20センチの巨人(4)

2020-07-14 09:14:34 | 童話
『ありがとう。これから返すね、ほれっ。』
だけれど、巨人さんは黄色いぼうしのヒモをランドセルに結ばないで、ランドセルの上に置いて投げたので、ランドセルは届いたのですが、軽いぼうしは僕の所へ飛んで来ませんでした。そして、巨人さんがぼうしを何度投げても、僕の所には飛んで来ませんでした。
『困ったね。』
『うん、困ったね。』

『僕がお母さんに頼んでみるよ。』
『ああ、そうしておくれ。それまで黄色いぼうしは大切持っているからね。』
『うん。』
『お母さん、僕の黄色いぼうしが絵本の中に入ってしまって取れないんだ。お母さん取ってみて。』
『あらっ、本当に絵本の中に入って、巨人が持っているわね。』
『巨人が投げても外まで届かないんだ。』
『それでは、物干しさおを巨人に渡しましょ。そして、物干しさおの先に黄色いぼうしを載せて高く上げてもらうのよ。』
『わかった、物干しさおを僕が巨人さんに渡してあげるよ。』
そして、お母さんに長いさおの後を持ってもらって、トンと本の上に置きました。すると長いさおは本の中に入って行き、巨人さんに届きました。

『ありがとう、届いたよ。これから黄色いぼうしをさおの上に載せて持ち上げるよ。』
そして、巨人さんがさおを持ち上げましたが、高い所は風が吹いていて、黄色いぼうしが飛ばされました。