歌の好きなオジさん(4)

2014-11-13 20:45:25 | 童話
オジさんは、近くに誰かいるのだろうかと思い、周りを見ましたが誰もいません。

一緒に歌を聴いていた犬に聞きました。
『お前が言ったの?』
犬は『僕じゃないよ。』と言いました。
今度は一緒に歌を聴いていた猫に聞きました。
『お前が言ったの?』
猫は『私じゃないわよ。』と言いました。

『だれが「ありがとう。」と言ったのかなぁ?』

『わたしよ。』と、またCDから声が聞こえてきました。

『昨日はありがとうございました。』

『いえいえ、私こそ楽しませてくれて、ありがとうございました。
また次のコンサートに行きますのでよろしくお願いします。
だけれど、私が大切に飼っている犬と猫がコンサートに行きたいと言っているんです。』

『犬さんと猫さんに小さくなってもらって、ケーキの箱に入ってもらって、鳴かないようにすれば大丈夫かな?』
『では、犬と猫に聞いてみますね。』

しかし、犬も猫も『ケーキの箱に入るのはイヤだよ。その代わり、僕と猫が人間の子供になるよ。』と言いました。

そして、オジさんは二人の子供と一緒にコンサートに行って、大好き女性歌手の歌を楽しみました。
そして、家に帰ってから、犬と猫に『もう犬と猫に戻っていいよ。』と言いました。
すると、何時もの犬と猫が『楽しかったね、次のコンサートにも連れて行ってほしいなぁ。』と言ったので、オジさんは約束を守ろうと思っています。

          おしまい