせてます。

茜色のお花畑 9(作る)

2020年07月15日 | 茜色のお花畑


昨日、昼から少し歩く。
正直に言うと本当に久しぶりだ。

近所のこんな誰も通らない道を通るのは、全然デメリットはないんだけど、どうも出る気にならず。




人も通らないけど車もあまり通らない。


たまに見かけるのは私と一緒の散歩の人。

なんでこんなに出歩かなかったのかというとひとえに忙しいというのが、ぴったりかも。
以前、在宅仕事をしていた時には一日中座っていることが多かったけど、仕事を辞めた今、結構動き回っている。
母に電話をかけると「する事がなくて暇で暇で」と言うが、私は家でする事が多々あり、またこの機会にと思っている事もあるので、時間が足りないぐらいだ。

あまりにも歩いてないので、きっと足が痛くなったりするもと思ったが、全然だった。
家の中で動き回っているからだろう。
ただ、少しこれからの季節は、買い物以外で外に出ないとと思う。
ずっと天気が悪かったので、運動不足というより日光不足で気分がちょっと沈みかけていた。

今日は、この後歩くのではなく少し原付で走ってこようと思う。
買い物はしないで、本だけ返しに行こうかと。
いつも書いてますが・・・
長いので興味がなかったら読み飛ばして下さい。
それと、読み直して修正したりするのでたまに後で少しだけ内容が変わったりします。




*********
【茜色のお花畑 9(作る)】

フリーマーケットが終わり、日常が戻って来て結構バタバタしている間にあっという間に2か月が過ぎ12月になった。
少し落ち着いてきたので、ネットでの販売をしてみようかと考え始めた。
まず、タクミに相談するとすぐにホノカちゃんと一緒にやってきた。

最近では、こういったハンドメイド作品を販売するサイトがたくさんあるらしい。
ただ、いろいろと注意をする事があるとホノカちゃんが、教えてくれる。
まず、「オリジナル」である事。
私が今まで作って来たのはだから駄目だという事。
生地などもブランドやキャラクターのものは駄目。

やっぱり難しいなと思っていたところ、ホノカちゃんが
「じゃあ、私がイラストを描くのでそれをおねえさんが形にしてみます?でもちゃんとイラスト料下さいね。」

チョサクケンとかシヨウキョダクジョウケンとかいろいろと訳の分からない言葉をホノカちゃんが言ってくれるのを、とりあえず真剣に聞いた。

あとタクミが
「まずそこまで作れないと思うしそんなに売れないと思うけど、こういったのの収入って枠があると思うんだ。そのあたりスタートした直後に誰かに相談した方がいいな」と。

私は、それならヤマダさんに相談するというと「それはいいね」と若い二人は、微笑みあった。
この子たちは、きっとお互いが大好きなんだなと微笑ましいのと少しうらやましくなる。
私は、恋なんて出来るんだろうか?と疑問だ。

そういえば、休日に最近ノグチさんからたまに誘われて数週間に一度
お蕎麦を食べに行く「蕎麦会」と言うのをしている。
タクミやホノカちゃんが一緒の時もあるし、二人だけの時もある。

別に何を話すのではなく、蕎麦を食べに行くだけだ。

「ねえちゃん、ノグチさんとはどうなの?」とタクミが聞いた。

「へっ?」
間抜けな声が出た。

ドギマギしながらも、結構頭の中は冷静でなんの感情もわかない。

「そうね・・・ヤマダさんとサトウさんと一緒でいい「お友達」って感じかも」と答える。

ホノカちゃんが
「やっぱりそうですね。でも、ノグチさんもなんかそんな感じでおねえさんと友達って感じがします。」

「ホノカ、なんでそんな事わかるんだよ」

「だって、女の子なんですもの。ねー、おねえさん。」

ホノカちゃんが、真剣に言うその表情がおかしくてみんなで笑った。

二人はその後、ハナとじゃれあって帰って行った。
ホノカちゃんは来週までに、イラストを描いてきてくれるらしい。

最近、仕事も早くなってきた。
図面を見るとどの部品をどの部分につけて組むかもわかって来たので、一人で仕事を任せてもらえることも多くなる。
サトウさんなどは、「アカネチンの方が、段々早くなってきたな~」と言ってふくれる。
単純にうれしい。
複雑な作業ではなく、ごく簡単な作業だけどちゃんと仕事として一人前に認めてもらえるようになるのはとてもうれしい事だと気がついた。

