退屈しないように シニアの暮らし

ブログ巡り、パン作り、テニス、犬と遊ぶ、リコーダー、韓国、温泉、俳句、麻雀、木工、家庭菜園、散歩
さて何をしようか

泣かないで花を見なさい

2014-07-31 04:58:24 | 韓で遊ぶ

消えてこそ香だ
ジェジュ島に咲く千里香と万里香、二つの花が互いの香が遠くへ香るといい争いになった。
「私は海を越えてウヮン島までいくわ。帰ってくるときはチュジャ島を回って来る。」
「はは、そうか。私はウヮン島を過ぎて光州まで行く。ある時にはソウルまで行く時もある。私の名前が何だって、万里香だ。」
風が過ぎて彼らの言い争いを聞いた。
「香が遠くまで行くと言って、皆きれいな花じゃないか。」
風は礼儀正しく一言言って海を渡って行った。
風は海を渡って遠く白頭山まで行って何日かゆっくり休んでまたチェジュ島のハンラ山に帰ってきた。
千里香と万里香はその時まで互いに自分お香が遠くに行くと言い争いをしていた。
風は気の毒だと言うように彼らにもう一度言った。
「香と言うものは消えてこそ香だ。無条件に遠くに行くと言って本当の香ではない。香と言うのはすっとかすめて消えることで永遠に存在するのだ。香が消えないで長らく一箇所に留まっていたらそれは匂いに過ぎない。」
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울지 말고 꽃을 보라

