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夫の先生
夫が会った人生の先生は、暖かい土の匂いがする人です。草取り一つ出来ない夫に、仕事の方法を親切に教えてくれた人、、、。他でもない隣に暮らすおばあさんです。
夫が始めて農業をするという話を切り出した時、私は耳を疑いました。
「何ですって。農業をするですって。」
農業の農という字も知らない人が、ちゃんとした職場をやめて、生涯、土に携わって生きていくというのに、空笑いしか出ませんでした。夫が最後まであきらめなかったので、家族全員、田舎に来てからいつの間にか8年、、、。農夫として立派にやっている隣の家のおばあさんが、長い時間をかけて夫が定着できるように助けてくれたのでした。
農業について知っている事がほとんどなかった初めの頃、失敗が続く夫は、このまま夢を終わらせなければならないのか悩みました。その時、流れ者農夫になると大口を叩いた夫の目の前にジャジャーンと現れた幸運の女神が、隣の家のおばあさんでした。
「唐辛子がこんなに赤くなっているのに採らないで何をしているんだ。」
「一度も採ったことがなくて。」
人情にあふれたおばあさんは、農作業が下手な夫を手伝ってやると袖を捲り上げました。その後も、どんなに気を使ってくれたか、箕で穀物をふるう方法も教えてくれて、町内の人と仲良くできるように力を尽くしてくれたおばあさん、、、。
「村の人たちと心を開くのが大変だろ。少しだけ我慢しなさい。真心は通じるものだ。」
おばあさんは愛情のこもった助言を惜しまず、あれやこれでしゃばることはしませんでした。私達が自ら悟ることを望んだのでしょう。私達家族の心強い助力者であり情け深い隣人のおばあさん、、、、。
「タヨンの家に光が明るくついていれば、私の心まで明るくなるよ。」
何もわからず田舎に来て、おばあさんに会って、私達家族は大地がくれる祝福を学びました。パサパサした都会の人から徳の厚い田舎の人として新しく生まれ変わり、生きていく喜びと味を感じました。そのすべての幸福の中には、母のように暖かく、大地のように豊かな心の持ち主、隣のおばあさんが一緒にいます。