カピバラさんの2泊3日(8)

2021-03-21 09:49:18 | 童話
僕達が家に着くと、飼い主さんのおばさんが、『楽しかった?良かったね。さあご飯よ。』と、昨日の夕食と同じ美味しい草と野菜を用意してくれていました。
また僕達は、モシャモシャモシャ、コリコリコリと食べてお腹がいっぱいになりました。

『ねぇ、お風呂から出て牛乳を飲んだら花火をしようか?』
『うん、花火をしたい。』
『じぁ、早くお風呂に入ろう。』
そして、みんなでお風呂に入ってから、牛乳を飲みましだ。
『今日の牛乳も美味しいねぇ。』
『そうだねぇ。』

『外が暗くなったので花火をやるよ。』
『どんな花火があるの?』
『線香花火と手にもってシュゥシュゥというのがあるよ。』
『私は線香花火がいい。』
『僕はシュゥシュゥというのがいいなぁ。』
『僕もシュゥシュゥというのにする。』
『綺麗だね。』
『そうね。』
『もう終ってしまった。』
お母さんが『もう寝るのだから歯を磨いてきなさい。』
『はぁ~い。』
『明日はもう帰るのだね。』
『そうね、楽しい事はすぐ終るわね。』
そして、僕達は明日の用意をしてから、藁を敷いた箱の中で、グ~、グ~。

カピバラさんの2泊3日(7)

2021-03-20 13:07:45 | 童話
『食事が終わったら水浴びに行こうか?』
『水浴びができる所が有るの?』
『うん、近くに川が有るんだよ。』
『行きたい、行きたい。』
『それでは、宿題を早く終わらせなさい。』
『はぁ~い。』
僕と男の子で一緒に宿題をやりました。

宿題が終ったので、僕達4匹と、この家の3匹の全員で水浴びに行く事にしました。
水浴びのできる川はすぐ近くにありました。
『うわっ、冷たい。』
『綺麗な水ね。』
『水の中に入ろうよ。』みんな大騒ぎをしました。
『あっ、痛い。』僕は大きさ石の上から落ちてお尻をぶつけてしまいました。
『石の上には苔が生えているので、滑るから気を付けなさい。』
『はぁ~い。』僕はぶつけたお尻を擦りながら返事をしました。

『あっ、お魚がいる。』
『イワナだよ。綺麗な水の中にしかいないんだ。』
『僕は金魚と熱帯魚しか見た事が無いよ。』
『イワナが何か言っているよ。』
『知らないカピバラだけど友達かい?と言っているんだよ。』
『そう、友達だよ。と言って。』
『イワナ以外は、どんな魚が居るの?』
『アユもいるよ。それから、魚ではないけれど、山椒魚も居るんだ。』
『凄いね、いっぱい居るんだね。』
『うん、水が綺麗だからね。』

『みんな帰るよ。』お父さんが高い岩の上から僕達を呼びました。
『よく体を拭きなさい。』とお母さんがみんなにタオルを渡してくれたので、みんなで体を拭きっこしてから帰る用意をしました。そして、みんなで並んで帰りました。
『楽しかったね。』
『そうだね。』
『帰ったら夕ご飯だね。』
『いっぱい遊んだからお腹が減ったね。』
『そうだね、沢山食べようね。』
『うん、そうだね。』

カピバラさんの2泊3日(6)

2021-03-19 11:00:39 | 童話
『これでみんなで遅くまでお話しができるね。』とお姉ちゃんが言いましたが、お父さんが『今日は疲れたから早く寝るよ。』と言って、夕食の後、お風呂に入りました。
お風呂はいつ入っても気持ち良く、ウトウトとしてしまう。
僕達家族全員で風呂上りの牛乳を飲んだ。
『美味しいねぇ、お姉ちゃん。』
『うん、美味しいね。』お父さんも『風呂上りの牛乳は、本当に美味しいね。』、お母さんも『そうね、幸せね。』と言って目を細めていました。