2014-07-30 05:47:20 | 韓で遊ぶ

待つことのない愛はない
私はヨンジ池です。私は今、釈迦塔と多宝塔を作った阿斯達の妻、阿斯女の話を皆さんに改めて聞かせる必要がある。阿斯女を不幸にしたのは他人の不幸を喜ぶ人々の単純な利己心の現れであるだけ、阿斯女は事実、釈迦塔の影が映るまで待つことができなくて池に身を投げて死んだのではない。待つことのない愛がないという事を、本当に愛には本当に待つことが伴うということを阿斯女もよく知っていた。話は私が始めて阿斯女に会った日からするのがいいようだ。
その日、私は昨夜降った恵みの雨で池が一杯になって心が満たされていた。田んぼに種籾を巻く時が過ぎたのに雨が降らず足をとんとん踏んで心配していた村の人々も一晩ずっと雨が降って限りなく喜んでいた。
ところがその日の夕方ごろだった。村の人々が田んぼに種籾を蒔いて皆家に帰る準備をしている時だった。遠くあぜ道に沿って一人の女性が風呂敷包みを持ってつまづきながら歩いてくるのが見えた。
私ははじめは隣の村の人かと思ってただ黙って見過ごしたが、近くに来るのを見ると見たことのない何と若い女性だった。彼女は長い道のりを来たのか、服は土だらけで今にも倒れるようだった。
「あの、ちょっとお伺いします。この池の他に他の池はありませんか。」
女性は田んぼの出口を塞いでいたキム老人に注意深く近づいて声をかけた。
「そうだ。どうしたのだ。」
「仏国寺の門番の話では、南側に10里離れた所に池がひとつあるといったので訪ねて来ましたが、ここでいいのでしょうか。」
「そうだが、どこから来たのだ。」
「私は、百済の首都、扶餘から来ました。私の夫が今、仏国寺で首長をしているのですが、会いにきたのですが会うことができなくてここに来ました。塔が完成したら池に塔の影が映るというからです。塔ひとつは出来上がって今、池に映ると言います。」
「あ、そうか。あなたはあの有名な首長の阿斯達の奥さんかい。」
「そうです。阿斯女といいます。」
「ほほ、夫を訪ねてこんな遠くまで一人で来たのだね。しっかりしているね。それで、なぜ、夫に会えなかったんだ。」
「女は不浄だといって寺に入ることはできないといいました。」
「それは、それは、長い道のりと苦労してきたのに、、、それならここで待つしかないね。日が明るくなる頃にはここのこの池に多宝塔の影が映るよ。今は日が暮れ始めたので塔の影が消えました。明日の朝日が昇るとまた見えます。」
「はい、教えてくださりありがとうございました。」
女性は頭を下げてキム老人に挨拶をして、またつまづきながら歩いて行った。すると今度はキム老人が割きに女性に声をかけた。
「ちょっと。今、その体でどこへ行くのですか。見ると、どこにも行くあてもないようだが。体も悪いようだし、、」
「池を一回りして見て、池のほとりでどこか眠ろうかと思います。」
「だめです。その体で、本当に病気になりますよ。」
「いいえ。もう気温も暖かくなりましたし、野宿で眠れるようです。」
「いや、そうしたら間違いなく病気になる。春の寒さが人を捕まえるという言葉もある。花嵐に風邪をひく人も一人二人ではない。さあ、うちの家に行きましょう。ちょうど家は皆嫁に行ったり婿になったりして、末の娘が一人残っているから、一緒にいればいい。門番の話通り釈迦塔が完成すればその塔の影も映るだろう。その時まで家で過ごして待つようにしなさい。」
「いいえ、お言葉はありがたいのですが、大丈夫です。」
女性はそう言いながらもキム老人の後ろに従った。キム老人は町内でも豆ひとつでも分けあって食べるほどのよい心を持っているといううわさの出る人だった。
私はその女性が阿斯達の妻だという事実に驚かないではいられなかった。朝が来るたびに水面に長く影が映る多宝塔、風に水面が揺れると度にたくさんの花房が咲くように美しくゆれる多宝塔、そんな多宝塔を作った、首長の妻がまさにその人だったとは。
私はその長い道のりを訪ねてきたその女性が夫にも会うことができず追い出されてしまったという事実がかわいそうだったが心の中ではこっそりとうれしい思いさえした。
阿斯女はその日からキム老人の家で暮らした。毎日のように一日も欠かすことなく日が明ける前に私を訪ねてきて釈迦塔の影が映ることだけを待った。
しかし、夏が過ぎ、秋が来ても釈迦塔の影は映らなかった。肉をえぐれるような風が吹き私がカチカチに凍る冬が来ても釈迦塔の影は映らなかった。
阿斯女は虚しい日を涙で歳月を送った。ある時には多宝塔の影を釈迦塔の影だと思って喜んでみたものの、すぐに塔の影がひとつだけだというのを知ってもっと悲しくなく時もあった。
「池さん、池さん。一日も早く釈迦塔の影を映してください。どうか私の願いを聞いてください。」
阿斯女が私にこんな言葉をする時には私が何か大きな間違いでも犯したようで心が痛かった。事実私も釈迦塔の影が一日でも早く映ることを切実に願っていたが、ただ待っているしか方法がなかった。
「阿斯女さん、もう少し我慢して待ってください。我慢して待っていればいつかは釈迦塔の影が映る日があります。」
阿斯女の心を慰めるために私がこんな言葉、一言でも言うと、阿斯女は「その日がいつごろですか。」と言ってまた涙を流すだけでした。
