妖怪大魔王・コバ法王日記

オートバイを分解して磨き、正確に組み立て独自理論でラインを探り、ストップウォッチと頭脳で感性を磨き、日々の想い語ります

タイヤ から診る、ライディング (その1)

2019-09-18 23:45:12 | ライディングの基本・妖怪講座

   GRAの公式Webサイト『 オートバイの基本講座 』に掲載前の記事です。
   計 3~4回に分けて、タイヤを診てライディングの検証を推奨する記事を掲載します。

   
    

『 タイヤを診ないで、ライディングを語るなかれ 』

「タイヤ」は、オートバイの中で一番大切な部品だ。
路面と接触しているわずかな面積、前後合わせてハガキ一枚分ほどで、走って曲がり、止まるの全てを担当しているからだ。    

けれども、殆どのライダーはタイヤの働きに無関心過ぎる。
なぜなら、タイヤが一番大切な役割を担っている事を知ってるなら、ベテランや初心者ライダーを問わず、走行する度にタイヤのエア圧やタイヤ表面のチェックをする筈だからだ。    

もし、あなたが、オートバイをもっと知りたくて、もっと上手に安全に走れるようになりたいなら、毎回のエア圧チェックと、是非、タイヤ表面の “ 摩耗痕 ” のチェック方法を覚えて欲しい。
そして、タイヤ表面の “ 摩耗痕 ” を診るだけで、ライディングの特長や癖を理解し、もっとタイヤの能力を活かした安全なライディングへ工夫を重ねて欲しいのです。
 
 

    『 風紋 と “ 摩耗痕 ” 』

“ 風紋 ”(砂紋)は知っているだろうか。 砂丘などで、砂の表面が “ さざ波 ” 状の模様がついているのが “ 風紋 ” で、その名前の通り、風の力によって砂の粒が動かされ、あの様な模様が残る現象で、風の向きが一定している場合に、その風向きと 90度 の向きで残る事が知られている。  
                  
実は、タイヤ表面に残る “ 摩耗痕 ” も同じで、タイヤ表面に働く “ 摩擦力 ” によって波状の模様が “ 摩耗痕 ” となり、その向きは “ 摩擦力 ” と 90度 の向きになるのだ。

 

 

『 直立走行時の “摩擦力” 』

では、実際のタイヤで働く “ 摩擦力 ” を、一番簡単な、オートバイを直立・直進させている状態での説明をしよう。
      

  

この図は、直立・直進時に、アクセルを開けて加速した際、タイヤの表面に働く “ 摩擦力 ” の方向を示した図だ。 加速させた時には、タイヤ接地面に、タイヤの回転方向とは逆の向き(反作用として)の “ 摩擦力 ” が働く。 そして、その “ 摩擦力 ” の向きは、タイヤの回転方向と平行だ。

     ( 文字で書くと難しく思えるが、図で見れば分かるだろうか  )

では、次は、同じ直立・直進時でも、減速時(エンジンブレーキやブレーキ使用時)に働く “ 摩擦力 ” を見てみよう。
  

     

アクセルを戻したりブレーキを掛けて減速し際は、加速とは逆の向きに力を作用させるので、タイヤ表面に働く “ 摩擦力 ” は、加速とは逆の向きに働く。 ただし、その働く向きは、直立・直進に変わりないないので、タイヤの回転方向と平行で変わりない。
   
ここまでは 理解できただろうか。 では、次は、この “ 摩擦力 ” でよって、どんな “ 摩擦痕 ” が出来るのか、図を使って説明しよう。      



『 直立・直進時の “ 摩擦痕 ” 』

タイヤ表面に働く “ 摩擦力 ” によって出来る “ 摩耗痕 ” を、加速時と減速時の両方をまとめて描いたのが下の図だ。 加速時と減速時との違いが分かるだろうか。
         

    
“ 摩耗痕 ” は、風と風紋の関係と同じく、“ 摩擦力 ” の向きと 90度 の向きに、波状の模様として残る事は理解できるだろうか。 ただし、その “ 摩耗痕 ” の波の向きは、加速時と減速時とでは 逆 の向きになる事も理解できるだろう。
    
ここまでが、直立・直進時の “ 摩耗痕 ” の説明だ。 もう分かると思うが、直立・直進時の “ 摩耗痕 ” は、必ず タイヤの 中央部分 だけに残り、加速時の “ 摩耗痕 ” は、普通は、リアタイヤ だけに残り、減速時の “ 摩耗痕 ” は、減速の役割を多く担当する フロントタイヤ に残りやすい事も説明に加える。

