大きな大きな縄跳び(4)

2018-04-20 07:09:05 | 童話
夏が終るころに、僕達が広場で遊んでいると、空が急に暗くなってカミナリが鳴り、大粒の雨が降ってきたので、あまり高くない木の下にいました。
お母さんから「カミナリが鳴っている時は、大きな木の下はカミナリが落ちるから危ないわよ。」と言われていたので、あまり大きくない木の下にしました。

しばらくして、雨がやんで空が明るくなってきました。
僕達が空を見ると大きな虹が出ていて、虹は広場の中から出ているように見えました。
『ねえ、ここだと虹の出ている所に行けると思うから行ってみようよ。』
『そうだね、行ってみようか。』
『僕ね、お母さんと「オズの魔法使い」という映画をみに行った時に、みんなが虹の中に入っていたんだよ。』
『ふぅ~ん。じゃぁ、虹の中に入る事ができるんだ。』
『うん、きっと虹の中に入れるよ。』

僕達が虹の近くへ行くと、やっぱり虹はうしろに行っているみたいで、なかなか虹の出ている所に着きませんでした。
『どうして虹の出ている所に着かないのかなぁ。』
『なんでかねぇ。』
やがて、虹がだんだん薄くなってきて、ついに消えてしました。
『虹が消えてしまったね。』
『うん、消えてしまったね。』
僕達は虹の探検をやめて、家に帰りました。

その夜、空いっぱいに出ているフワフワとした虹を、僕達は広場まで持って来て、両手でギュッと押し固めて細くしている夢をみました。
僕が虹の右側からギュッギュッと押し固め、友達が虹の左側からギュッギュッと押し固めて細くしていきました。虹はだんだんかたくなって縄のように細くなり、両手で持って回せるくらいになったので、僕と友達は広場で虹の両端を持って回してみました。
ぐるんぐるんぐるん、ぐるんぐるんぐるん。
『やったぁ、回った回った。』
『うん、回ったね。すごいね。』
僕達は、幼稚園のみんなにお話しをするために、急いで幼稚園へ行くと、幼稚園の友達も、押し固めた虹で縄跳びをしていました。

『あまりたくさんお昼寝をしていると、夜に寝られないわよ。』と、お母さんに起こされました。
『なぁ~んだ、虹で縄跳びをしていたのは夢だったのか。』
僕は幼稚園で、みんなに夢の話をすると、友達みんなも同じ夢をみていました。
『虹で縄跳びは、やっぱりできるんだね。』
『そうだね、できるんだね。』
『みんなで頑張って虹を探そうよ。』
『うん、探そう。』
それから、秋が来て、冬になり、虹はずっと出ませんでした。
僕達は夏に虹が出るのを楽しみにしています。

              おしまい

大きな大きな縄跳び(3)

2018-04-19 07:07:38 | 童話
暑い夏の夕方に、空が急に暗くなってカミナリが鳴り、大粒の雨が降ってきました。だけれど、その日は雨がやんでも虹は出ませんでした。
『今日は虹が出ないね。』
『そうだね、虹が出ないね。』
『明日は虹が出ると思うんだ。』
『そうだね、明日は虹が出るよね。』

だけれど、空が急に暗くなってカミナリが鳴り、強い雨が降って、そのあと雨がやんでも虹は出ませんでした。
そして、僕達は虹のことを忘れかけていた時に、カミナリが鳴って大粒の雨が降ったあとで、大きくてきれいな虹がでました。
『やったぁ、大きな虹だ。』
『そうだね、大きな虹だね。』
『よしっ、虹の探検に行こうよ。』
『うん、行こう。』

そして、僕達は虹の方に向って歩いて行きました。だけれど、僕達が虹に近付いても、虹は遠くにあるままで、近くなりません。そして、ハッキリと見えていた虹が薄くなってきました。
『なんだか僕達が近付くと、虹はバックしているみたいに、僕達と虹との間が変らないみたいだね。』
『うん、そうだね。』
『今日は疲れたから、もう探検をやめて帰ろうか?』
『そうだね、帰ろうか。』

僕達が帰り始めるころには、虹は見えなくなってしまいました。
しばらくして、虹が出た時に僕達は早く虹の所へ行けるように自転車で虹の探検に行きました。
だけれど、僕達が自転車で速く走っても、虹は遠くに行っているみたいで、なかなか虹の所に着きませんでした。
『疲れたね。』
『そうだね、帰ろうか?』
『うん、帰ろう。』
僕達は虹の探検ができていないので、幼稚園のみんなと虹を広場に持ってくることも、みんなで虹を回すことも、まだできていません。

大きな大きな縄跳び(2)

2018-04-18 05:49:53 | 童話
『今度虹が出るのが楽しみだね。』
『そうだね、虹の探検が楽しみだね。』

それからしばらく虹は出ませんでしたが、幼稚園で虹を広場まで持って行く方法をみんなと相談しました。
そして、虹は大きいので、5人くらいが手をつないで虹の片方の端を持つようにして、10人で両方の端を持てば、広場まで持って行くことができると決めました。