「あ、いつ再び阿斯達にあることができるのか。」
阿斯女が吐き出すため息の音は毎日トハム山に響き私に響きました。阿斯女の体は日を重ねるごとにやつれていきました。涙で夜を明かす日ももっと多くなりました。しかし、どんなに体がつらくても阿斯女が私を訪ねてこない日はただの一日もなかった。ある日はトハム山に向って泣いて疲れて倒れて起き上がることができない日もあった。
そんな阿斯女を見かねてキム老人が仏国寺に村の人を送ってただ一度でも阿斯女を中に入れてくれと頼んでみました。しかしそれは当てのないことでした。ならば、阿斯達だけでも仏国寺の門の外に一度出てくるようにしてくれと頼んでみました。しかし、それもまた釈迦塔が完成されるまでは決して許されないことでした。
阿斯女を本当の娘のように思っているキム老人の心配は大きくなっていった。阿斯女を姉のように思っているキム老人の末娘のプノの心配も大きくなっていった。それにつれて村の人たちの心配もまた大きくなっていった。
だが、誰も阿斯女の悲しみを慰めることはできなかった。村の誰もが阿斯女を心配して慰めたが、待つことに疲れた阿斯女の心が頼れるところはどこにもなかった。
そんな中、1年が過ぎて、また1年が過ぎたある春の始まる頃の日だった。村の人たちは田んぼに水を入れて代掻きをして種籾を捲こうと騒がしかった。あぜを塞いで水門を開き一生懸命仕事をする村の人たちを見ながら私は今年も豊年になることだけを切実に祈っていた。
ところが、まさにその時だった。急に茶ポン、茶ポンと水の音を出して水の中に歩いて入ってくる人がいた。阿斯女だった。村の人たちが皆種まきに出ている間に阿斯女が私の真ん中に走って入ったのだ。
「あなた、あなた。」
阿斯女は大きな声で泣き叫びながら多宝塔の影に向って走って入った。多宝塔の影を釈迦塔だと勘違いして何回か両手で抱きしめようとした。しかし、塔の影だけがばらばらになるだけ阿斯達の姿はどこにも見えなかった。
「阿斯達、阿斯達。」
ひたすら阿斯達を呼ぶ阿斯女の声だけが悲しいだけだった。
「阿斯女や、阿斯女や。」
その時種まきの籠を投げ捨てて阿斯女のほうに走ってきた一人の人がいた。キム老人だった。キム老人の後ろに村の人々がぞろぞろついてきた。阿斯女は阿斯達を呼びながら水の中にだんだん座り込んでいった。
「あれは、あれは、どうしよう。」
「阿斯女や。阿斯女や。」
キム老人は水の中でもがく阿斯女ヲ見て足をとんとん踏んだ。すると、村の中で泳ぎが上手いと評判のチェさんの婿がすぐに飛び込んで阿斯女を救い出した。チェさんの婿がいなかったら阿斯女歯そのまま死んでいただろう。
阿斯女はそのままキム老人の家に背負われて行き、寝床から起き上がることができなった。
一時はまるで死に行く人のように食べたものをすべて吐いて息遣いが細くなったりもした。しかし、キム老人とプノの真心があまりにも懇切で田んぼに稲がすくすく育つ夏の初めには寝床から起き上がれるようになった。
村の人々は阿斯女が起き上がれるようになると皆自分のことのように喜んでやった。
「これからは、我慢して待っていれば、いつか会える日があるから。」
「そうだ、待たなけりゃ。元々人は待ちながら生きるものだ。」
「そうだ、そうだ。もう、死ぬ勇気で生きなきゃ。」
村の人たちは阿斯女に会うたびに一言ずつ暖かい慰めの言葉をかけた。その度ごとに阿斯女は恥ずかしく耐えることができなかった。阿斯女はやっと自分の間違いを大きく悟ることができた。
「プノさん、人は愛する人がいる限り、死んではならないことを今になって悟りました。」
ある日、庭で蚊取り線香をつけているプノに阿斯女が言いました。心配そうな目で、一時も阿斯女のそばを離れなかったプノでした。
「もう、釈迦塔の影が池の上に映って阿斯達に会える時まで我慢して待つことに心を決めました。もう、私をそんなに心配しないでください。」
「よかったわ。人は愛がある限り生きなければならないと言います。後で阿斯達が訪ねてきた時を一度考えてみてください。その時万一阿斯女が死んでいなかったら阿斯達の心がどんなに悲しいか。おそらく今も、阿斯達は阿斯女が待っていると思って塔を作る仕事に真心のすべてをこめているのです。」
「この間、私はあまりにも愚かでした。許してください。もう、いつまででも待つことができます。」
そしてまた一年が過ぎたある秋の日でした。収穫がちょうど始まったある朝早く。村の子供があぜ道を走ってきて大声で叫びました。
「釈迦塔の影が映っている。」
「池に影が二つだ。」
「え、何だ。何だって。」
「それは本当か。本当。」
その言葉は本当だった。その日の朝タハム山の上に日がぬっと昇ると釈迦塔の影が長く映った。秋の日差しにキラキラ青い水面の上に二つの塔の影が並んで見え隠れしていた。
私はその時どんなに胸が躍ったかわからない。私はその時稲の穂を持って私のほうに走ってくる阿斯女を見た。阿斯女の目からはいつの間にか澄んだ涙が流れていた。
その後、人々は私をヨンジ池と呼んだ。阿斯達と阿斯女は故郷の扶餘に帰らないでここで暮らしました。
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泣かないで花を見なさい

