20センチの巨人(5)

2020-07-15 08:17:46 | 童話
『だめだね、うまくいかないね。』
『そうだね、うまくいかないね。よしっ、わしが持って上がって行くよ。』
そう言って、巨人さんが黄色いぼうしをかぶって、両手で物干しさおを掴んで僕の所まで持って来てくれました。

『ほいっ、黄色いぼうしだよ。わしはもう帰るからね。』
『巨人さん、ありがとう。』
『ああ、良かったね。』
『ねえお母さん、この物干しさおはこのままにしていていいでしょ?』
『何に使うの?』
『巨人さんが、また僕の所に来る時に使うんだよ。』
『ええ、いいわよ。』
『巨人さん、この物干しさおはこのままにしておくから、次に来る時に使ってね。』
『ああ、ありがとうよ。』

四月になって僕は小学生になり、毎日ランドセルを背負って、黄色いぼうしをかぶって学校へ行っています。