『これで虹を広場まで持って行くことができるね。』
『よしっ、今度は虹を回す方法をみんなで相談しようよ。』
『そうだね。みんなで相談しようよ。』
『ねえ、虹が出た時は上に出ているので、みんなで両端を引っ張ると回るんじゃないかなあ?』
『虹を広場まで持って行くのは10人に決めたけれど、虹を回すのはもっとたくさんの人がいると思うけれど、どうかなあ?』
『じゃぁ、片方10人づつで、両方で20人だと回らないかなあ?』
『うん、20人だときっと回るよ。』
『そうだね、きっと回るよね。』
『これで虹を広場まで持って行くのと、虹を回す準備ができたね。』
『そうだね、あとは虹を見つけないといけないね。』
『いつ虹が出るかなぁ。』
『この前のように、お空が真っ暗になって、カミナリが鳴って、大粒の雨が降ると、虹が出ると思うんだ。』
『そうだね、きっとそうだよ。』
『雨が降るのは待つしかないね。』
『そうだね。』

そして、僕達は空が急に暗くなって、カミナリが鳴り、大粒の雨が降るのを待っていました。

大きな大きな縄跳び(1)

2018-04-17 06:02:26 | 童話
『うわぁ~、雨が降ってきた。』
空が急に暗くなってカミナリが鳴り、大粒の雨が降ってきだしたので、僕と友達は近くのコンビニで雨宿りをさせてもらいました。
ゴロゴロ、ピカッ、ゴロゴロゴロ。
『うわっ、カミナリだ。』
『カミナリだ。』
しばらくして、雨がやんで空が明るくなってきました。
『さっきのカミナリはこわかったね。』
『そうだね、すごかったね。』

二人でコンビニの外へ出ると、大きな虹が出ていました。
『わぁ~、きれいだね。』
『そうだね、すごくきれいだね。』
『ねぇ、この虹は形がハッキリしているので、長縄跳びをしている時の縄みたいだね。これで縄跳びをすることができるかなぁ。』
『ええっ、こんな大きな縄跳びは回せないよ。』
『そうだね。どうしたら回せるか考えてみようよ。』
『そうだね。』

その次の日、僕達は大きな虹で縄跳びをする方法を幼稚園でみんなと相談しました。
『虹は縄跳びの縄のように持つことができるのかなぁ?』
『何人くらいなら虹を回せるのかぁ?』
『虹は手で持っても熱くないのかなぁ?』
『雨が降ったあとは、いつも虹が出るのかなぁ?』
『虹は回しても切れないのかなぁ?』
『回した時に、虹はどんな音がするのかなぁ?』
『回した時に虹の色がバラバラにならないのかなぁ?』
『虹をこわしてしまったら、次から虹はもう出なくなってしまうんじゃないかのかなぁ?』
『家がいっぱい有る所にでた虹を、縄跳びができる広場まで持って行くことができるのかなぁ?』
『何人くらいが一緒に縄跳びができるのかなぁ?』

みんなで相談しましたが良い方法は出ないので、僕達は今度虹が出たら、虹の近くまで行って調べることにしました。

おしゃべり畑(2)

2018-04-16 07:02:58 | 童話
冬の寒い日の朝、学校へ行く時に畑から話し声が聞こえてきました。
『今朝はすごく寒いね、霜柱が立っているよ。ブルブル、ブルブル。早く太陽が昇らないかなぁ。』
すると、畑の近くの家の中から
『もう少しでお日様が出て、暖かくなるから我慢していてね。』
と声が聞こえてきました。
太陽が昇ると温かくなるんだよね。

春の少し暖かくなって来た日の朝、学校へ行く時に畑から話し声が聞こえてきました。
『温かくなってきたね。』
『そうだね、お花も少しずつ咲き始めたね。』
『もう少したつと、きれいなお花でいっぱいになるね。そうするとチョウチョがたくさん飛ぶようなって、この畑がにぎやかになるね。』
『そうだね。みんなの心がウキウキしてくるね。』
『お~い、チョウチョさん、みんなとお話しをしようよ。』
『だめだよ、今はお花の蜜をもらうのに忙しいからね。たくさんの蜜をもらったら、またこの畑に戻って来るから、その時にいっぱいお話しをしようね。』

春は畑も気持ちいいし、忙しいんだね。お話しもいっぱいだね。

そして、また夏の暑い日の朝、学校へ行く時にあの畑から話し声が聞こえてきました。
『昨日は晴れていて暑かったので、お水を飲みたいね。』
『そうだね、畑の土がカラカラになってしまったからね。』
『畑の持ち主さんに頼んでみよう。』
『ねぇ、持ち主さ~ん、お水をちょうだい。』
畑の近くの家の中から
『ちょっと待ってて、すぐお水をあげるから。』
と聞こえてきた。
そして、また畑から
『ナスビやキュウリがたくさん実ったよ、みんなで食べていいよ。』
と聞こえてきました。
すると、畑の近くの家の中から
『いつもありがとうね。』
と声が聞こえてきました。

去年と同じだ、畑もみんなも元気なんだね。
来年の夏も同じかな?
きっと同じだよね。

   おしまい