2014-07-29 05:19:26 | 韓で遊ぶ

ダチョウの夢
ダチョウと言えば誰でも見る夢、それは他でもない、他の鳥と同じように悠々と空を飛ぶことだ。しかし、大部分のダチョウはその夢を見てもすぐにあきらめてしまう。すでに多くのダチョウが飛ぶために、ありったけの力を出して走ってそのまま崖から飛んで死んだという事実を誰でもよく知っているからだ。
しかし、唯一一羽のダチョウだけは空を飛ぶ夢をあきらめないでいた。伝説のように降りてくる先祖たちの話、先祖たちが以前は鳥のように悠々と空を飛んでいたという話を、彼は固く信じていた。しかし、どんなに努力して固く信じていても、その努力と信心が彼を飛ぶことができるようにしてはくれなかった。
ダチョウは絶望のあまり風の吹くある日、夕焼けの野原にたって神に訊いた。
「神様、どうしたら私も他の鳥のように空を飛ぶことができますか。なぜ私たちは飛ぶことのできない鳥に作ったのですか。」
神は何の答えもくれなかった。ただ野原に強い風だけが吹くだけ、はじめから彼を見もしなかった。ところがその時風に乗って一羽のハゲワシが彼のそばに飛んできて翼をたたんだ。
「ハゲワシさん、どうすれば私も君のように跳ぶことができるだろうか。私たちは同じ鳥じゃないか。」彼はうらやましそうな目でじっとハゲワシの翼を見つめた。
「はは、それは簡単なことだ。私を一度愛してみなさい。」
ハゲワシがそれは本当に大したことでもないようににっこりと笑う顔で言った。
「冗談を言うな。」
「冗談じゃない。」
「それならお前を本当に愛したら解くことができるのかい。」
「そうだ、だけど、私を愛そうとすると苦痛がたくさん伴う。」
「大丈夫、飛ぶことさえできたら、どんな苦痛に苦しくない。」
ダチョウは死んで地獄へ行くことがあったとしても、飛ぶことができたら、そのどんな苦痛にも靴に感じないように思えるようだった。
その後長い時間が過ぎた。ダチョウは老いて少し走っても息が切れた。時速160kmで走った時こそが若さを満喫した頃だった。
「ダチョウ君、君は今でも私を愛しているのか。」
ある日、ハゲワシがダチョウに訊ねた。
「もちろん、愛している。」
「いまだに飛ぶことができなくても。」
「もちろんさ、それでも愛している。」
ダチョウはハゲワシを愛しているにもかかわらず飛ぶことのできない事実に一方ではハゲワシが憎かったが彼を愛していると言った。空を飛ぶ夢だけはあきらめることができなかったせいだった。
「いや、ダチョウ君、君は私を愛しているのではない。飛びたいという自分の欲望を愛しているのだ。それではお前は飛ぶことはできない。私を本当に愛する時にだけ、お前は飛ぶことができる。愛には条件があってはならない。愛には犠牲が伴うものなのだ。お前はそれを知らない。私たちを愛する神の愛を見てみろ。盲目的な部分があるじゃないか。純粋な愛にはある程度盲目性がなければならない。苦痛までも受け入れることが愛と言うことだ。ところがお前はそうできない。だから飛べないんだ。」
ハゲワシは一生懸命話をしたが以前とは違って声に力がなかった。ハゲワシはすでに翼が弱り老いていっていた。
その後ハゲワシはもっと年をとった。いつの間にかハゲワシは前が見えなくなった。目の見えないハゲワシはちゃんとえさを探すことができなかった。ハイエナが食べ残した鹿の肉がどこにあるのかさえ探せなかった。
ハゲワシは骨と皮ばかりにやせていった。
「ダチョウ君、私はおなかが空いて死にそうだ。本当にすまない話だが、お前が万一、今でも私を愛しているならお前の太ももの肉をひとかけらちぎって食べさせてくれるか。」
ある日おなかが空いてこれ以上我慢できなくなったハゲワシがダチョウを訪ねて重い口を開いた。
「いいよ。食べな。」
ダチョウは一方の足をハゲワシにさしだした。ハゲワシはダチョウの一方の足をあたふたと食べつくした。
何日かたつとまたハゲワシがダチョウを訪ねてきて頼んだ。残りの足も食べさせてくれと言う懇切な頼みだった。
ダチョウはあきれたがハゲワシがすぐにでも死にそうだったので残った足も差し出した。
両足をなくしたダチョウはこれ以上あるこことができず、体で地を這って動いた。すると他のダチョウが彼を見てからかった。
「飛ぶどころかもはや足までなくしちゃって。この、大ばか者。」
他のダチョウの後ろ指は終わりがなかった。
彼は悲しかった。他のダチョウがこれ見よがしに最高のスピードで走ることを呆然と眺めて、もう空を飛ぶ自分の夢をあきらめるときがきたのかと思った。
彼は何日か眠ることができず、そしてその夢をあきらめてしまった。すると、これ以上生きたいという思いがなくなった。彼はゆっくりと残った力をずべて使って崖のほうに這っていきそのまま崖から飛び降りてしまった。
ところがこれはどういうことだろうか。彼は死なないで悠々と空を飛んでいた。はるか地上にはあちこちに走っているダチョウの姿が一目で見下ろすことができることを知って彼は驚かないではいられなかった。ハゲワシに両足をやってしまった時、神様が彼を美しいと思い、飛べるような力を翼に与えてくれて事実を彼はその時までもよく知らないでいたのだった。
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울지 말고 꽃을 보라

