山の上のロックの永~い旅(2)

2021-06-24 09:12:55 | 童話
目が回ったのが直ったので、僕は何にぶつかって止ったのか確かめた。松だ、やっと大きな松の木の根元に居るのが分かった。

『僕はロックという名前です。松の木のおじさん、大丈夫ですか?』
『ああっ、大丈夫だよ。お前のスビードが遅くなっていたので、わしでも止められたよ。もっと速いとダメだったけれどね。』
『ありがとう、助かった。目がグルグル回って大変だった。』
『わしは三百年ここに居るけれど、お前のように転がって来る石を何度か見たよ。』
『そうなの、みんな転がるのが上手だった?』
『ああっ、みんな上手いもんだ。ところで、お前はどこへ行くのだい?』

『僕はね、これから海へ行くんだ。』
『海は遠いよ。』
『海は遠いと聞いていたけれど、そんなに遠いの?』
『ああっ、遠いよ。何年かかるかなぁ。いやいや、何百年かなぁ。』
『そうか、頑張らないといけないなぁ。』
『松の木のおじさん、少しここで休憩させてね。』
『ああっいいよ、好きなだけ居なさい。』