CNN 2024・12・14
シリア反体制派、アサド政権打倒の準備は1年前に開始 指揮官が英紙に明かす
https://www.cnn.co.jp/world/35227316.html
このような記事があります。記事によるとシャーム解放機構が1年前に南部の反体制派(多分、自由シリア軍)と連絡を取り、統一戦線の形成を打診したようです。
その後、トルコ、アメリカ、イスラエルが何らかの関与をしていると思います。特にイスラエルは1年以上前からアルシャームと連携するような動きを見せています。イスラエルの関与は永久に明かされないかもしれません。しかし、今の状況を見るならイスラエルが一番深く関与していると思います。
約1年前の日記です。
①(シリア)テロを変えてしまったドローン<2023年10月
https://smcb.jp/diaries/9145526
②シリアとレバノンの民兵組織<2023年10月
https://smcb.jp/diaries/9150461
これが、2023年10月に私が書いた記事です。今とはシリア問題に対する理解度が全く未熟ですから相当認識を間違えています。ともあれ、②の日記のソース。
Newsweek 2023年10月13日
③『中東情勢、再び緊迫の時代へ......ハマース、イスラエル、シリアの軍事対立が示すもの』
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2023/10/post-102825_1.php
青山弘之・東京外語大教授の投稿記事です。かなり詳しく書いています。今、読み直すと興味深い内容が沢山あります。主にイスラエルのシリア攻撃について詳しく書いています。イスラエルがシリア領内を頻繁に空爆する理由は、イランがシリア経由でレバノンのヒズボラに武器や装備を供与するのを阻止するのが狙いだとの説が書かれています。
この当時は、イラン・ヒズボラ・シリア政府が「抵抗枢軸」を自称していたようです。
シリア政府は、以下のように述べています。
「シリア軍が北部で戦っている過激派テロ組織を支援するために続けている手法だと非難し、シリア軍はイスラエル政体の武装勢力になり下がっているテロ組織を追跡、打撃を与え、国から根絶すると宣言している」
この当時は、アル・シャームはアルカイダとみなされテロ組織に指定されていました。あくまでシリア政府は、テロ組織を攻撃するという構図です。
しかし、この当時からイスラエルとアル・シャームには何らかの関係があったことを示唆しています。そして、この当時にシリア内戦は、イランとシリア連合対イスラエルと過激派(アル・シャーム)の戦争に変化していることが伺えます。そして、今判明したところでは、この時点でアル・シャームとシリア自由軍の連携が出来上がっています。
ロシアは、単にシリア政府軍を支援しているだけで「抵抗枢軸」には、関与していません。
つまり、今回11月の末に始まった反政府勢力の総攻撃は、これら一連の動きの総仕上げであったことになります。
ロシアは、アル・シャームがアレッポを攻撃した時は、空爆で政府軍を支援しています。しかし、その後支援を止めました。
読売新聞 2024・12・14
『アサド大統領、側近や親族にも伝えず逃亡・・・軍幹部に直前まで「ロシア軍の支援ある」とうそ』
(ロイター)
「アサド氏は、大規模反抗開始の翌日11月28日にロシアを訪れ軍事介入を要請したが、ウクライナ侵略を優先するロシアに断られた。イランには軍事介入を求めなかった」
とこのような内容が書かれています。
その後の経緯を見るなら、アレッポ陥落後はシリア政府軍は、ひたすら退却を続けて反政府勢力とはほとんど戦っていません。推測ですがシリア軍の幹部は、戦闘停止と退却命令を出していると思います。
こうして過去記事とつなぎ合わせて読んでみると、確かに今回の反政府勢力の連携とイスラエル軍のシリア空爆は、1年以上前から始まっています。イスラエルの目的は、ヒズボラの弱体化です。
そしてイスラエルとヒズボラの短い戦争は、イスラエルの圧勝でした。
停戦が合意されるのを待ち、反政府勢力は一斉に政府軍の攻撃を開始しました。
これは、イスラエルとヒズボラとの戦争の終結を待っていたのだろうと思います。
手が開いたイスラエル軍は、シリア政府軍の軍事資産を全て破壊するために猛烈な空爆を開始して、ほとんど破壊したのだろうと思います。これもアル・シャームと密約があった可能性があります。
その攻撃は、反乱を起こしそうな政府軍の残党やシリア政府の支配地にいたイスラム過激派にも向けられたはずです。③の記事には、シリア政府について戦っていたパレスチナ諸派の民兵組織の名前が出ています。他には、イランの民兵、革命防衛隊、ヒズボラ、イラクの民兵、アフガン民兵、パキスタン民兵などがシリア政府側で戦っていました。
つまり、シリア政府軍はイスラム各国の過激派の集合場所になっていました。多国籍イスラム過激派軍団です。
これ全部は、とても反政府勢力の手には負えないでしょう。
なるほどイスラエルが空爆しまくる理由です。ゴラン高原にこれらの過激派が侵入するのを阻止するために、シリア側までイスラエル軍は進出したのであろうと思います。シリア軍は逃亡してしまい、シリア側の陣地が空になったからです。新政府が兵士を配置できるまで、イスラエル軍が警備を代行するのであろうと思います。
過激派民兵組織の残党が、どこにいるかは分かりません。結構、シリア全土にばらけて潜伏している可能性があります。
と言うような実に入り組んだ話のようです。(よく、わからない❓)