おしゃべり畑(2)

2021-02-23 09:45:01 | 童話
冬の寒い日の朝、学校へ行く時に畑から話し声が聞こえてきました。
『今朝はすごく寒いね、霜柱が立っているよ。ブルブル、ブルブル。早く太陽が昇らないかなぁ。』
すると、畑の近くの家の中から
『もう少しでお日様が出て、暖かくなるから我慢していてね。』と声が聞こえてきました。
太陽が昇ると温かくなるんだよね。

春の少し暖かくなって来た日の朝、学校へ行く時に畑から話し声が聞こえてきました。
『温かくなってきたね。』
『そうだね、お花も少しずつ咲き始めたね。』
『もう少したつと、きれいなお花でいっぱいになるね。そうするとチョウチョがたくさん飛ぶようなって、この畑がにぎやかになるね。』
『そうだね。みんなの心がウキウキしてくるね。』

『お~い、チョウチョさん、みんなとお話しをしようよ。』
『だめだよ、今はお花の蜜をもらうのに忙しいからね。たくさんの蜜をもらったら、またこの畑に戻って来るから、その時にいっぱいお話しをしようね。』
春は畑も気持ちいいし、忙しいんだね。お話しもいっぱいだね。

おしゃべり畑(1)

2021-02-22 09:13:09 | 童話
僕が学校へ行く途中には畑が有り、いろいろな種類の野菜が植えられています。

夏の暑い日の朝、学校へ行く時にその畑から話し声が聞こえてきました。
『昨日は晴れていて暑かったので、お水を飲みたいね。』
『そうだね、畑の土がカラカラになってしまったからね。』
『畑の持ち主さんに頼んでみよう。』
『ねぇ、持ち主さ~ん、お水をちょうだい。』
すると畑の近くの家の中から『ちょっと待っててね、すぐお水をあげるから。』と聞こえてきました。

そして、また畑から
『ナスビやキュウリがたくさん実ったよ、みんなで食べていいよ。』
と聞こえてきました。
すると、畑の近くの家の中から『いつもありがとうね。』と声が聞こえてきました。

秋のすがすがしい日の朝、学校へ行く時に畑から話し声が聞こえてきました。

『今年もおいしい柿の実がたくさん実ったから、たくさん食べていいよ。』
『栗もたくさん実ったから、栗ご飯にするとおいしいよ。』
すると、畑の近くの家の中から『そうね、では今晩は栗ご飯にするわね。そして、デザートは柿にしようかしら。』と声が聞こえてきました。
秋はたくさんの実が実るんだね。

僕の背中(3)

2021-02-21 10:55:46 | 童話
妹が『ガンバレ、ガンバレ。』と言って応援をしてくれた。
お父さんが、『だいぶ高く上げられるようになったから時間を計ろうか?』と言った。僕はなんだか速く走れるような気がした。
『よ~いドン。』

僕は前より、もっとヒザを高く上げるようにして思い切って走った。
お父さんが『ああ、いいよ。さっきより5秒も速くなったよ。』といったので僕は嬉しかった。
それからは、僕は学校にいる時も、家に帰って宿題が終った時も、一生懸命に練習をした。
学校の体育の時間に徒競走があった。
僕が走る番だ。『よ~いドン。』僕は練習どおりヒザを高く上げて走った。5人で走って3番目になった。僕の背中を見ながら走っている友達が2人いたのだ。

僕は夕ご飯の時にみんなに、5人で走って3番になった事を話した。
お母さんは『すごいわね。』と言って喜んでくれた。
お父さんは『まだ前に2人いるからガンバレ。』と言って励ましてくれた。
僕は『うん、あと2人だね、がんばるよ。』

そして、楽しみにしていた運動会がやってきた。僕達の徒競走の順番となり、僕はヒザを高く上げて走り、2番となった。1番の友達はすごく速いので追い越す事ができなかったのだ。
だけれど、僕は1番になるために毎日毎日練習を続けている。

    おしまい

僕の背中(2)

2021-02-20 09:51:49 | 童話
僕は自動車に聞いてみた。
『ねぇ、どうすれば速く走れるようになれるの?』
『エンジンの回転を多くするとスピードがでるんだよ。』
『だめだよ、僕にはエンジンが付いていないよ。』

夕ご飯の時に、僕はお父さんに聞いてみた。
『ねぇ、どうすれば速く走れるようになれるの?』
『前にテレビでやっていたけれど、ヒザを高く蹴り上げるようにするといいんだと言っていたよ。一緒に練習をしようか?』
『うん、楽しみだなぁ。』

僕はお父さんと公園に来て練習を始めた。そして、お父さんが腕時計で測った。
『まだダメだよ、もっと高くヒザを上げて走らない。』
『だめだよ、上手くできないよ。』
『そんな事を言っていたら、いつまで経って速く走れないよ。』
『うん、わかった。』
『今度は走らないで、ヒザを高く上げる練習をしよう。ほら、右、左、右、左。よしっ、その調子だ、右、左、右、左。だいぶ高く上げるようになってきたよ。』
『うん。』
『ちょっと休憩しようか。』
僕はお父さんからもらったお金でジュースを買った。冷たくておいしかった。
そこにお母さんと妹がやって来た。
お母さんはお父さんから僕が頑張っている事を聞いて『偉いわね。』と喜んだ。
お父さんが『今度は走ってみよう。』
『うん、頑張るから見ていてね。』
僕は思いっきりヒザを上げるように注意をして走った。最初はうまくヒザを高く上げる事ができなかったが、だんだんできるようになってきたのが自分でもわかるようになってきた。

僕の背中(1)

2021-02-19 09:32:50 | 童話
僕が走る時はいつも友達の背中を見ながら走っている。遊んでいる時も、運動会の時も、僕はみんなの背中を見ながら走っているが、みんなが僕の背中を見ながら走ることが無い。
もっと速く走りたいし、みんなに背中を見せながら走りたい。
しかし、一生懸命に練習をしても速くならない。

僕の家のボチに聞いてみた。
『ねぇ、どうすれば速く走れるようになれるの?』
『僕みたいに4本足で走るといいんだよ。』
『無理だよ、両手両足では上手く走れないよ。』

僕はお猿さんに聞いてみた。
『ねぇ、どうすれば速く走れるようになれるの?』
『地面を走るのではなく、木から木に飛び移れば速く遠くへ行けるよ。』
『だめだよ、運動場には木が植わって無いよ。』

僕はダンゴ虫に聞いてみた。
『ねぇ、どうすれば速く走れるようになれるの?』
『丸くなって転がればいいんだよ。』
『だめだよ、ゴールじゃない方に転がって行っちゃうよ。』

僕はカンガルーに聞いてみた。
『ねぇ、どうすれば速く走れるようになれるの?』
『両足をそろえて、ピョンピョンと飛び跳ねると速く走れるよ。』
『だめだよ、両足をそろえて飛び跳ねると、すぐに疲れてしまうよ。』

僕はハトに聞いてみた。『ねぇ、どうすれば速く走れるようになれるの?』
『羽を広げて大きく羽ばたくと速く飛べるよ。』
『だめだよ、僕には羽が無いから飛べないよ。』

僕は川の水に聞いてみた。『ねぇ、どうすれば速く走れるようになれるの?』
『雨がたくさん降って川の水が多くなると速く走れるよ。』
『だめだよ、雨がたくさん降ると運動会が中止になってしまうよ。』

僕は吹いている風に聞いてみた。『ねぇ、どうすれば速く走れるようになれるの?』
『天気が悪くなると風は強くなるんだよ。』
『だめだよ、天気が悪くなると運動会が中止になってしまうよ。』