知り合いの編集者が、知る人ぞ知る老舗に連れて行ってくれると言うから行ってみたら、
何とも摩訶不思議な空間だった。
仏像をたくさん見終わった後、2時半を過ぎたあたりで予約もなしに入ってみる。
メニューは雑炊ただ一つ。
和風の木造で、こぎれいな庭が付いたあずまや風の離れに案内される。
待っていると何やら神妙な面持ちで運んできた。
平安時代のつのだらいのような洗面器大の特製鍋に、お湯が張ってあって、
焦げたぶつ切りのウナギが数切れと、お麩が浮いている。
おいしかったが、正直これは何だろうと思いながら飲んだ。
底の方に春雨が数本。
これが京都の雑炊なのだろうか??
不可解な気持ちでいると(店)「お鍋が通ります!」
突然そう宣言し、ガラッと障子を開け放ってどこかへ消えた。
2月の寒空の下、入口から冷風が大量に入り込んできて寒い。
暖房の効果もあらかた消えた頃、またさっきのつのだらいに
今度はご飯の入った液体をゆさゆさ持って現れた。
これが雑炊か!
じゃあさっきのは何だ?
気を取り直してまた食べ始める。
2人で鍋が2回だと、1人1鍋食べることになるが、
そんなに人体に水分が入るだろうか。
もうすぐ昼の営業時間が終わるのではないかという焦燥感の中、
アツアツの雑炊を食べ終え、這うようにして出ようとすると、
出口でなぜかクツベラを、
(編)「ボキッッ!!ああっ取れちゃった!」
昼もかなり過ぎていきなり来た上に長居して、
最終的に備品を壊して帰るという、大迷惑な客になってしまった。
そして極めつけが(店)「お会計1万6千円です」
雑炊が!?
さっきの食事のどこにそんな値の張るようなものがあったのか。
お麩とネギしか入ってなかったじゃないか。
それとも、あの chopped eel の質がよほど良いのか。場所代か。クツベラの代金か。
離れの造りも簡素で座布団も汚そうだったし、
そんなに取るなら買い直したらどうか。
本当に知る人ぞ知る店だ。
(編)「もう1軒行こう」 他のガイドがいい。
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