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男とからむと、くすぐったい。男の肌ってキメが荒くてね、ガサガサしててくすぐったいの~ゲイ映画俳優・山科薫さんのお話~『上野アンダーグランド』から

2020年03月06日 | ★女装の本・雑誌
『上野アンダーグランド』
執筆者は本橋信宏氏、手練れのノンフィクションライター。
取材力、インタビュー力、資料発掘力が高く、それを読みやすいノンフィクションにまとめてくれます。
あの『全裸監督』の著者ですので、記憶にある方も多いと思います。
その本橋氏が取材テーマに選んだのが「上野」。
上野といえばオークラ劇場と地下特選。
そういえば初期のP倶楽部集会も池之端のホテルで行われていました。
正にアンダーグランドという言葉がふさわしい。
そして私も何もない日常から逃れたい時には妖しい気が漂う上野をさまよっていました。

ゲイをテーマにした章のなかで本橋氏がインタビューしたのがゲイ映画の人気男優・山科薫氏です。
売れない俳優だった山科氏はゲイ映画が出演することでブレークしました。
以下引用です。(原文がホモ映画となっていますのことをご了解ください)

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 私たちは山科薫を座の中心に据え、話のつづきを聞くことになった。
 異性愛嗜好の男・山科薫に私はこんな質問をしてみた。
「ホモ映画出るときは抵抗はなかった?」
 すると生ビールをぐいとあおり、答えた。
「無いどころか、やっぱり役者を始めること自体、人より目立ちたいってことですから。目立ちたいの
に、普通のピンク映画だと女が主役で男は刺身のツマですから。たまに女優より目立ってやりたいって
思うときあるじゃないですか。そんなときにホモ映画でしょ。こっちが主役じゃないですか。こっちを
みんな見るわけだから、それはもうやりがいがある。出るしかないと思ったわけ。男とベッドシーンや
るのが気持ち悪いとか、そんなことで出ないなんてふざけんじゃねえってぐらいの気持ちがあったんで
しょね」
「それは役者魂だよねえ」
「うん。だからね、気持ちが悪いのは当たり前、役になればできるだろう、キスぐらい平気だって思っ
てやったわけですよ。でもね、気持ち悪いのは我慢できたけど……」

 山科薫は、体験者でなければわからないリアルな感触を告白しだした。
 「男とからむと、くすぐったい。男の肌ってキメが荒くてね、ガサガサしててくすぐったいの。気持ち
悪い以上にくすぐったいんですよホントに。女性と質感が違う。もともとね、自分は女子プロレスラー
と付き合ったりしてて、男みたいな女は好きだから平気だと思ったんですよ。男以上に力があって、も
ろ筋肉質の骨格のしっかりした女って嫌いじゃないんですよ。だから男も平気だと思ったの。ところが
そういう問題じゃないの。
 男と女の違いは、骨格とか筋肉の問題じゃなく皮膚の問題なんですよ。骨格とか筋肉がしっかりして
る女性アスリートだって、肌が滑らかですから。どんなにたくましいがっちりした力のある女でも、男
と女のからみは、磁石でいえばプラスとマイナスの関係性なんです。だけど、男と男のからみはプラス
とプラスなんですよ。皮膚感覚はまるっきり違います。男とからんでも、くすぐったくてしょうがない。
どんなに役作りして入ったつもりでも」
  『上野アンダーグランド』(本橋信宏著)駒草出版 2016年
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男の皮膚感覚は違う。私はこれに納得しました。
こうした話を引きだせるのが本橋氏のインタビュアーとしての手腕ですね。




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