チャンピオンズリーグは、毎年開催されるヨーロッパで最上位の大会です。方式はワールドカップと同じで4チームで予選リーグを、戦い上位2チームが決勝トーナメントで戦います。コロナの時は、変則でやっていましたがホーム&アウエーで2試合行いトータルで勝ったほうが、勝ちあがります。
参加できるチームは、ヨーロッパの各リーグの上位チームです。国別で前年の大会での成績により出場枠が割り当てられます。最大1リーグにつき4チームだと思います。
この大会に出ることは、クラブにとっても選手にとっても名誉です。そして成績順に賞金も出ます。これもまた、結構大きな金額です。名誉とお金が絡むので、一層励むという仕組みです。
今年は、トーナメントに勝ち上がったのは・
イタリア3チーム、イングランド3チーム、ドイツ3チーム、ポルトガル2チーム、スペイン1チーム、フランス1チーム、ベルギー1チーム。
これを平均して、4大リーグとか5大リーグとか言います。以前は、スペイン、イタリア、ドイツ、イングランドでした。最近は、これにフランスを加えることが多いです。
パリ・サンジェルマンの最近の活躍が認められフランスリーグの評価が上がりました。
他にもオランダも良く勝ち上がります。
大体これを見ると、そのリーグの強さが分かります。
ポルトガル・リーグも決してレベルの低いリーグではないことが分かります。過去、この大会で優勝したこともあります。今大会では勝ち上がれませんでしたが、オランダも5大リーグに準じるリーグです。
これを見る限り、5大リーグとは言えません。
フランスとスペインは、1チームしか勝ち上がれていません。
現在の傾向を見るなら、イングランドが世界最高のリーグと言えます。スペインの凋落がひどいですね。イタリアも最近落ち目なのですが、今年は調子がいいようです。
ドイツは、コンスタントにこのくらいです。
イングランド・プレミアが成功したのには、改革があります。そして、プロモーションの成功もあります。イングランドの1部リーグも低迷していた時代がありました。そこで抜根的な大改革がなされました。
まず、テレビ放送収益の分配をほぼ均等にしました。現在は、順位によりボーナス的な部分もあります。
2番目に外国人枠を撤廃しました。
ただし、イギリスで労働許可証が必要で、これはかなりハードルが高いです。レベルの低い選手は労働許可証を取得できません。
このためプレミアの各チームの(特に順位の低いチーム)の収入が安定しました。そして収入が増えるにつれ選手獲得競争でも優位に立つようになりました。順位の低いチームも、そこそこの選手なら獲得できます。
このようにしてリーグ全体のレベルが向上していき、選手の給料も上がっていきました。今、プレミアに所属する選手の給料は、ベンチメンバーですら驚くほど高いです。当然優秀な選手の給料は、もっと高いです。移籍金に多く資金を使えるので、優秀な選手ほどプレミアでプレーすることを望むようになりました。
C・ロナウド選手のころは、まだスペインリーグの方が上でした。外のビッグクラブに引き抜かれる選手が多かったのですね。
今は、完全に逆です。
そして、育成制度も大改革しました。
優秀な若手選手が、出てくるようになりました。
ただ、リーグのレベルが高いのですぐ出場機会を得られる選手はごく少数です。
今は、イングランドの若手は、ヨーロッパの他のリーグに武者修行に行きます。そこで活躍すると、プレミアのどこかのチームからスカウトが来ます。そうしてプレミア・デビューする選手が増えました。
監督だってそうです。給料も高い代わりに成績不振が続くと、すぐ首が飛びます。比較的長い視点でチーム作りを任されたのは、リバプールのクロップ監督とアーセナルのミケル・アルテタです。アルテタ監督は2019年から監督に就任し批判が多かったですが、クラブは解雇せず監督に任せました。やっと監督の思うようなメンバーも揃い戦術も浸透して、今シーズン、就任後初めてチームはリーグ1位のポジションにいます。就任後、4シーズン目です。他のクラブなら、とっくに首が飛んでいるでしょう。
アーセナルは名門ですが、ベンゲルの監督時代が長かったので、その後長い期間チームが低迷していました。
だから、富安選手や三苫選手がプレミアで活躍しているのは、凄いことなのです。世界最高峰のリーグで先発出場したり、出場機会が得られるだけでそれは、ほとんど一流の証明です。富安選手は、今余っていますがその能力は高いですから希望すれば、サイドバックやセンターバックが足りない、他のプレミアのチームからスカウトされるでしょう。
プレミア1年目で、ブレイクしつつある三苫選手には、驚きしかありません。
つまり、プレミアのチームにスカウトされること自体が難しいです。そこでレギュラーメンバーになるのは、更に難しいです。
他のリーグでレギュラーの座を勝ち取るのとは、難易度が全然違うと言うことです。
最近は、プレミアの下位のチームも強くなり、上位チームとの実力差も、5大リーグの中では1番少ないでしょう。
合理的な大改革が、今のプレミアの繁栄をもたらしました。外国人が多いからと言って、イングランドの代表チームが弱くは、ありません。
20年前に比べると格段に強くなったように見えます。
特別な選手がいなくても、確実に上位に来るようになりました。前回大会でも、試合の中で得たPKをケーン選手が決めていれば、決勝に勝ち上がったのはイングランドでした。イングランドの代表チームの最近の強さは、プレミアリーグのレベルの高さに比例しています。昔は、単純な体力任せのサッカーをしていました。今、ハイレベルなサッカーをしています。飛びぬけたスター選手がいなくても、チームの個々の選手のレベルが高いから普通に勝ち上がってくるようになりました。
そして、世界の有力選手がプレミアでプレーするので自然に、監督も優秀な監督をスカウトするようになりクラブとしての戦術も向上しイングランド人選手のレベルも向上しました。世界の有力選手との競争に勝たなければ、試合に出られないからです。
ここに日本のサッカー協会が学ぶべき大きなヒントがあります。