(Jul. 3, 2020)烏丸で都会の夜を満喫 #804 5,000円
ホテルのきどった朝食などはどうでもいい。どうせどこも同じで半生の卵が出てくるだけだろう。次になめこ汁をすすれるチャンスは今しかないと目論んでいたのに(娘)「次はコメダの朝食付きです」(きの)「えっ!?しかもコメダあまり好きではない・・・」(娘)「予約が完了しました」聞いてない!
当日早めに着いたらチェックインまで時間があるので、ココン烏丸という芸術デパートのような建物に寄って、ついでに娘の友達にプレゼントする予定だという香水の匂いを嗅いでくるように頼まれた。車をムスク系でかためているらしい。確かにネットからは匂いは漂ってこないからな。
地下鉄降りてすぐココン。うん四条でしょ?あの古い地下道のとこ。面取りをした三井ビルの交差点。わかるよ。前も行ったことあるし。自信満々で烏丸線に乗って降りたら(きの)「ここはどこだろう。」
階段をぐるぐる回って地上に出たら、似たようなビルばかりで方向がわからない。特に通りの名前も書いてない。とりあえず進んでいくと、走ってきたバスの横腹に〇〇→四条河原→出町柳と書いてある。ではあっちか。今度は京都駅行きと書いてあるバスとすれ違う。(きの)「??」やっぱりこっちなのか?四条河原にはどの方向からでも行けるだろうが、京都駅が動くわけないから、駅行きのバスが行った方に歩いていくと良いだろうと判断して歩いていくと、泊まる予定の(ホテル)「ジャーン」着いてしまった。
入っていって(きの)「どうしてCoconがないのか」こういうセリフを先週も聞いた。(支配人)「それは別の地下鉄出口から出たからだ」(きの)「なるほど。チェックインまで出直してきます」(宿)「いいえ。ダメ。雨だし」こいつを今解き放ったら戻って来られないだろうと思われたのか。ピストルのようなもので体温を測られ(35.9℃)チェックイン。親切なはからいにより無事上層階の部屋に収容され、出るに出れない。パブは?ココン・・・。(雨)「ザアァァ」近畿地方は今夜大雨の予報。
しょうがないので夜にやろうと思っていた用事を片付ける。(内線)「ぴわわっぴわわっテレワークなんでしょ?ここの事務所に大型デスクがあるから今から部屋に持って行こうか」(きの)「パソコン置ければ大丈夫ですから」こんな狭い部屋に持って来られてたまるか。デスクの上にはスパの案内と、「お香を焚かないでください」という注意書きが。ホテルでお香を焚く人がいるのだろうか??
だいたい、ホームページに(概要)「当ホテルは従業員による自警団を結成。消防署と連携し訓練を年2回。救命講習、点検!点検!」どうしたのか祇園祭の神輿をかつぐ地元青年団のような気迫が見て取れる。と思ったら喫煙フロアがあるからだなと気づいた。最近の建売住宅に多いくすんだ紺の外観といい、そもそも名前も自分ちを〇〇ベースなどと名付け基地ごっこをする体育会系喫煙サラリーマンが多く集まりそうなイメージだ。フロントが24時間見張っている上に、目前のエレベーターにカードキーをかざさないと乗れない。(HP)「レディースも安心して泊れる」安全なのかどっちなのか。
窓からの眺望は良い。洒落た並木道がそぼ降る雨に濡れている。無粋な電線は、きっと地下鉄工事の時に呼気の壺と共に土中に埋めたのだろう。向かいの最近建ったような某有名チェーンのホテルは、道路に対して本棚の本のように縦に収納されている。あれでは隣のビルが邪魔になって窓からほぼ何も見えないだろう。こっちは築年数は古いだろうが本屋で言うところの「平置き」だ。
予定では、Coconのパブでゆっくり愛猫・小枝ちゃんの誕生日の名残りと、翌日のアメリカ独立記念日を祝いたかった。そして夜には、ホテルの向かいのコンビニで買ったなめこ味噌汁と納豆巻きを、ホテルの部屋から都会のネオンを見下ろしながら堪能するはずだった。あのコンビニに沢山売ってるはず。もうなめこのことしか考えられない。思えば25年前の今日、小枝ちゃんと出会ったんだ。レンガのアパートメントの石段に7月のアイダホの乾いた朝日が光っていた景色を、なつかしく思い出す。
