山の上のロックの永~い旅(3)

2021-06-25 08:27:53 | 童話
『あっ、何か居る。やぁ、さっきのウサギさんだ。僕の名前はロック、さっきは驚かせてゴメンね。』
ウサギは
『お腹の上に乗っていい?』
『ああっ、いいよ。僕は暫くここに居るからお話しをしようよ。』
『転がって来たばかりだからお腹にも苔がまだ付いていないね。』
『うん、転がっている時に苔が全部取れてしまったんだ。』
『そんなに転がって来たの?』
『うん、あの高い山の頂上から転がって来たんだ。』
『目が回ったでしょ。』
『うん、ぐるんぐるん回って、上か下か、右か左か分かんなかった。』
『大丈夫?』
『もう直ったから大丈夫だよ。』

『ウサギさんは近くに住んでるの?』
『ここから少し上に行った所の穴に住んでいるの。』
『僕が転がって、君の住んでる穴は大丈夫だった?』
『ええ、大丈夫だったわ。これから何処へ行くの?』
『海へ行くんだよ。』
『海って遠いの?』
『僕も知らないけれど、お父さんが遠いって言っていたよ。』
『私も行ってみたいけれど、そんなに遠いのなら一緒に行けないわね。』
『そうだね。僕だけで行ってくるよ。』
僕は松の木のおじさんの根元で暫く過ごした。その間、ウサギがキツネやムササビ達の友達を沢山連れて来て、毎日楽しく過ごしていた。

山の上のロックの永~い旅(2)

2021-06-24 09:12:55 | 童話
目が回ったのが直ったので、僕は何にぶつかって止ったのか確かめた。松だ、やっと大きな松の木の根元に居るのが分かった。

『僕はロックという名前です。松の木のおじさん、大丈夫ですか?』
『ああっ、大丈夫だよ。お前のスビードが遅くなっていたので、わしでも止められたよ。もっと速いとダメだったけれどね。』
『ありがとう、助かった。目がグルグル回って大変だった。』
『わしは三百年ここに居るけれど、お前のように転がって来る石を何度か見たよ。』
『そうなの、みんな転がるのが上手だった?』
『ああっ、みんな上手いもんだ。ところで、お前はどこへ行くのだい?』

『僕はね、これから海へ行くんだ。』
『海は遠いよ。』
『海は遠いと聞いていたけれど、そんなに遠いの?』
『ああっ、遠いよ。何年かかるかなぁ。いやいや、何百年かなぁ。』
『そうか、頑張らないといけないなぁ。』
『松の木のおじさん、少しここで休憩させてね。』
『ああっいいよ、好きなだけ居なさい。』

山の上のロックの永~い旅(1)

2021-06-22 08:47:01 | 童話
僕の名前はロック、今お姉ちゃんや弟とお父さんとお母さんにくっついて、山の上に居るが、ここは見晴らしが良くて気に入っている。
雪が溶け、チョウチョやミツバチがお花の蜜を探して飛び、小さな植物が実を付ける。そして、次の年また雪が降る。この自然の繰り返しが心地よいのだ。雪の時はブルブルッと震え、春風にホンワカ、ホンワカ。雷にはビックリするけれど、夕立のシャワーは気持ちいい。秋になると小さな木の実が一杯で、動物たちは満腹満腹。

僕達兄弟は、お父さんお母さんにくっ付いて暮らしていたが、永い年月が経って、雨と雪で少しずつ隙間が広がってきた。お父さんが、僕たち兄弟に
『いつでも自分で行動できるようにしていなさい。』
と言った。

しばらくして、兄弟の中で僕が一番に離れる事になった。雨が強くなってきたが、僕はみんなと離れるのがイヤで、しっかりとくっ付いていた。そして雨が止んで虹が出た。
『お兄ちゃん、虹が綺麗だね。』
『そうだね。』

その時、僕はふあっと身体が浮かんだ。そして、今度はドスンと何かにぶつかった。その後は目が回る位ゴロゴロと転がり始めた。うわっ、う~わっ、止らないよ。
大きな杉の木が
『お~いっ、どこまで行くんだい。』
『分かんないよ。』

大きな熊が
『駆けっこなら負けないよ。』
『今はダメだよ、今度ね。』
小さなウサギが飛び跳ねて
『危ないなぁ。』
『ゴメン、ゴメン、大丈夫かい?』
僕は回転するスビードが遅くなってきたのが分かった。その時、何にぶつかって止った。』『ここはどこなんだろう?』
僕は周りを見渡した。
『森だ、森の中だ。』

空のイルカ、夢のイルカ(5)

2021-06-21 08:55:48 | 童話
僕が目を開けると、僕は北極にいた。
『少し寒いね。』
『今は夢の中だから、あまり寒くないけれど、本当はもっともっと寒いんだよ。』
『ふぅ~ん、そうなんだ。』
『空をみてごらん、オーロラがきれいだよ。』
『わぁ~、きれいだね。オーロラはじっとしていなくて、次から、次から形が変わるんだね。』
『寒いから、もう帰ろうか?』
『うん、いいよ。』

そして、目の前が急に明るくなった。
『もう夢の中から外に出たよ。』
僕とイルカは、さっきの海にいた。
『本当に夢の中に行けるんだね。』
『あっ、お家でお母さんが呼んでいる。もう帰るからね。またここで遊ぼうね。』
『いいよ、バイバイ。』
『バイバ~イ。』

僕は、宿題が終ると、今もイルカと仲良く遊んでいる。

   おしまい

空のイルカ、夢のイルカ(4)

2021-06-20 09:03:14 | 童話
僕が目開けると、僕はジェット旅客機の操縦席にいた。
『乗客のみなさん、これから離陸しますので、シートベルトをシッカリ締めてください。管制塔、管制塔、これから離陸します。』
僕の操縦するジェット旅客機がゴーと音をたてて空高く上がって行きました。
『こちらは機長です、上空に来ましたのでシートベルトを外しても構いません。』
僕の操縦するジェット旅客機はしばらく飛行して着陸の準備を始めました。

『乗客のみなさん、これから着陸しますので、シートベルトをシッカリ締めてください。』
『管制塔、管制塔、これから着陸します。』
『乗客のみなさん、空港に着きました。お疲れ様でした。』

そして、目の前が急に明るくなった。
『すごいね。僕は夢の中でジェット旅客機を操縦していたよ。』
『まだ夢の中だよ。今度はどこへ行きたい?』
『写真で見たんだけれどオーロラがきれいだったので、オーロラが見える所へ行きたいなぁ。』
『いいよ。目を閉じていて。』
『もういいよ。』