「北の山・じろう」日記

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ロシアがシャーム解放機構と直接接触、ロシアのシリア政変後のスタンス<2024・12・13

2025-01-12 08:39:02 | アフリカと中東

ロイター
2024年12月13日
『ロシア、シリア旧反体制派のシャーム機構と直接接触』

ネットの噂話を見ているとムチャクチャですね?
空想論か与太話のオンパレードです。
それは、不正確か既成概念しか書かないという意味ではメデイアも同じです。

ロシアは、シリアではアサド政府軍を支援してきました。
これは旧ソ連時代からのシリアとの友好関係が大きな理由です。二つ目にはロシアはシリアのラタキア県に軍港を租借しています。内戦開始後は、シリアにまともな組織が残虐非道であったとしてもアサド政府しかなかったのも事実です。民主化などを主張した反政府組織は腐るほどありました。しかし、その多くは山賊・夜盗の類でした。その最大のものがイスラム国です。もしアサド政権が崩壊していたらシリアで政府らしき組織は消えていたと思います。
現在、新政府の中心になるシャーム解放機構が結成されたのが2017年です。他に大きな組織はクルド系しかありません。
アサド政権が一定の評価を周囲から受けていたのは、最低限の秩序をシリア内戦の中でもたらしていたからです。イスラム国との戦いにしてもアサド政府が存在しなければ、手の打ちようがなかったと思います。

それから6年以上が経過して、やっとシリア内戦の勢力が集約されてその中からシャーム解放機構が力を付けてシリア自由軍と連携したようです。その上で旧アサド政府と折り合いをつけて、新政府に権力を移行する流れになりました。

この動きからは、ロシアとイランは除外されています。アメリカ、トルコ、イスラエルがどのように関与したかは不明ですし、今後も明らかにされることは無い部分も多いでしょう。程度の差はあれ、この3か国が関与していた可能性が高いと思います。ロシアが外されていた理由は、最初にシャーム解放機構がアレッポを攻撃した時にロシアは空爆して政府軍を支援しました。その後介入を止めました。どこかから連絡が行ったのであろうと思います。
ロシアは介入を止めて最後に前アサド大統領を秘密裏にロシアに移送して長きに渡ったシリア内戦は終わりました。

ロシアの立場とイランの立場は全然違います。
イランは、シリアを自国の政策の重要な道具として利用していました。イラン~イラク~シリア~レバノンに至る陸の回廊を作りイスラエル撲滅の手段であるヒズボラの強化に利用していました。だから何が何でもアサド政権が存続する必要がありました。シリア内戦の最後は、イラン対イスラエルの戦いの側面が強いと思います。この闘争では、イスラエルの完勝でした。イランは梯子を外されシリアから追放されました。イラン勢力を排除しなければ、シリア内戦は終わらなかったと思います。

ロシアは、潰れるアサド政権を支える心算はなかったと思います。関係するどこかの国から警告を受けて手を引きました。ロシアも2015年ごろからシリア支援に乗り出しています。経費自分持ちですからロシアにとっては資金的に大きな負担だったと思います。アサド政権が崩壊することは、ロシアにとってはその大きな負担から解放されることを意味します。ロシアの内心を言えば都合が良かったでしょう。
シリア作戦に投入していた戦闘機部隊はロシアに撤収しました。それ、どこに行きます❓更には大きな戦費負担もなくなります。全部、ウクライナ戦線に投入できるでしょう❓ロシアから見ると、差し引き「行って来い」程度かな・と思います。

ロシアにとって重要なのは、シリアに租借している軍港と空軍基地を今後も租借し続けることです。特にアサド政権が存続しなければ、ならない理由はありません。次の新政府が出来れば、その新政府と関係を結べば良いだけです。この点については、ロシアに有利な点があります。困窮しきったシリアに食料と肥料を提供してきたのは、ロシアです。これがなければ、シリアでは相当数の餓死者が出ていたでしょうね。
新政府の母体となるシャーム機構にしてもロシアに代わって食料や肥料を提供してくれる相手はいません。だからロシアの密かな要望に従って、ロシアの海軍基地と空軍基地は保護しています。

このようにロシアと新政権は、双方に相手を必要とする理由があります。そこでボチボチと話し合いをしようじゃないか・と言うわけです。

イランは、シリアを失うことで致命的なダメージを受けたと言えます。
ロシアは、シリア関連の費用負担が消えて空軍を撤収できた分、メリットがあります。
後は、海軍基地と空軍基地の租借が継続できれば、それほどデメリットはありません。
ロシアは、今後も海軍基地と空軍基地の租借を継続し、シリアはロシアの食料と肥料を(お値引き価格で)安定購入できれば、双方にメリットのある話ですから、過去のいきさつは水に流して折り合いが付くだろうと思います。

結局、一連が終わってみると迷惑者のイランが排除されました・と言う話のように見えます。
関与した全員がイスラム国の制圧では、一致して行動しました。
テロを支援していたのはイランです。
だからイランは排除されました。イスラム国制圧に協力したロシアは排除されないだろうと思います。
一番得をしたのは、イランに完勝したイスラエルでした。
50年に渡りシリアを支配した暴君を追放できたシリア市民も多分、勝利したのだろうと思います。


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