「この電話は電波が届かない所か、電源が切れていて・・・」
何回このメッセージを聞いたでしょうか。受信記録はあるはずなのに。
「どうしたの~?」 "Como estabas ?"
メールの送受信は、やり方がわからない出来ない。なのでアドレスはない。
その子はミゲル君
今年のお正月明け、お正月もずっと仕事でしたって電話を貰って。
「問題ない?」"No hay problema ?"
「ハイ!」
このところ、なぜか気になって電話をしても、彼は無視し続けて。
「マリアさん、ミゲル君元気かしら?」
「はい。でも、もう彼はここへは来ません」
「どうして?」
「聞いてください。色々あったのです」
「わかったわ。では日曜日の午後に伺うわ」
一つも上達しない、正に「下手の横好き」状態のスペイン語で、
私は彼に、そのスペイン語で切々たる思いの手紙を書きました。
どうぞ、この下手なスペイン語を理解してね!の思いだけで。
きっと苦しんでいる、きっと悲しんでいる、生きる意味も術(すべ)も
手に出来ない苦しみの中に居るって、なぜか思ったのです、なぜか。
「お久し振り~、お元気そうで何よりよ」
レストランを改めて開業した彼女。日曜日の午後2時も回ったのに、ほとんど
満席状態。写真入の立派なメニュー。専属コックさんも厨房にいて、在住
ペルー人達の大きな存在。故郷の味ほど懐かしいものはないでしょう?
美味しい鳥料理を戴きながら、彼の近況を聞いていたのだけど、涙が溢れて
お料理も塩味が強くなってきたわ。
「マリアさん、わかったわ。でも、彼に必要なのは頑張んなさい!しっかり
しなさい!大人でしょう?の言葉じゃあないって私は思うわ。誰が彼を愛して
信じてあげるの?それをどうやって彼に感じてもらえる?人は誰でもそれがな
いと生きていけないのよ」
「・・・・・」
マリアさんも涙を拭いている。だって、可愛い(はず)甥子なのですもの。
「もう、これ以上聞かない。彼を支えて上げられないのに、彼の不幸話を聞い
てもしょうがないでしょう。でも、出入り禁止って、彼とどうやって連絡を
とるの?」
「電話をするか、家に行きます」
「そう、なら、なるべく早くこの本と手紙を渡して欲しいのだけど、お願いで
きるかしら?」
「ハイ」
人は、人の不幸話を聞くのが好きです。
でも、私は大っ嫌い。いつも言う(書く)ように、いわゆる三面記事は読まない
聞かない私なのです。被害者も加害者も、その背景は、第三者が茶飲み話にする
ような軽いものではない筈ですし、誰かが苦しむ状態に興味を持つ自分を戒めな
ければいけない、そんな無作法で冷血な人間になってはいけないのです。
恥ずべきことなのです。ですから、私はミゲル君の色々は聞きませんでした。
ただ、私に出来ることは、見捨ててないわ。だから、あなたも自分を見捨てな
いで!って。無期限の信頼を置くことだけなのです。信じるって、立場・軽重・
期間なんて関係ないのです。
日本に来て(それも大人の都合で)、1年半の18才の男の子は、自分の運命に
翻弄されて、溺れかかっているのです。小さな棒切れかも知れないのですが、
私は差し伸べました。
大丈夫!あなたの過去はもう過ぎ去ったのよ。大丈夫!大丈夫!ってエールを
送り続けるのです。
何回このメッセージを聞いたでしょうか。受信記録はあるはずなのに。
「どうしたの~?」 "Como estabas ?"
メールの送受信は、やり方がわからない出来ない。なのでアドレスはない。
その子はミゲル君
今年のお正月明け、お正月もずっと仕事でしたって電話を貰って。
「問題ない?」"No hay problema ?"
「ハイ!」
このところ、なぜか気になって電話をしても、彼は無視し続けて。
「マリアさん、ミゲル君元気かしら?」
「はい。でも、もう彼はここへは来ません」
「どうして?」
「聞いてください。色々あったのです」
「わかったわ。では日曜日の午後に伺うわ」
一つも上達しない、正に「下手の横好き」状態のスペイン語で、
私は彼に、そのスペイン語で切々たる思いの手紙を書きました。
どうぞ、この下手なスペイン語を理解してね!の思いだけで。
きっと苦しんでいる、きっと悲しんでいる、生きる意味も術(すべ)も
手に出来ない苦しみの中に居るって、なぜか思ったのです、なぜか。
「お久し振り~、お元気そうで何よりよ」
レストランを改めて開業した彼女。日曜日の午後2時も回ったのに、ほとんど
満席状態。写真入の立派なメニュー。専属コックさんも厨房にいて、在住
ペルー人達の大きな存在。故郷の味ほど懐かしいものはないでしょう?
美味しい鳥料理を戴きながら、彼の近況を聞いていたのだけど、涙が溢れて
お料理も塩味が強くなってきたわ。
「マリアさん、わかったわ。でも、彼に必要なのは頑張んなさい!しっかり
しなさい!大人でしょう?の言葉じゃあないって私は思うわ。誰が彼を愛して
信じてあげるの?それをどうやって彼に感じてもらえる?人は誰でもそれがな
いと生きていけないのよ」
「・・・・・」
マリアさんも涙を拭いている。だって、可愛い(はず)甥子なのですもの。
「もう、これ以上聞かない。彼を支えて上げられないのに、彼の不幸話を聞い
てもしょうがないでしょう。でも、出入り禁止って、彼とどうやって連絡を
とるの?」
「電話をするか、家に行きます」
「そう、なら、なるべく早くこの本と手紙を渡して欲しいのだけど、お願いで
きるかしら?」
「ハイ」
人は、人の不幸話を聞くのが好きです。
でも、私は大っ嫌い。いつも言う(書く)ように、いわゆる三面記事は読まない
聞かない私なのです。被害者も加害者も、その背景は、第三者が茶飲み話にする
ような軽いものではない筈ですし、誰かが苦しむ状態に興味を持つ自分を戒めな
ければいけない、そんな無作法で冷血な人間になってはいけないのです。
恥ずべきことなのです。ですから、私はミゲル君の色々は聞きませんでした。
ただ、私に出来ることは、見捨ててないわ。だから、あなたも自分を見捨てな
いで!って。無期限の信頼を置くことだけなのです。信じるって、立場・軽重・
期間なんて関係ないのです。
日本に来て(それも大人の都合で)、1年半の18才の男の子は、自分の運命に
翻弄されて、溺れかかっているのです。小さな棒切れかも知れないのですが、
私は差し伸べました。
大丈夫!あなたの過去はもう過ぎ去ったのよ。大丈夫!大丈夫!ってエールを
送り続けるのです。