母が生きていたらどう言っただろう。
「服が汚れるような仕事なんて駄目よ!」って言っただろうな。
昔、この業界は3Kと呼ばれていたらしい。
「きつい」「きたない」「危険」
確かにと思う面もある。

私の仕事はきついにはあまり当てはまらない。
汚いというも、手先が汚れる程度だし、座って組み立てるのが主なので危険もない。
ただ、その分パートなのもあるけどお給料も安い。
もし、家賃などがいるところに住んだらきっと生活が出来ない。
だから、サトウさんとかは本当に頑張っている。
シングルマザーで児童扶養手当などが出ているが、本当にぎりぎりだと言っていた。
別れた旦那さんからの養育費は、ほぼ入ってこないらしい。
だから、社員になりたいんだと言っていた。

先日、アリサちゃんが小学校に入ったのもあり、会社に直談判したらしい。
その時に条件を出されたと。
今の組み立ての仕事では、社員には出来ない。
前にイノウエさんがやっていた曲げの作業をするなら、考えてもいいという回答だった。
サトウさんは悩んでいる。
最近、機械は良くなっていてそこまで「危険」はない。
それでも、やっぱり「注意一瞬、怪我一生」と毎朝言っているけど、危険はある。
そして、立ったままの仕事はとても「きつい」し、重い材料を持ったりするしその材料自体に油などがついているので、汚れる。

やっぱり3Kかもしれない。

「私もヤマダさんのようにパソコンとか使えたら、他の就職先あるんだけどね」と。

「今から勉強したら?まだ、私よりずっと若いし」というと

「えーーっ、無理だよ。勉強嫌いだったら今ここにいるんだよ」と言ってケラケラと笑った。

私は組み立ての仕事が、決して単純な作業だとは思わない。
特にカミデさんのようにびっくりするほどのスピードとそして正確さがあるのは、職人なのだと思う。
でも、「単純な作業」「簡単な作業」そして「パートでも出来る作業」として扱われてる。

最近、マエダさんがよく休むようになった。
お姑さんの容体が悪化しているそうだ。
やめて介護をしようかと旦那さんと話し合っているのだと。
でも、そうなるとマエダさんだけの負担になる。
すでにそのような状態で、旦那さんと毎日口論になると。
子どもさんは独立されているとはいえ、家でお姑さんと二人でいるとかなりストレスがたまるから、出来れば短時間でも仕事は続けたいと言っていた。

女の人だけが、介護をしないと駄目なのだろうかと疑問だ。

1週間たった時に、ホノカちゃんがイラストを持ってタクミと一緒にやってきたので、マエダさんの介護の事話をした。

「おかしいですよ。だって、旦那さんのお母さんなんでしょ。自分の母親を奥さんに丸投げなんて。私だったら絶対に嫌!」

タクミが「俺なら絶対にお袋の世話をしてくれと言わないな。自分も頑張ると思う」というと二人は顔を見合わせて笑った。

ご馳走様ですと私が言うと二人は真っ赤になって同時に

「いや!そう意味じゃなく」と叫んだ。
ハナが何事!という感じで飛んできて、タクミにかじりついた。

「いたい!ハナ!やめろ~~~!」とタクミが叫ぶと余計にハナが齧る。

私たちは大笑いした。

ホノカちゃんが、描いてきてくれたのは2点。
マンボウと「ハナ」のデザインだった。



「単純でたくさん出来る方がいいかと思って」

いろいろと考えて、まずキーホルダーを作ってみたらという事になった。
とりあえず今週中にサンプルを作って、1ヶ月の間に5点、5点で10点。
あまり売れなかったら辞めようかと。
材料費も安く済むように考えた。

2人が帰ってから、ホノカちゃんの絵から、型紙を作ってみる。
あまり凝らないでそこまで立体にはしないように、考えた。
マンボウはパーツ事にいろいろと布を変えることに。
ハナは尻尾を別に縫い付けることに。

次の日が日曜日だったこともあり、1日中・・・いやハナが起きていない時間頑張った。
ハナがいると裁縫箱をのぞいたり、針を持っている手にじゃれたり、糸をからましたりするので危険。

