ちょうど一週間前、熊本県小国町にいました。
コンクリートのたたきの上を靴下で歩いて、じんわりと暖かくなる感触がとても気持ち良い時間でした。
姉貴分の村上浮子さんに、5日前に「熊本にこんね」と言われて馳せ参じました。
「地熱たべもの研究所」は、キルト作家でも有名な山口怜子さんが、「自噴する蒸気の温度をバルブで調節し、独自の乾燥室を設計し、それを利用する」今で言うエコに徹した加工過程の調理法を活用し、研究し、商品を開発されているところです。
パワフルで、九州はもとより全国に(世界に…)広がり活躍されている素敵な方と出会えました。
山口さんから、本を頂きました。
お父様の、矢幡治美さんのことが後ろの方に書いてあるとのことでした。
大蔵永常は、日田出身の方で、農業に関する様々な書籍を残されています。著者の三好信浩広島大学名誉教授は日田出身の方ということで、地域に密着した視点と、人間臭い視点で書かれていて、興味深い内容でした。
特に、第六章広益国産考の近代性(p99~)のうち、3 永常農書の経済的合理性の記述には、本書の意図がまとめられている気がしました。
・商品作物の奨励は…永常が主穀以外に多種多様な換金可能な農作物を紹介したこと
・農業と商工業との結合…永常農書が書こうと販売までを視野に入れたこと
・労働の省力化…朝露を払って野良に出て星を戴いて家に帰るというようなやみくもの勤労の美徳を解くのではなく、省力の方法によって効率を高めるべきこと
・男女協業…女性を農作業の協力者としたこと
さらに、第七章現代に生きる大蔵永常の精神には、矢幡治美さんのことが書かれています。
・ウメ・クリ植えて、ハワイへ行こう
・NPC運動 ①New Plum and Chestnut ②Neo Presonality Comobination ③New Paradise Community
・農業にコスト計算を持ち込む
・アグリインダストリーと称し、農民が農・工・商の三業を一体とすることを目指す など
三好信浩,『現代に生きる大蔵永常~農書に見る実践哲学』,農山漁村文化協会,2018
地域の自然の恵みを味わい、地域に生きている方々の力強い思いに触れ、充実した時間を得ることができただけでなく、
農商工連携や6次産業化という領域で仕事をしてきた私にとって、先人の取組、さらなる研鑽を自らに問う、お土産でした。