2014-07-28 06:57:32 | 韓で遊ぶ

マガモの努力
その人は、今や、朝が明るくなってくるのが恐ろしかった。朝服を着てかばんを持ってどこか外に出かけなければならないという事実が苦痛だった。朝に子供たちと一緒に急いで家を出てもその人は、今や行くところもない。
職場を失った後初めの一ヶ月は一生懸命人に会いに通った。神は自ら助けるものを助けるというし、自らすることを探してあちこち回った。しかし、どんなに回っても適当な仕事がなかった。小さな店でもする自営業を考えてみたが、思ったより資本がたくさん必要で手も出なかった。
だからと言って虚しい日々を家の片隅に閉じこもっているわけにもいかなかった。まだ、妻と子供には職場を失った事実をはっきりと話をしないで、少なくとも以前と変らない朝の出勤が繰り返された。今は親しい友達に会って酒でも一杯やろうと思っても友達の仕事が終わる時までどこかで時間を送るかが最も大きな問題だった。
はじめはソウォルに向って南山八角亭まで歩いて上がってみたりもして、独立文化院とか、日本文化院で無料で上映されている映画を見に通ったりもしてみたが、今はそれをすることもできなかった。電車に乗って水原や安山とかオイドの方に行って野原を歩いてみることも今は飽きてきた。ただ、胸につみあがったことは世の中に対する疲労感と絶望感と流れる時間だけだった。
そんなある日、彼は偶然に鐘路街を歩いていたら宋廟を通って昌慶宮に行った。冬にしては本当に暖かい日だからそうなのか、葉の落ちた枝に止まって泣いているカササギの声さえもうれしく安らかだった。
彼は王が玉座に座って政事を行った明政殿と宋文堂などをゆっくりと回って、植物園に行って蘭の香を十分に味わった。そして春塘池と言う名前の池のほとりの岩の一方に腰掛けて呆然と池を見ていた。
水の上にマガモが何羽か静かに浮いていたが、流れに従ってあちこちに少しずつ動いていた。
「あのマガモがもはや留鳥になりましたね。初めはアヒル農場で数百羽で育てられていたんでしょう。」
誰かが声をかけてきた。ちょっと見ると彼と似たような身の上にいるような男のようだった。
「あ、そうですね。渡り鳥が留鳥になることもあるでしょう。」
彼は男が不憫に思うかと思って口を開いた。すると男が独り言のようにまた彼に言った。
「あいつら、とても平和そうにみえるでしょ。」
「そうですね。祖手も平和そうで、悠々自適、私たち人間よりも幸福に見えますね。」
彼がタバコを取り出して火をつけながら答えた。すると男も思い出したようにタバコを出して話を続けた。
「ちょっと見たらマガモが水の上でまるで休んでいるようですが、実はそうではありません。水の中では両足を必死に動かしながら泳いでいます。私は仕事が上手くいかない時、あいつらのあんな姿を見に時々ここに来ます。あいつらを見ながら世の中で努力しないで得るものは何ひとつないということをいまさらながら悟ったりします。マガモが水の上に優雅に浮いているのと全力を尽くして水をかいていることは基本的にひとつの事実でありながらも同時に2つの事実でしょ。ですが、私たちはいつもひとつの事実だけ見てうらやましがります。あいつらが水の上に浮いているためにどれだけつらいでしょうか。」
彼は男の言葉に何か答えるのができなかった。しかし、自分でも知らないうちに「私も一生懸命あきらめないで生きなければなぁ」と言う思いをしていました。
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泣かないで花を見なさい

2014-07-27 07:39:51 | 韓で遊ぶ

ろうそくの火
暗闇が嫌いな王様がいました。
ある日王様は暗闇が押し寄せてくる夕方になるや否や棒を取り出し暗闇に振り下ろした。しかしどんなに棒を振り下ろして暗闇は引き下がらなかった。
王はたくさんの兵士を出し、剣と棒で暗闇を叩きつけるように命令した。しかし、兵士が暗闇を叩きつけても暗闇は引き下がらなかった。
王様は悔しかった。暗闇に対する怒りがこみ上げてきた。
その時若い王子がろうそくを持って王様に近づいて来た。
暗闇はすぐに消えた。
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울지 말고 꽃을 보라

