100才の小学生(4)

2021-03-26 17:10:41 | 童話
この小学校のみんなは仲良しで、毎日たのしく勉強をしています。
そして次の年に、100才となった古川ゴン作さんが小学生となりました。
古川ゴン作さんは農業が得意で、小学校の近くでお米や野菜を作っています。だから、小学校の木やお花さんとも仲良しです。
古川ゴン作さんはニワトリの友達もいるので毎日卵をもらっています。

そして、古川ゴン作さんが初めて小学校に来た時に、みんなにお話しをしました。
『やぁ、みんな元気だね。鈴木ヨシさんも、田中トメさんも、山田熊太郎さんも、イヌさんやタヌキさんやキツネさんも、アライグマさんとネズミさんも、馬さんと牛さんも、そして猿さんも、それから木やお花さんも、みんなみんな元気だね。

わたしは古川ゴン作です。みんなと一緒にお米や野菜を作りましよう。夏の暑い日にトマトやキュウリを食べるとおいしいよ。』
みんなは『そうしよう、そうしよう。』と言いました。そして、小学校の近くの畑にキュウリとトマトの苗を植えて、雑草を取ったり、お水をあげたりして大切に育てました。
やがて、キュウリもトマトも花がいっぱい咲いて、たくさんの実がなるようになりました。
『あと少しで食べられるようになるね。』
『そうだね、楽しみだね。』
『いつになったら食べられるのか古川ゴン作さんに聞いてみようよ。』
『そうだね、聞いてみよう。』

『ねえ、古川ゴン作さん、キュウリとトマトはいつ食べられるの?』
『食べられるようになったら、キュウリとトマトが教えてくれるんだよ。』
『ふぅ~ん、そうなんだ。』
『だから、今日は教えてくれていないから、まだ食べられないんだね。』
『そうなんじゃ、もう少し待ちなさい。』

100才の小学生(3)

2021-03-25 12:29:11 | 童話
ある日、猿さんが小学校に来て
『僕もみんなの友達になりたいなあ。』
と言ったので、みんなが相談して小学校の友達にすることにしました。
この村には猿さんが居なかったのですぐ仲良しになりました。
だけれど、犬さんは猿さんが嫌いでケンカばかりしています。
みんなは困って山田熊太郎さんに相談しました。だけれど、山田熊太郎さんも『困ったね、困ったね。』と言いました。

ある日、みんなが居る時に山田熊太郎さんが転んで足をケガしました。
その時、犬さんが一番早く山田熊太郎さんの所に走って来て『山田熊太郎さん、大丈夫?』と聞きました。
山田熊太郎さんは『少しすねを擦りむいただけだから大丈夫だよ。』と言いました。

その時、猿さんが布を持って来て『これを包帯の代わりにするといいよ。』と言って山田熊太郎さんのケガの上から巻いてあげました。
そして、犬さんと猿さんは後ろ足で立って山田熊太郎さんの右肩と左肩を支えて、山田熊太郎さんの自宅まで連れて行ってあげました。

そして、小学校に帰って来る時に、犬と猿は、
『重たかったね。』
『うん、重たかったね。』
『山田熊太郎さんが早く良くなるといいね。』
『うん、きっとすぐ元気になるよ。』
と仲良くお話しをしました。

そして、田中トメさんと鈴木ヨシさんが、動物達から聞いて山田熊太郎さんの家にお見舞いに来ました。
『山田熊太郎さん、ケガの具合はどうなの?』
『痛いの?』
と聞きました。すると、山田熊太郎さんが
『転ぼうとして転んだので、あまり痛くないんだよ。』
と言いました。そして
『これで犬と猿は仲良くなっただろう。』
と言いました。

田中トメさんと鈴木ヨシさんは
『あらっ、そうだったの。』
『そうよね、山田熊太郎さんのおかげで犬さんと猿さんが仲良くなってよかったわね。』
と言いました。
そして、次の日、山田熊太郎さんが元気になって小学校に来て、みんなに
『みんなに心配をかけたが元気になったよ。特に犬さをと猿さん、ありがとうね。』
と言いました。犬さんと猿さんが、
『良かったね。』
『うん、良かったね。』
と言いました。

100才の小学生(2)

2021-03-24 11:04:06 | 童話
ある日、公園にジュースの空き缶がたくさん捨てられていたので、掃除をする班のイヌさんとタヌキさんとキツネさんが
鈴木ヨシさんに相談しました。
『今まで公園にはゴミは捨てられていなかったわよね、誰が捨てたのかしら、公園の管理事務所で調べてくるわね。』
そして、鈴木ヨシさんがみんなの所に帰って来てお話しをしました。
『分かったわよ、昨日、公園で少年野球があったんだけれど、どこかのチームの子供が、あとで片付けようとて忘れていたんだって。事務所の方でチームの監督さんに電話をして分かったの。』
『ああ良かったね。また明日も掃除をするからね。』
『お願いね。』

