馬鹿も一心!

表題を変えました。
人生要領良く生きられず、騙されても騙されも
懸命に働いています。

尾瀬ケ原の眠れぬ夜。エピローグからプロローグへ。

2023-08-06 08:01:16 | 日記
「尾瀬ケ原の眠れぬ夜」


過ぎ去った青春をそのまま消え去ることはなかった。
奥底にしまったセピア色の写真を見ると
50年前の青年に戻った。
あの青い山の彼方に離別の悲愁小屋があった。
その時恋の炎が一気に燃えたわけではない。
しかし、熾火のようなものが残っていた。



彼女と別れてから2年後
大学同期と初秋の尾瀬ケ原に行った。
秋風が吹き抜け、紅葉に色付き
山小屋の薪ストーブの暖かさと灯油ランプの下で酒を飲んだ。
「知っていると思うが、あいつ結婚したよ」
その夜 寝袋に包まれながらも一睡も出来なかった。
格子状に組まれた天井の丸木柱を
寝袋に包まれて見上げた。
薪ストーブの燃える音と炎が静寂の小屋。
板張りの天井に、僕と彼女が見つめ合う
幻想影絵が浮かぶ。
焚き木燃え尽くした。
山小屋は死人置き場のように静まり
眠れぬまま、小窓から浅い陽が入る。
彼女は、大学ワンダーフォーゲル部員であった。
現役の頃、山小屋で過ごしたのだ。
あの青い山並の彼方
僕たちの青春時代があった。
歳月は皆、等しく流れ
私も50半ばになっていた。
バブル 絶頂期
同期と銀座で飲んだ。
又も突然言った。
「お前の彼女と会った」
OB会パーティーがあった。
会場のエレベーターで乗り合わせた女性がいた。
「挨拶された」。
「俺より年齢が上に見えたので先輩かと思った」
ずっと、誰だか分からなかった。
名前を呼ぶのが聞こえたので、やっと分かった。
ふっくらした顔だったのが、頬がげっそりコケていて
顔はソバカスのようなシミが一面に出ていた。
「あれが、幸福とは見えね~」
「実情は知らないが」?
彼女は、横浜の邸宅街でセレブ夫人なったのだが。
聞いた時、動揺はなかった。
心は揺れず、当時は 人生が終わるような
絶望感はなく、懐かしい微笑みの心がそっと偲んでいた。
誰もが 通過する無頼の青春。
22時 駅に着いた。
酔い覚ましで漁港の橋を渡り
見上げる夜空に月はない。
防潮堤に打ち寄せる波が
漁船を揺らし軋む音だけ。
心の鼓動は静かにゆっくりとリズムを刻む。
想い出も閉じられた。
優しい妻が待っているのだ。
僕の艶々した髪も薄くなりグレー変わった。
セピア色写真を封印した。
「尾瀬の春風」


辿る山人には、緑なす囲む峰々から吹き渡る湿原と高原花畑の木道は憧れ。
鳥の呼び合う囀りは
いっらしゃいませの御挨拶。
虹の花畑と蝶が舞いトンボが青空で空中転回
鮮やかな色彩の一遍の絵画。
都心の回転木馬のある行楽より
疲れはあるけれど
心は癒される。
水芭蕉に感謝。
【BS日本・こころの歌】グッド・バイ・マイ・ラブ − FORESTA

激暑の夏
夏の想い出から
逆戻り
一転 冬に戻る
プロローグ


48年前 甘酸っぱい クリスマス。
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SWEET MEMORIES/森 麻季