うまく作れたと思っても綿を入れるとなんだか不細工になり、何度も型紙を書き直す。

最後に納得のいく出来になったのは、もう深夜12時をまわっていた。
「今日」は月曜日だ、仕事にいかないと駄目なので作業を終了した。

ただ、その後なんだか眠れなかった。
「仕事」とは「働く」という事は、とても大変でそしてとても大事な事だと。
サトウさんは、アリサちゃんを養うため女性にはとてもハードな仕事を選択しようか迷っている。
そして、好きだけでは仕事は成り立たないというのは、このネット販売でいろいろと分かった。
仕事量だけで言うと、マスコット1つ作るのにホノカちゃんのイラストから始まって、私の型紙作り、そして裁縫。
どれだけの時間がかかっただろう。
そして材料費やその後のネット販売での手数料や送料。
1つにかかる労働力や手間がとてつもなくかかっている。
100均で売っているマスコット。
あれは、手作業ではなくたくさん作りまた人件費をカットすることで出来ている値段。
もう、いろいろと考えすぎて頭の中がぐるぐるしてきた。

それとマエダさんちの介護問題。
マエダさんは、家でお姑さんと二人でいるより、たまには仕事に出た方が楽しいと言った。
息子さんが独立した今は収入以前の問題だと言っていた。
旦那さんは大手企業の社員だ。
残業残業で、家には深夜に帰ってきて何もかもマエダさんに頼りっぱなしだ。
ふとノグチさんの事を思い出した。
「蕎麦の会」が楽しいのだと言っていた。
ノグチさんは、自分の母親の面倒を見ている。
仕事もしなければならない。
でも、マエダさんのように義理のお母さんではなく、自分の母親だ。
ただ、仕事は正社員で労働時間はマエダさんよりはずっと長い。
誰が大変で誰が楽かなんてわからない。
マエダさんの旦那さんの言い分もあるんだろう。
ただ、ノグチさんのように独身だったら、自分でしなくてはならないんだ。
そうなった時にどうするのか。
そして、もし私だったらどうなるのか・・・。

ハナがわきの下で寝ている。
最近は、こうやって布団にもぐってくるようになった。
その寝息とぬくもりを感じていると、やっと眠りにつくことが出来た。

翌日、出来上がったマスコットを持っていろんな人の意見を聞くことにした。
雨だったのでヤマダさんが迎えに来てくれた。
このところ、小ぶりの時は自分で合羽を着て行っているんだけど、この日は結構な雨で前日から、ヤマダさんは天気予報を見て「迎えに行くから」と言ってくれていた。

マスコットを見せると
「これはいいわ!」と褒めてくれてうれしくなる。
そして、こういったのは副業になるのかと相談するとある一定の金額を越えないと大丈夫らしい。
会社にもその程度なら申請はしなくてもいいだろうという事だった。
増産は出来ないから、そこまでの収入は期待できないと言うと「そうだよね」と笑った。

ハナのご飯分ぐらいの収入になればというと
「それも結構大変よ」と言い「楽しんで出来る趣味だと思ってやった方がいい」とアドバイスをもらった。

組み立ての人たちにも見せた。
みんなそれぞれいいねと褒めてくれた。

カミデさんは、マンボウのマスコットを気に入ってくれて、出来上がったのをひとつ買いたいと言ってくれる。
「プレゼントしますよ」と言うとダメダメ~と言ってほっほと笑った。

その日の帰り、ヤマダさんがまた送ってくれる。

ただ、なんだか表情が暗かった。
「アカネチン、最近の世間の状況ってわかっている?」と聞くので、うーんと考える。
そういえば、どこかの国の何かが倒産したんだとテレビで言ってたような。
あまり自分には関係のない話だと真剣に見ていなかった。
株価がどうのこうのって、よくわからないし。

ヤマダさんが
「ずっと景気が悪かったけど、どうやら本格的に悪くなるみたい。最近仕事少なかったでしょう」と。

そういえば、今日もマスコットの話をしながら倉庫の整理をしていたんだっけ。
最近、仕事がすごく少なくなって手持ち無沙汰になって、今まで出来なった整理をしようという事になったんだっけ。

「ちょっと、覚悟をしておいた方がいいみたい。アカネチンは独身だし若いから大丈夫だと思うけど。危ないのはカミデさんとマエダさんかな・・・。サトウさんは正社員になりたいと言っていたけどどうだろう。曲げに行ってもなれるかどうか・・・と言うか、残る条件で曲げにと言われるかもしれない。それに私も危ないかもしれない。今の時点ではサブのポジションだから、上司だけ残るかも」