< 検証 > ・・  実際にタイヤを診て、直立・直進時の “ 摩耗痕 ” を発見したら ・・

  〇 タイヤの中央部に、回転方向と 90度 の向きの “ 摩耗痕 ” があったら、
     直立状態での 加速や減速 に、タイヤの能力をかなり使っている証拠

  〇 公道走行での “ 摩耗痕 ” なら、それ以上に “ 摩擦力 ” が働かない様に
     注意する必要がある

  〇 また、急激な加速や減速を行なっていない場合は、タイヤの能力が下が
     っている可能性もある。タイヤのエア圧調整を行なったり、タイヤの劣化や
    タイヤ賞味期限を確認する必要がある



         *    *   *   *   *   *   *   *

 

以上、『 タイヤから診る、ライディング 』( 直立・直進時編 )は 一旦終了。 次回は、オートバイをバンクさせている時の “ 摩耗痕 ” の解説の予定。
  
オートバイのライディングの醍醐味の一つ、バンクさせての走行は、楽しさを感じさせる時もあれば、怖さを感じさせている時もある。 その原因の解明や、楽しく安全に走る為の ヒントを、『 タイヤから診る、ライディング 』( バンク走行時編 )で解説しよう。
  
きっと、日本では、今までに無かった解説になると思うし、「 コーナリングブレーキ 」の他に、「 バンキングブレーキ 」や 「 リアステア モーメント 」などの要素も、今回以上に 分かりやすく解説して、タイヤ “ 摩耗痕 ” の診断からの ライディング 改善を 提案しよう。  乞うご期待。
 

< 解説記事 : 妖怪・小林
 
 
http://gra-npo.org/lecture/ride/tire%20diagnosis/img_Tire%20diagnosis.html



  


サスペンション と 電気回路 との相似性

2019-09-18 20:40:48 | 日記

『 無くした雑誌記事 』

サスペンション好きな僕は、サスペンションを構成する各要素毎に仕様を変化させ、実際に走行した際に感じる性格との比較・理解がとても好きだ。

そんな僕が、以前から気になっていた解説記事があった。それは、サスペンションを電気回路に置き換えた記事だ。 一度読んだけど充分に理解が出来ず、手元に置いていたのに、いつか見当たらなくなっていた。確か、7~8年前の 三栄書房発刊「 Motor Fan illustrated 誌 」だった。
 
 
 
『 スプリング は コイル(インダクター)』

その解説記事の主な内容は、サスペンションを構成する 「スプリング」と「ダンパー」を、電気回路の 「コイル」と「コンデンサー」に置き換えたものだった。 通常の機械系記事では有り得ない内容だったが、各々の相似性に強く惹かれ、その上、当時の F1 レース車両で採用され始めていた 「イナーター」を電気回路の要素で説明してあったので、青天霹靂、とてもショックだった。
  
そんな状況だったので、改めて 学術系の資料を含めて調べてみると、比較的簡単に[ 解説図表 ]が見つかった。
                 

『 相似する各要素 』

図表の左側が “ 機械系(Mechanical) ” 要素 で、右側に 相当する “ 電気系(Electrical) ” 要素 をまとめてある。 “ 機械系 ” は、上から 「 スプリング 」、「 イナーター 」、「 ダンパー 」で、右側の “ 電気系 ” では 「 コイル 」、「 抵抗 」、「 コンデンサー 」と、それぞれ関連相当の要素が左右に並んでいる。

各々の枠内に書かれている数式は、様式が一定していない所もあって、少し分かり難い点もあるが、以下の様な内容だ。 “ 機械系 ” で言えば、「 イナーター 」が担当する “ 加速度 ” を時間で積分すれば 「 ダンパー 」が担当の “ 速度 ” になり、更に積分すれば 「 スプリング 」担当の “ 位置(距離)” を表している。



『 どなたか、ご教示を 』

“ 電気系 ” も同様に考えれば、「 電流 」を時間で積分して 「 電荷量 」になり、更に積分して 「 電力量 」になると言う事か? ここらが、未だ少し理解が出来ていない。
 
誰か、ご教示戴ける人がいれば、是非、教えて下さい。 
 
  
 < 解説記事 : 妖怪・小林