
止まない情熱
第二次世界大戦の敗北で、島国の日本がかつてない貧困にあえいでいた時のことでした。アメリカから小麦粉の支援を受けましたが、多くの人々の餓えた腹を満たすには、とても不足している実情でした。それに、米が主食である日本人には、小麦粉が米に代わる事ができませんでした。小麦粉から作ることのできる食べ物といえば、チヂミとかうどんぐらい、、、、。
ただのおやつに過ぎませんでした。
「あぁ、、、、。」
「お母さん、おなかすいたよ。うどんじゃなくてご飯が食べたいよ。うぇーん、、、。」
平凡な事業家、安藤百福は空腹に苦しむ人々を見るに耐えませんでした。
「あのかわいそうな人たちのために、私ができることはなんだろうか。」
普段、社会事業に関心があった彼は、知恵を絞りました。
「私の手で、食べればおなかがいっぱいになる、小麦粉でできた食べ物を開発してみよう。」
かわいそうな隣人のために、全財産を投げ打ってひたすら食べ物の研究に没頭した人、、、、。懐が空っぽになっても、良い方法を見つけることができず彼は酒におばれ始めました。
「もう立ち上がる力もない。あぁ、辛いな。ふぅ、、、、。」
自壊感という沼でもがいていた彼は、ある日の夜遅くに、いつものように、こっそり酒屋に入って行きました。店の厨房では、てんぷらを揚げようと忙しく、客が来たのも気づきませんでした。声をかけようと、そっと近づいた彼は、その瞬間、重要な糸口をひとつ見つけ、声高に叫びました。
「これだ。そうだ、てんぷらだ。てんぷら、、、。」
水に溶いて湿った小麦粉は、熱い油に入れると水分を抜くことができ、水が抜けたところに穴があく現象を見て、彼は「ラーメン」という食べ物を考え出したのでした。
「小麦粉の麺を一度油で揚げた後、乾かして、また水で煮ると穴の中に水が入っていく。麺がしっかりしたラーメンができるということです。」
「うわー、、、。」
「すごいよ。」
恵まれない隣人のために献身しようという崇高な召命意識と、慈しみ深い実践意思でインスタントラーメンを作り出した安藤百福。愛で熱い彼の心は、彼に「人道的な発明家」という名誉の勲章を抱かせ、多くの人々のひもじい苦痛を静めました。