最初、よく話がわからなかった。
???と言う目をすると、ヤマダさんが「リストラで人員整理」と。
「融資の条件」で銀行から提示されたらしい。

リストラで人員整理・・・。

ええええええ~~~。

目の前が暗くなった。

                               <続く>

****************************************

正直、この話を書き始めた頃、こんなイレギュラーな不況がまたやってくるとは思わなかった。
今回は多分私が以前いた業種より飲食業や旅行業者などが大変だ。
夫は、その私が以前いた会社と同じ業種に勤めている。
これは、失業したときに私がチラシで見て、同じ業種だしどうだろうと勧めたところで、どうやら夫には合っていたようで、今は給料が安いながらもそこそこ楽しそうに行っている。
夫も、実は大学を出てから勤めていたところは、合っていなかったのだと今は思っている。
最初から、今より少し大手の企業に勤めていたらきっと続けていただろう。

ただ、今後どうなるかわかない。
現在も給料が減っているし、実は高齢の方がやはり「リストラ」ではなく、契約が・・・と言うので切られた。
ある程度の年齢になると契約という形になっているらしい。

幸いなことに息子(勤務地東京)の業種は大丈夫なようで、毎日忙しく過ごしてるのだけど、やはり今は在宅から出勤に戻り、尚且つ県をまたいで移動している。
夫が毎日息子の会社の株価を見ているんだが、落ちてはいない。

さて、このアカネがやろうとしている事、私も実は考えていろいろと調べてみた。
ところが、経理をしていた関係で、もう損得の計算が見ているだけで、すらっと計算されてしまう。
在宅の仕事をもらうまでいろいろとチャレンジしたけど、この期間に学んだのは
「好きな事だけしてお金をもらうのは大変というより不可能」という事。
依頼を受けて描くという事もしたことがあるけど、提示された金額はびっくりするほど低く、材料費さえ出ないというより、送料などを考えると私がお金を出してもらっていただいているという状況になった。
仕事が入ってくるわけではなく営業力もいるし、やはり勉強もいる。
嫌いな事もこなしてやっと仕事と言う形になる。
そして好きな事と出来ることは違うという事。
この期間に理想だけでは仕事には出来ないという事をはっきり知った。

その後、在宅の仕事を紹介してもらう。
雇用形態が「在宅パート」という形で。
事務の仕事をしていた時は、入力する仕事は嫌いじゃなくまた早かった。
その頃に、独学でいろいろと学びいろんな事がパソコンで出来るようになった。
ああパソコンだけさわってられる仕事だったらいいなとずっと思っていた。
これが、かなった。
嫌いじゃなくて続けられて、ちょっと好きかもって仕事が在宅で出来るようになったのだ。
とてもラッキーだった。
ただ、どの仕事もそうだけどデメリットも多々あった。
締め切り前は、胃がキューとしたし間違っていないかも掲載されるまでドキドキした。
それとわからない事があっても気軽に聞けないというのが最大の問題だった。
自分で解決しないと駄目で、それを調べるの時間は「お金にならない」
間違いチェックも結構念入りにしていたけど、これもお金にならない。
これは、後で自分で間違いチェックの一発検索を言うの作り、時間がかなり省けるのと正確になったが、その作っている時間もタダだ。

好きな事は、ちゃんと他で収入を得てそしてそれからするというのが、今の私の考え。
今は私自身は収入は得ていないから、まず家の事を先にしてからだと思っている。

そうそう、間違いと言えば・・・。
全部完成してチェックも済ませたので、席をたってトイレに行って(我慢していた・・・笑)戻ってきて保存して送付したのが間違っていた。

多分・・・コブだと思う。
これ以降は、先にちゃんと保存してから席を外すようにした。

息子が以前大学時代に、ある事務所にインターンシップで行った時にそこの事務所内に猫がいたらしい。
「えーー、この猫たちパソコンにのりませんか?」と聞くと
「そんな事しないよ」と言われたと。

猫もいろいろ。
息子は、昔宿題をしていて途中でトイレに行って戻ったら、コブにノートを破られていたって事があった。
セロテープで貼って提出した。

油断ならねー。


コブちゃんの寝床がまた変わってきている。
ここは玄関の下駄箱の上。

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