20センチの巨人(4)

2016-03-28 21:13:00 | 童話
『巨人さんもランドセルと黄色いぼうしが良く似合うよ。』
『ありがとう。これから返すね、ほれっ。』

だけれど、巨人さんは黄色いぼうしのヒモをランドセルに結ばないで、ランドセルの上に置いて投げたので、軽いぼうしは僕の所へ飛んで来ませんでした。
そして、巨人さんがぼうしを何度投げても、僕の所には飛んで来ませんでした。

『困ったね。』
『うん、困ったね。』
『僕がお母さんに頼んでみるよ。』
『ああ、そうしておくれ。それまで黄色いぼうしは大切持っているからね。』
『うん。』
『お母さん、僕の黄色いぼうしが絵本の中に入ってしまって取れないんだ。お母さん取ってみて。』
『あらっ、本当に絵本の中に入って、巨人が持っているわね。』
『巨人が投げても外まで届かないんだ。』
『それでは、物干しさおを巨人に渡しましょ。そして、物干しさおの先に黄色いぼうしを載せて高く上げてもらうのよ。』
『物干しさおを僕が巨人さんに渡してあげるよ。』
と言って、お母さんに長いさおの後を持ってもらって、トンと本の上に置きました。
すると長いさおは本の中に入って行き、巨人さんに届きました。