2014-07-26 05:52:17 | 韓で遊ぶ

土の上の職業
江原道、西北に行ったキム記者は坑道の突き当たりで作業をする鉱員キムジャンスンさんについて垂直坑に入って行った。まず脱衣室で作業服に着替えて、ヘッドランプがついているヘルメットをかぶった後、作業用エレベーターに乗って地下700m下に下りていった。それからそこからまた抗車に乗って水平に1200mまで行って、また、坑道の中をゆっくりと歩いてはいって行った。
迷路のような坑道の中は狭く暗かった。地下事務室で坑道の突き当たりに行く地図を見たが、どこがどこなのかわからなかった。坑道の両側には炭が混ざった黒い地下水が早く流れていた。坑道の床は炭と水がごちゃ混ぜ人っていて長靴を履いた足がずっぽりと埋まった。キム記者はヘルメットについていいるわずかな光を頼りにキムジャンスンさんについて行った。
そうやって30分ほど歩いただろうか、これ以上坑道がないところに来ると、坑道の壁の真ん中に斜め上に貫く新しい坑道ひとつが現れた。2,3人の人がやっと出入りすることができるほどの狭い坑道の中を、ちゃんと頭も上げることができず、ほとんど這っていくようにしながら入っていいって見るとそこがまさに地下の坑道の突き当たりだった。
鉱員たちは左右につっかい棒を立てて中に、中に掘って入って行っていた。キムジャンスンさんがつるはしを振り下ろすたびに炭の塊が落ちて出てきてその隅の塊は傾斜した排出口を通して坑道の外に出て行った。
キム記者はつるはしを振り下ろすキムジャンスンさんを見ながら坑道の突き当たりに散らかっているつっかい棒の上にじっと座っていた。坑道の突き当たりは地熱のせいかとても熱かった。じっと座っていたが、すごく汗が流れ胸が苦しかった。誰もいない土の中のこの深いところ、どこかも知らない地点で1匹のゴキブリのように一人呆然と座っている気分だった。
「坑道の突き当りでは眠れません。タバコも吸えません。ですがあるときには座ったままほんの少し寝る時もあります。」
キム記者はつるはしを振り下ろす途中で一言ずつ投げかけるキムジャンスンさんの言葉がちゃんと聞こえなかった。彼を取材するということが自分としてはあまりにも生意気なことだという思いがして恥ずかしかった。
キムジャンスンさんが行動の突き当たりから出てくるのは昼の時間だった。彼は再び坑道の中にある地下事務室へ行ってそこに保管していた弁当を取り出して食べた。暗い中で手も洗わず作業服も着たままだった。
「召し上がってください。私たちはこうやってここで昼ごはんを食べます。それでもこの時が一番楽しみな時間です。」
キムジャンスンさんがキム記者の分まで弁当を差し出しながら白い歯を見せた。キム記者はキムジャンスンさんがくれた弁当を食べながら、鉱員になって何年になるか、故郷の農協の借金はいつ全部返せるのかなどの質問をした。そうしていたら、願いがあるとしたら何なのか聞いた。すると、キムジャンスンさんがこのように言った。
「それはもちろん土の上の職業を持つことです。土の上で仕事をする人は自分たちの職業がどれだけいいのかよくわかりません。」
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泣かないで花を見なさい

2014-07-25 05:53:17 | 韓で遊ぶ

一番きれいな花
夫が死んだ。結婚してから1年もたたないのに、交通事故で死んだ夫があの世の人になった。明け方の京釜高速道路で大型トラックが夫の車に衝突したしまった。
涙も出なかった。気持ちが動転した中で葬式を執り行った多くの人が慰めの言葉をかけてくれて、夫の死が既存の事実化したが、認めることができなかった。夏の休暇の時、息子を抱いて故郷の海辺に行こうと言っていた言葉だけが浮かんだ。
彼女は妊娠中だった。どうしても神様を理解することができなかった。本当に恨めしかった。貧しかったけれど、まじめな気持ちで一生懸命世の中を生きていこうと努力していた夫だった。
通っていた教会へ行かなくなった。そして苦痛の中で出産した。夫が望んでいた男の子だった。
彼女は息子を抱いて夫の故郷を訪ねた。東海が見える山裾に夫は眠っていた。彼女はおくるみを開いて夫が眠っている墓を子供に見せてやった。波の音が絶えることがなかった。夫を早くに連れて行った神様がまた、恨めしかった。息子を得た喜びより夫を失った悲しみもっと大きかった。
「今日が日曜日なのに、なぜ教会に行かないの。」
山を降りてくるなり義父が彼女を呼んだ。情にあふれた、日差しのような暖かい声だった。
「いやだからです、お義父さん。」
「なぜ。」
「あの人をこんなに早く連れて行った神様が恨めしくて。」
「こんなにかわいい息子をくれたのに。」
「はい、それでも、恨めしいです。」
彼女が言葉もちゃんと終わらないうちに涙をいっぱいにすると義父が彼女に庭の前の花畑へつれて行った。花畑にはバラ、ダリア、松葉ボタン、鶏頭、などがいっぱいに咲いていた。
「ここで、とりたい花があったら一本とっておいで。」
義父は恐ろしげに口を開いた。
彼女は一番きれいに咲いていたバラの花を一枝とった。
そうすると義父がまた口を開いた。
「その花をとって花瓶に挿すように、神様も一番美しい人間を先にとって天国を飾るのだと言う。もう、あまり悲しむな。」
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泣かないで花を見なさい

