ぽろろ、ぽろろ。(3)

2021-02-18 11:43:59 | 童話
山の方から
『ぱろろ、ぼろろ。ぽろろ、ぽろろ。』
と聞こえてくる。
『だぁれ?』
大きな杉の木が呼んでいるのだ。
『大きな木だから僕は登れないよ。なぁに、太い枝にかけたブランコに乗せてくれるの。ぶーらん、ぶーらん。楽しいね。』

僕の机を置いてある部屋から
『ぱろろ、ぼろろ。ぽろろ、ぽろろ。』
と聞こえてくる。
『だぁれ?』
時計が呼んでいるのだ。
『なぁに、電池が無くなりかけているの、よし、取り換えてあげるね。だから、3時になったらおやつを食べるから教えてね。』

駅の方から
『ぱろろ、ぼろろ。ぱろろ、ぼろろ。』
と声が聞こえてくる。
『だぁれ?』
電車が僕を呼んでいる。
『電車に乗って遠くへ行こうよだって、だめだよ、今日はね、お父さんの自動車で買い物に行くんだ。何を買いに行くのだって、お花を植え替えるので、植木鉢を買いに行くんだよ。大きな植木鉢を買うから電車に乗せられないんだ。また今度、デパートへ行く時に電車君に乗せてもらうね。』

庭の方から
『ぱろろ、ぼろろ。ぱろろ、ぼろろ。』
と声が聞こえてくる。
『だぁれ?』
誰が僕を呼んでいるのか判らない。
『だぁれ? あっ、お花に小さなテントウ虫が止まっている。今度はこっちから『ぱろろ、ぼろろ。ぱろろ、ぼろろ。』と聞こえる。また今度はあっちから聞こえてくる。テントウ虫君が3匹、僕の方に集まって来た。何をするの? そうか、3匹で背中の模様のファッションショーをやるんだ。うーん困ったなぁ、3匹は模様が違うけれど、全部きれいだからね。そうだ、3匹全部が一番だ。』

たくさんの友達ができて楽しいな、もっとたくさんの友達を作ろうよ。
『ぱろろ、ぼろろ。ぱろろ、ぼろろ。』。

小さな声で『ぱろろ、ぼろろ。ぱろろ、ぼろろ。』。
もっと小さな声で『ぱろろ、ぼろろ。ぱろろ、ぼろろ。』。
大きな声で『ぱろろ、ぼろろ。ぱろろ、ぼろろ。』。

   おしまい


ぽろろ、ぽろろ。(2)

2021-02-17 09:55:27 | 童話
僕が家に帰るとキッチンの方から『ぱろろ、ぼろろ。ぽろろ、ぽろろ。』
と聞こえてくる。 
『だぁれ?』
『あっ、コップ君だ。えっ、コップでお水を飲むとおいしいよ、だって。僕はジュースの方がいいなぁ。コップ君貸してね。ゴクッゴクッ、ジュースはおいしいなぁ。』

僕の机のある方から
『ぱろろ、ぼろろ。ぽろろ、ぽろろ。』
と聞こえてくる。
『だぁれ?』
やぁ、エンピツケース君だ。なぁに、今日の学校の勉強と宿題を頑張ったね、だって。うん、頑張ったよ。お父さんとお母さんに話をしたらほめてくれたよ。』

物置の方から
『ぱろろ、ぼろろ。ぽろろ、ぽろろ。』
と聞こえてくる。
『だぁれ?』、
『あっ、僕の自転車だ。なぁに、自転車に乗って公園に行こうよだって? 自転車の好きな友達を呼んで来るから待っててね。』
『友達が2人来たから3人で公園へ行くよ。この公園はね自転車に乗って走ってもいいんだよ。楽しいね。』

ぽろろ、ぽろろ。(1)

2021-02-16 09:23:37 | 童話
僕のいる窓の外から、
『ぱろろ、ぼろろ。ぽろろ、ぽろろ。』
と聞こえてくる。
『だぁれ?』
風が遠くで僕を呼んでいるのだ。
『なぁに、宿題が終ったら外で遊ぼうよと言っているの? 30分位で宿題が終るので待っててね。』
『宿題が終ったよ、何して遊ぼうか。よしっ、駆けっこをしようよ。だけど、1人だと寂しいから、いつも一緒に遊んでいる友達を呼んで来るね。』
3人の友達と僕の4人で風と競争をした。ヨーイドン 。
『風君は速いなぁ、僕達4人は全然かなわないや。』

公園の木の上から
『ぱろろ、ぼろろ。ぽろろ、ぽろろ。』
と聞こえてくる。
『だぁれ?』
小鳥が呼んでいるのだ。
『なぁに、僕は羽根がないから一緒に飛べないよ。えっ、きれいな歌声の競争をするの? 僕は歌がうまくないから、小鳥君が唄ってよ。』
『ピピピピ、チチチチ、ピーピピ、ピーピピ。』
『やっぱり小鳥君は歌が上手いね。だけど、『ぱろろ、ぼろろ。ぽろろ、ぽろろ。』とは鳴かないの? 『ぱろろ、ぼろろ。ぽろろ、ぽろろ。』と鳴くのは友達を呼ぶ時だけなのか、だから僕を呼ぶ時はみんな『ぱろろ、ぼろろ。ぽろろ、ぽろろ。』と言っているんだね』