6時になり(きの)「うぉぉお腹が空いたぁぁガルルル」部屋から飛び出す。Coconのパブに走りこんで Fish&chips を山ほど食ってやる。パブが・・・パブ(きの)「え?これパブ?」前から 外野席 ちがう、テラス席もあり、滝の向こうに見える洒落たイギリスかと思っていたが、よく見たらフランスだった。(きの)「コホン。予約してないけどいいかな?」落ち着いて入ってみる。
長身の黒長エプロンのギャルソンが、黒板に書かれたメニューを持ってきて渡してくれる。この板をどうしろと。まあいい。海賊の食事がどういうものか目にもの見せてくれよう。(きの)「あれとねーこれとソーセージと肉の煮込みと飲み物はディアボロのマントで。ところでマントって何ですか?」(黒)「ミントです。肉はがっつりしているからスープは半分でいいでしょう」ちっ。
鍋に入った煮込みが出てきた。(きの)「むほほほ」おいしい。おいしいがこのメニュー3日ぐらい前に家で食べたorz 問題のディアボロはグラスの1/3ぐらいに緑色のシロップが入っていて、レモネードと混ぜようがもう全部この味。サンポールという昔の小学校のトイレ洗剤は、確かこんな匂いだった。
あっという間に平らげ、頼まれていた香水をば・・・(シャッター)「ガラガラ。最近は7時で閉めます」そんな!何しに来たのか。モールからまろび出て祇園祭の装飾をほどこした通りを抜ける。近くにあるはずの丑三つ時の藁人形の女の実家である鉄輪の井戸に行きたかったが、夜に訪ねて行くのはよろしくない気がしたのですごすごと寝床に帰る。風呂に入ってPOLAと書いたシャンプーで、湿気た頭をガシガシ洗う。
朝、ホテル併設のコメダで広島産せとかのマーマレードを食べる。2、3軒先に高木という雰囲気の良い喫茶店があったから、そこの朝食だったら良かったのになどと不平をぶつぶつ言いながら、フロントにちょっと散歩してくると言い残し、いざ鉄輪の井戸へ。
来る前にリサーチしたところによると、京都中心部のここから市街地の北の外れの貴船神社まで高下駄で毎晩往復したというから、作り話だと思っていた。念のため思いついてグーグルマップの乗り換え案内で計測してみた。(徒歩)「3時間13分」往復で6時間。ぎりぎりありえる。電車なら北山を迂回するから遠回りだが、みどろガ池から博愛会病院の横を抜けるルートなら、鞍馬までまっすぐだ。本当だったのか?
本当ならばすごい。目的はどうあれ、心理学的に見て物事を発案し実行する意欲に長けている。人のことをそこまで想えるとは。後からなら何だって言える。彼女より速いタイムで往復できる人だっているだろう。しかし、独創性という観点においてはこの分野の第一人者だ。彼女が走り出してしまっては、もう後の者は見送ることしかできない。
ホテルからすぐの裏通りの細い路地を抜け、石組みがあるところまで入っていく。その井戸は住宅街の、完全に人んちの間にあった。というか、近接の域を超え、そこらの3、4軒を合わせた家のウォーク・イン・クローゼットのような一体感だ。
やっと来ましたよ。感激して雨の中たたずんでいると真横の玄関(戸)「ガラッ」なぜこんな作りになっているのかわからないが、きっと掃除など管理してくれているだろう方々だ。敬意を表しニッコリ微笑んで(きの)「こんにちは。」(隣)「あっこんにちはピシャッ」閉めてしまった。きっと朝のご用事で忙しいのだろう。
無事チェックアウトして、またCocon烏丸へ。肝心の香水は(きの)「う~ん。ムスクて麝香では?ホワイト・ムスクて何?」(店)「石けん臭」じゃ香石鹸か。どんな車だろう。似たようなのが10種類もあり、全然違いもわからない。後で知ったがあの雰囲気の良い高木珈琲店は、喫煙OKだそうだ。う~~む。悩む。