2014-07-24 05:10:15 | 韓で遊ぶ

笹の葉うなぎの暮らし
彼は子供の頃から人のせいにするのが好きだった。上手くいったことは自分のせいで、だめなことは先祖のせいだと、彼はすべてのことに上手くいかないことがあるとすぐには他のところにその原因があるとした。
はじめての大学入試に落ちた時は家が貧しいから落ちたと思った。みなが利用する家庭教師に一度もちゃんとつくこともできなかったから浪人生になったと、貧しい両親を恨んだ。大学に入ってから初恋に失敗した時には貧乏が敵だと思った。田舎の農家の長男という事実を知って女性が自分から離れていったと思った。
その後大学を卒業してある中小企業に就職した時にも、昇進に毎度、落ちた時も、子供があまりにも勉強ができない時も、友達の借金の保障人になってアパートまで無くしてしまった時も、そのすべての原因を貧しい農家の息子に生まれたからだとした。
彼は時間が過ぎるに従って故郷と両親兄弟を嫌いながら、自分の環境と身の程を嘆いた。しかし、彼には不幸なことばかりが引き続き起こった。妻が子宮がんで早くに亡くなり、再婚した女性も他人の子供を育てることが並大抵の苦労では無いと行ってからの元を去った。
彼は世の中に自分ほど不幸な人間はいないと思って虚しく酒で歳月を送った。まるで人生があきらめた人のようだった。
そんなある日、彼は偶然にテレビで淡水魚に関するドキュメンタリーを見ることになった。それは子供のうなぎに関するものだった。その時彼は子供うなぎに関する説明するある魚類学者の話を聞いて自分を悔やまないではいられなかった。
「私たちはどんなに不遇な環境におかれていたとしても、その環境のせいにできません。子供うなぎを見てください。深海で生まれた子供うなぎは生まれてすぐに親を失ってしまいます。産卵を終えた母うなぎはすぐに死んでしまうからで、子供うなぎは暖流に乗って大陸の沿岸に2~3年かけて長い旅にでます。この時、子供うなぎは白色の半透明で、水の重圧に押されて模様が笹の葉と似ていくからこれを笹の葉うなぎと呼びます。
しかし、笹の葉うなぎは深い海のそこで生まれた自分の環境を決して言い訳にしません。その耐えることのできない苦しみを我慢して自ら自分の生きる道を見つけます。すべての苦痛をすべて耐えて徐々に川の入り口に向いながら大きくなって本格的なうなぎになります。私たちもこれと同じように子供うなぎのように粘り強く自らの人生を我慢して耐えて前進するところに人生の花が咲いて本格的な人間になることができるのです。」
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울지 말고 꽃을 보라

2014-07-23 04:58:16 | 韓で遊ぶ


母の情
山火事はなかなか衰えなかった。春の日照りがひどかったせいか一度起こった火の勢いはなかなか抑えられなかった。それに、暗闇がすっかり山を覆ってしまい風まで吹いたため村の人は赤く沸きあがる火を呆然と見ているだけだった。なぜ、誰のせいで山火事が起こったのか問い正す気力さえなかった。みな火がこれ以上広がらないことだけを懇切に祈るだけだった。
山火事は翌日の午後遅くまで続いた。遅ればせながら消防署から出動しなかったならば山火事は3,4日も続いたかもしれなかった。
翌日、村の何人かの人は火の消えた山に上がった。真っ黒に燃えてしまった山のあちこちでまだ消えないで黒い煙が広がっていた。いつも澄んで美しかったお日様までも真っ黒に燃えて煙たいにおいを吸って上った。山全体を赤く埋めていたつつじと青い空を自由に飛んでいた鳥はみなどこへ行ったのかどこにも見えなかった。燃え残った木の姿がまた凄惨だった。人の死もあのように凄惨であるだろうかと思った。
山に上がった村の人の心は惨憺たるものだった。みな祖先に合わせる顔がなかった。草1本なく真っ黒に燃えてしまった山も山だが祖先の居られる墓まで燃えてしまったのではないか心配だった。
ところが、水一滴もない乾いた谷を過ぎた時だった。メスの雉一羽が火に焼かれたまま座って死んでいる姿が村の人々の目に入った。
「おお、このメス雉ちょいと見ろや。」
「この連れ合いはどこへ行ったものやら、、、。」
「本当にかわいそうだ。」
村の人は胸が痛いあまり一言ずつ口を開いた。
あまりにも心が痛いせいだったのだろうか。誰かが持っていた背負子を支える棒で注意深く雉をポンと押して横たえてやった。
するとメス雉の懐から子供たちが出てきてぱらぱらと散らばった。その死の炎の中で雉の子供たちは死なないで生きていたのでした。
村の人は驚かずにはいられず粛然とした感じになりました。それは雉が子供を守るために火に焼け死にながらも子供を懐に抱いていたということが明らかだったからでした。
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울지말고 꽃을 보라