この家のカピバラは両親と男の子の3匹で、子供は僕と同い年です。
僕はその子と遊びたかったのですが、お父さんの言う通り早く寝ました。
『おはよう。』と男の子のカピバラが言った。
僕達のお父さんとお母さんとお姉ちゃんも起きていました。
『あれっ、僕が最後か。』

『朝ご飯だから、早く歯を磨いて顔を洗ってきなさい。』
『はぁ~い。』僕は家の外に有る井戸の水で歯を磨いて、顔を洗いました。ぶる、ぶるっ、冷たくて気持ちいい。スッキリと目が覚めました。
『ご飯だ、ご飯だ、楽しいなぁ。』
お母さんに『早く座りなさい。』と注意されました。僕達4匹と、この家の3匹の全員で『いただきま~す。』僕は柔らかい草をモシャモシャモシャ。
『田舎の草は美味しいねぇ。』
『キュウリやトウモロコシも、とっても美味しいわ。』お姉ちゃんはコリコリ、コリコリ。お父さんもお母さんも大満足。『こんなに美味しい食事は久しぶりね。』
『そうだね。』

カピバラさんの2泊3日(5)

2021-03-18 16:59:26 | 童話
そして、またみんなで歩き始めました。
みんなで元気を出して森の入口の大きな杉の木を目指して歩きました。
『有った、大きな杉の木だ。』お父さんが言ったので、みんなで立ち止まって大きな杉の木を見ました。
『あの木の所にある家ね。』
『きっとそうだよ。』

僕はみんなに会いたくて駆け出していきました。
お父さんが『そんなに走ると危ないよ。』と言いましたが僕は全力で走ったので、石につまずいて転んでしまいました。
『だから危ないって言われたでしょ。』
僕は背中から落ちたリュックをもう一度背負いました。
『みんなで一緒に行くよ。』とお父さんが言って、またお父さんを先頭に一列になって歩いていきました。

そして、お父さんが玄関のチャイムを鳴らしました。
『あらっ、よく来たわね。』とカピバラの飼い主さんのおばさんが迎えてくれました。
すでに日が沈みかけて、少し暗くなりかけていました。
『疲れただろうから中に入ってくつろいで。』と言って藁を敷いた箱をすすめてくれました。その箱は僕達家族全員が入るのに丁度良い大きさでありました。
この家で大事に育てられているカピバラが、自分達の箱を持ってきて隣りに置きましたが、その箱も柔らかい藁が敷いてありました。

カピバラさんの2泊3日(4)

2021-03-16 09:12:10 | 童話
4匹で道路を歩いている時に、道端に綺麗な水が流れている小川があるのを見つけました。
『あっ、メダカだ。水草の所に小さなフナもたくさん居る。』
『よそ見しないで歩きなさい。行くわよ。』と言って、お母さんは歩いて行きました。

僕は、お母さんの注意が耳に入らないくらい立ち止まって小川を眺めていました。
するとメダカが『どこへ行くの?』と話し掛けてきたので『みんなと田舎の友達の所へ行くんだ。』と応えると、メダカは『僕達も川の上流まで行く事があるけど、すぐここに帰ってくるよ。ここは居心地がいいんだ。』

『僕も川に入っていい?』
『ああ、いいよ。』
『気持ちいいな~あ。』僕は小川の中に男の子が居るのに気が付いた。
『何しているの?』
『ヤゴを捕まえているんだ。』
『捕まえたヤゴはどうするの?』
『家の池で育ててトンボにするんだよ。』
『楽しそうだね。』
『トンボになって空へ飛んで行くのは、すごく楽しいよ。』

その時、遠くで『キュルル、キュルル。』という声が聞こえました。
お父さんとお母さんが、『キュルル、キュルル。』そして、お姉ちゃんも、『キュルル、キュルル。』みんなで僕を探しているのでした。
僕は男の子に『僕は友達の家に行くところなんだ、もう行くからね。』と言って、お父さんやお母さんに向って『キュルル、キュルル。』と鳴きました。
僕は急いで皆の所に戻った時に、お父さんからお尻をポカリとたたかれました。
『道草をしたらダメじゃないか。』
『ごめんなさい。』