小川の近くで
『ぱろろ、ぼろろ。ぽろろ、ぽろろ。』
と聞こえてくる。
『だぁれ?』
声は聞こえるけれど、だれが呼んでいるのか判らない。
『だぁれ?』
『ぱろろ、ぼろろ。ぽろろ、ぽろろ。』
『あれっ、川の水君かな?』
『そうだよ、ぱろろ、ぼろろ。ぽろろ、ぽろろ。』
『なぁに、川の中で一緒に遊ぶの? 海水パンツを持ってくるから待っててね。』
『海水パンツになったから川に入るよ。』
僕は川の中で水に押してもらった。
『たのしいな、たのしいな。』

僕の足の下の土の中から
『ぱろろ、ぼろろ。ぽろろ、ぽろろ。』
と聞こえてくる。
『だぁれ?』
モグラ君かな?
『なぁに、僕は土の中には入れないよ。』
『えっ、モグラ君は昼間は眩しくて外に出られないから、夜になったらジャンケンをして遊うよ、だって。ダメだよ、僕は夜は家に帰らなければいけないんだ。だから今ジャンケンをしようよ。モグラ君は土の中から手だけ出せばいいんだよ。ジャンケンポン、僕はチョキだけどモグラ君はパーだから僕の勝ちだよ。そうか、モグラ君はパーしか出せないんだ。』

空から
『ぱろろ、ぼろろ。ぽろろ、ぽろろ。』
と聞こえてくる。
『だぁれ?』
そうか、空の上の雲君だ。
『なぁに、雲君の背中に乗せてくれるの? ダメだよ、僕は重たいから乗れないよ。雲君が空に何か絵を書いてよ。わっ、おいしそうな綿菓子とドーナッツだね。それに、飛行機雲もきれいだね。』

運転手さんはヒーロー(3)

2021-02-15 09:54:47 | 童話
ねぇ、お父さん、宇宙ロケットには運転手さんはいるの?
『う~ん、その答は難しいなぁ。ロケットはね、コンピュータでコントロールされて飛んでいるので、普通は操縦しないけれど、危険になった時は人間も操縦できるようになっているんだよ。』
コントロールて何?
『どっちの方角に行く時は、どのエンジンを何秒間働かせるか、みたいな事をロケットを打上げる前にコンピュータで計算しておくことだよ。』
ふぅ~ん、すごいんだね。
『今まで失敗したことが有るから、ちゃんとコントロールできるようになっているんだよ。』
では僕も失敗しても大丈夫だね。
『だけれど、失敗した事を覚えていて、次からは失敗しないようにする事が大切なんだよ。』
うん、わかった。

 それから、運転手はまだいっぱいいるよね。
お父さんも旅行に行く時やスーパーへ買い物に行く時に運転手さんになるよね。
だから、運転手さんは、みんなみんな、ヒーローだよね。

 僕も遊園地へ行った時に自動車に乗るけれど、その時は、僕もヒーローになれるんだ。えっ、ヒーローじゃないの、誰かの役にたっていないからヒーローじゃないのか。

僕は大きくなったら、どの運転手さんになろうかなぁ。全部カッコいいから迷ってしまう。そうだ、全部の運転手さんになればいいんだ。一生懸命に勉強すれば、全部なれるよね。

    おしまい

運転手さんはヒーロー(2)

2021-02-14 09:27:47 | 童話
バスの運転手さんはね、会社へ行く人や学校へ行く学生さんを電車の駅まで乗せて行ってあげて、夕方からは駅からみんなの家の近くまで乗せて帰ってくれるんだ。
雨の時も、雪の時も毎日乗せてくれるんだ。
バスも車庫でバスが安心して走れるように点検しているんだ。だからバスもみんながヒーローだね。

トラックの運転手さんはね、すごく重たい荷物を工場や港から、工場や建物を建てている所へ運んだり、お引っ越しの荷物を運んだりするんだ。
一人であんな重たい荷物を運んでいくからヒーローだね。

 あっ、飛行機の運転手さんを忘れていた。えっ、飛行機は操縦士さんて言うの。あんな大きなジェット旅客機を二人で操縦して、みんなが喜んでいるから操縦士さんもヒーローだよね。

 自衛隊さんが救助に使っているブルドーザーは力持ちだよね。困っている人を力一杯助けているからすごいよね。そうか、ブルドーザーは道路を作ったりもしているんだ。
このブルドーザーを運転している自衛隊さんもヒーローだよね。

 あとね、空港には飛行機を引っ張る車も有るんだよ。お父さんと空港に行った時に見たんだけれど、大きな旅客機を引っ張っていたんだ。だから、その自動車の運転手さんもヒーローだよね。

それからね、僕が田舎へ行った時に耕耘機という乗り物を見たことがあるんだ。それは田んぼや畑を耕すんだって。おじさんが乗って動かす大きいのと、乗らないで押していく小さなのがあるんだ。お米や野菜を作るのに使うんだよ。お米や野菜が作れないとみんなが困るので、耕耘機の運転手さんが一番のヒーローかな、きっとそうだよね。