暑い夏が終って、村で盆踊りをすることになり、村のみんなが盆踊りの準備をアライグマさんとネズミさんに頼みました。しかし、アライグマさんもネズミさんも力が弱くて重い物を持てないので、田中トメさんに相談しました。
田中トメさんが力持ちの馬さんと牛さんに手伝ってもらうようにしました。盆踊りの舞台を組立てる長い木の棒を、馬さんと牛さんはたくさん運んで来て、アライグマさんとネズミさんが木と木をヒモで結んで舞台を組立てました。
『馬さんと牛さん、ありがとう、力持ちの馬さんと牛さんに手伝ってもらったから、みんなで盆踊りができるね。』
『そうよね、馬さんと牛さんが手伝ってくれなかったら盆踊りができなかったわよね。ありがとうね。』と、田中トメさんも喜びました。

そして、盆踊りの会場でにぎやかな盆踊りが開かれて、みんなが大きな輪になって楽しく踊りました。
『来年も楽しい盆踊りをやろうね。』
『そうだね。楽しい盆踊りをやろうね。』

100才の小学生(1)

2021-03-23 13:40:19 | 童話
ここは小さな村の小学校で、生徒はたくさんの動物や木やお花です。
人間は100才以上の人だけが生徒になることができます。だけれど、この学校には先生はいません。みんなが生徒で、みんなが先生です。

今の人間の生徒は、鈴木ヨシさんと、田中トメさんと、山田熊太郎さんの三人だけです。
国語や算数や社会の勉強はしません。勉強をするのは、掃除や片付けと、みんなと仲良くする方法を勉強します。

そして、みんなが自分の所へ帰った時に勉強した事を行ないます。
掃除をする班は、公園や道路の落葉とゴミを拾い集めてゴミ箱に入れます。これは、イヌさんやタヌキさんやキツネさんが行ない、終ったら小学校で落葉やゴミの数を報告します。そうして、どうしたらゴミが捨てられなくなるのか小学校で発表します。
また、きれいだった場所や、汚れていた場所、そうして、掃除にかかった時間も報告をします。

だけれど、ネコさんは掃除をうまくできないので他の事をやります。ネコさんは長い時間続けて掃除をする事ができないのです。

片付けする班は、アライグマさんとネズミさんが行ないます。
特にアライグマさんは良く洗ってから片付けます。

みんなと仲良くする方法の班は、
馬さんと牛さんがリーダーになって、木やお花のみんなと相談して決めます。

では、人間の鈴木ヨシさんと、田中トメさんと、山田熊太郎さんは何をしているのでしょうか?
三人とも100才以上なのでたくさんの事を知っているので、みんなが相談に来ます。
掃除の事は鈴木ヨシさんに相談し、片付けのことは田中トメさんに相談し、みんなと仲良くする方法の事は山田熊太郎さんに相談します。

カピバラさんの2泊3日(9)

2021-03-22 09:18:15 | 童話
『おはよう。』僕は今日も起こされた。歯を磨いて、顔を洗って、ブルブルッ。
『ああ、気持ちいい。今日はもう帰るんだね。』4匹と3匹の全員で朝ご飯を食べた。
今朝採ってきたみずみずしいキュウリとニンジンとトウモロコシを貰ったので、水を満たした水筒と一緒にリュックに詰込みました。さあ出発だ。

『また来なさいね。』
『うん、きっと来るからね。』
お父さんとお母さんが『お世話になりました。』と言って手を振りました。
僕は、もっと大きく手を降って『バイバ~イ。』と言って歩き始めました。

僕達はまた、お父さんを先頭に一列になって歩きました。暫く歩いていると雨がポツポツと降ってきました。
『お父さん、どうします?』
『もう少し歩いて、雨が強くなったら、どこかで雨宿りをしよう。』
『そうね、みんな頑張ってね。』
雨が段々強くなってきた。
『あそこのお菓子屋さんの軒先で、雨宿りをさせてもらおう。』
『随分濡れたねえ。』
ピカピカ、ゴロゴロ、。
『うわっ、雷だ。』
『雷が落ちると死んじゃうのかなぁ。』

みんなで半分濡れながら雨宿りをしていると、今来た方から自動車が来て止った。
『随分濡れたね。』
昨日泊まっていた家のおじさんが運転して来たのでした。
助手席のおばさんが僕達4匹の体をタオルで拭いて、後の座席に乗せてくれました。
『君達の家まで送ってあげるよ。』そう言っておじさんは車を走らせていきました。
そして、高速道路を走ったので、たちまち家に着いた。
僕達の飼い主さんが『遠い所をありがとうございました。』
『いやいや、高速道路を走れば直ぐですから。』
『そうですね、カピバラは高速道路を歩けないからね。』
『それでは、私達はこれで帰りますから。』
『ありがとう。バイバ~イ。』僕は走って行く車に、いつ迄も手を振りました。
僕達の飼い主さんが『夕食を食べたらお風呂に入って、早く寝なさい。』
僕はお姉ちゃんと『楽しかったねぇ。』
『また田舎に行きたいね。』

そして、僕達4匹は牛乳を飲みながら『お風呂上がりの牛乳は、いつ飲んでも美味しいね。』
僕達は歯を磨いてから、柔らかい藁を敷き詰めた箱の中で早く寝ました。

グウグウグウ。

   おしまい