2014-07-22 05:21:20 | 韓で遊ぶ

絵の外に飛び出した鳥
干潟の広がった海辺の風景を描いた絵の中に赤いシギ一羽が暮らしていました。絵の一方の角の小さな磯の上に座っているシギはいつも絵の外に飛んで行きたかった。
「あ、私もあの青い海の上を一度飛んでみたら、、、」
シギはほかの海鳥のように翼をさっと広げて水平線の上を思う存分一度飛んでみることが夢でした。だから、ある日自分を描いた画家に絵の外に出してくれと哀願しました。
「おじさん、私を絵の外に引き出してください。私を描いたのだから出すこともできるじゃないですか。」
シギの切実な訴えにもかかわらず画家は頑固でした。
「だめだ。お前は絵の中にそのままそうやって座っていなさい。それがお前の運命だ。」
画家はそれ以上言葉もいえないぐらいカッとして怒鳴った。
それでもシギはあまりにも飛びたい気持ちでもう一度画家に言った。
「一度でいいです。ただの一度でいいから飛ばせてください。」
「だめだったらだめだ。」
画家は怒ったというように手に持っていた筆をぎゅっと握った。
「またそんなことを言ったら、この筆でお前を消してしまうぞ。そうしたらお前はこの世から永遠に消えてしまうんだ。それでもいいのか。」
シギは悲しかった。これ以上何の言葉もできず絵の中の磯にぼんやり座っていた。
いつの間にか夜空には星が輝きだした。シギは涙を拭いてどうやったら天高く上がっていけるのか星に訊ねた。星はみな知らないと首を振った。
シギは明け方まで眠ることができずにいて、夜が明ける時まで、最後の残った明星にもう一度訊ねた。
「どうしたら私が絵の外に飛んでいくことができるだろうか。その方法を教えてくれることはできないか。」
「うーん、それは、、、」
明星はしばらく口をつぐんでいたが注意深く口を開いた。
「それは、本当に難しいことでもあり、本当に簡単なことでもある。お前が本当に誰かを愛すことができたならば、絵の外に出ることができる。」
その日から、シギは絵の外にあるすべてのものをより愛した。廃船になった漁船と、遠くの無人島に暮らす松の木とカモメと、干潟の中に暮らすごかいまでもみな愛した。
しかしシギは絵の外に出ることはできなかった。翼を一度広げてみたが微動だにしなかった。だから今度は絵の外の画室に暮らす電話機と人形と花と仕舞いには泥棒猫やゴキブリまでもみな愛した。だけど、シギは絵の外に出ることはできなかった。
シギはまた、悲しみに陥った。明星を恨む心がいっぱいに上がってきた。
「お前が言ったとおり愛すことができるすべてのものをみな愛したのに、絵の外に出ることができない。もしやお前は私にうそをついたのか。」
「いいえ、それはあなたが簡単に愛することができるものだけを愛したからです。それは本当に愛したことではない。」
明星は自分を恨んでいるシギを   目で睨んだ。
「それならばどうしたら本当に愛することができるの。」
「それは私もよくわからない。お前が自らお前の力で悟らなければならないことだ。」
シギはいらいらした。何をどのように自ら悟らなければならないのか知ることができず、毎日海ばかり眺めていた。」
遠く無人島には赤いくちばしのカモメが飛んでいた。いつからか、カモメが絶壁の割れた隙間に卵を産んで、いつの間にかカモメのヒナが卵から生まれていた。
シギは思ったとおりに空を飛ぶカモメがうらやましく一瞬たりともカモメから目を離すことができなかった。と孫から生まれたヒナはまだ飛ぶことはできなかったが、母カモメがくわえて来るえさを口を大きくあけて上手く食べた。
そんなある日、何事が起こったのか一日中母カモメが見えなかった。ヒナは夕方ごろになるとおなかをすかして巣の外に体を半分ぐらい出してチーチー泣いた。
「本当におかしいな。こんなことは一度もなかったのに、、、何か事故でもあったのではないか。」
シギはそんな思いをしながらずっとヒナから目が離せなった。ところがその時、あまりにもおなかのすいたせいだったのだろうか。ヒナ一羽がそのまま体の均衡を失って巣の外の絶壁の下に落ちた。
瞬間、シギは自分でも知らないうちに絵の外に飛んで行った。ひたすらヒナを救いたいという思いだけだった。
コメント
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