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講座やセミナーを組み立てること その5

2018-11-23 20:05:49 | 考える

その2、その3、その4では、組み立て方についてふれましたが、今回は少し角度を変えて。

組織の問題解決の方法として、組織内インストラクターの育成というサービスを提供しています。

教育訓練の体系ができている組織では、不要なことですが…

規模の小さな組織、成長過程にある組織では、トップダウンでの指示や講話、会議や、外部専門家による講義はあるものの、OJT(業務のなかで仕事を覚えてもらう)が主で、組織内のoff-JT(集合研修)が形式的であったり、報告会やプレゼンテーションに終わってしまうことも場合もあります。

組織の「ありたい姿」を実現するための、人材育成の仕組みを作ることは、知識や知恵、技術の共有化により受け手が成長するだけでなく、組織内インストラクターの成長につながります。

また、組織内インストラクターが、通常と異なる業務に携わり、隠れた能力や知識、業務への習熟までの過程での取り組み姿勢などで、これまでの評価と違った一面が見えることが少なからずあるため、人材登用のあらたな可能性が生まれます。

このようなことから、組織内インストラクターの養成は、リーダーの仕事の能力を高めてもらいたい場合や、横並びの組織のなかからリーダーを養成したいといった場合に有効な方法です。

インストラクションの技法や、プレゼンテーションの技法は、洗練され、また、PCがあることで、よりビジュアルで具体性の高い演出も可能になりました。

もちろん、そういったものを活用することも大切です。

が、組織には組織の数だけ個性があります。

その組織の個性をどのように伸ばすのか、「ありたい姿」を達成するための人材育成をどのようにするのかを体系的に考えていくお手伝いをしたいと考えています。

・・・・・

写真は、先日プルドポークを食べたくて入った飲食店の壁面です。
アメリカンテイストを演出するための絵です。
上手なのか…、作者は有名なのか…、などと考えてしまいますが、一枚一枚の絵が個性的で素敵です。
組織の個性、そこで働く人の個性、そしてお客様のそれぞれの個性、その個性が響きあう仕事ができれば、より豊かに暮らせるのではと考えます。

講座やセミナーを組み立てること その4

2018-11-12 12:05:05 | 考える

その1で、「ドメイン」「マーケティング」「オペレーション」それぞれにポイントがあるとしましたが、今回は「オペレーション」について考えてみます。

タイトルを、「講座やセミナーを組み立てること」としましたが、この「組み立てること」は、サービスの提供の場で完成するものですが、事前の「オペレーション」にあたる部分で、目標とする品質を目指して準備しておくことが大切になります。

いくつかの場面を想定して、考えてみましょう。

■ 体験教室の場合

① タイムスケジュールを立てる
体験してもらいたい内容に直接にかかる時間、準備や片づけなど間接的にかかる時間、属人的な理由で時間が前後する場合があるのでその時間を見込む。

② 教材・手順書を作る
体験してもらいたい内容の、教材・手順書を作る。再現性が求められるときは、過程の写真などを入れ込み、状態の変化が分かるようにする。
また、衛生的な管理が必要でメモなどを取らずに理解してもらいたい場合は、口頭での説明の内容を書面に書いておくようにする。
理解をしてもらいたい内容が多い場合は、全ての内容について書き込まず、事前にメモを取ってもらいやすい教材を用意する。

③ 原材料等の準備をする
全体の時間の配分の中で、原材料等の計量等から取り組んだ方が良い場合と、計量小分けしていなければその後の対応に手間取る場合があるが、体験教室のコンセプトとしてどちらの方法がふさわしいかという検討と、衛生的な面等での検討をして、準備をしておく。
原材料等に特徴がある場合、特徴と言っても、農業生産物であれば作り手の想いや、購入したものであっても他との差別化できるものであれば、②の教材・手順書に記載するようにする。

④ 体験する場の管理について
調理室、加工室の場合、危険なものの取り扱いや、衛生手順の徹底が必要になる。
屋外の場合、圃場内などでは、危険予知行動が必要になる。
これらの必要事項のレクチャーの時間をタイムスケジュールに読み込むとともに、分かりやすい掲示、ラミネートしたもので基本事項の徹底等を行える準備をしておく。

⑤ 協力体制
複数で運営するとき、サポートを頼む方がいる場合、①~④まで事前に理解しておいてもらう。
加えて、仕事をしてもらう場所や位置取りについて、事前の打ち合わせを入念にする。

といったことが、ポイントになりますが、内容や時期などにより検討しなければならないことが増えてきます。

■ 講座やセミナーの講師の場合

① テーマと内容の整理をする
参加される方や依頼される方から「期待されている情報や特技」と、それについて話したい内容の整理をする。
中心となる大項目を立て、中項目、小項目と順に組み立てていく方法、主要構成要素を、洗い出し、ストーリを組み立てていく方法、その他自分にとってやりやすい方法で講座の全体構成を考える。
実習・演習が組み込まれる場合には、「期待されている情報や技術」と、時間等の制約条件のなかで、何が出来るのかアウトラインを考える。

② タイムスケジュールを立てる
講座の構成要素の時間配分を考え、「期待されている情報や特技」を効果的に提供できるかどうか考える。
①で考えた内容を取捨選択し、時間配分を考える。

③ スライドショーのコンセプトを考える(使う場合)
PowerPointで原稿をつくり、プロジェクターやモニターで映すということが、一般的になっているが、スライドショーについては、いくつもの考え方があり、期待されている情報や特技の提供方法として最もふさわしいものとするように基本コンセプトを考える。
・スライドで、提供する情報全てを整理しページごとに情報を書き込み伝える。
・ビジュアルを重視し、写真を中心として、具体的な現場情報を伝えるものとする。
・スライドを、板書(黒板・ホワイトボードでの重点記述)の代わりと考え、具体例の写真を加えるなどする。
      等
さらに、教材として配布するかどうか、配布するなら全部なのか一部なのかも検討する。

④ 教材を作る
先ず前提として、配布資料が必要かどうか、そのボリュームはどのくらいが必要かということを検討する。
また、スライドショーのコンセプトによって、配布できる教材の内容も変わる。
教材は、最終的な、サービスの品質に関わってくるが、講師の差別化のための要素となる。
話す場面以外に、演習や実習、グループワークを組み込む場合があるが、テーマと内容につなげていくための、枠組みとその説明がきちんとしておかないと、参加された方が躊躇してしまい、グループワークの場合、ただの交流会になってしまう。(それを目的にする場合は別)

⑤ シナリオ、ノート、書き込みを用意する
講座やセミナーの場合、原稿を棒読みしては納得感が得にくいが、何をどのように説明するかを組み立てるためには、シナリオを作ってみる事も大切。スライドのノートを作るのも同じ効果。
話をするのが得意な方なら、ポイントを書き込んでおくことも有効。

といったことがポイントとなりますが、内容の習熟度、プレゼンテーションの得意不得意によって、変わってきます。

リテールサポートの研修講師をしていた時の方が、今よりも、参加者の方との関係性の結び方が上手で、さらに、研修の講師としてはいい気になっていたと思います。
ただ、その時怖かったのが、自分の経営の知識の未熟さでした。具体策や手法は話せるものの、それによって得られる利得が小売店経営全般にどのように生かせるのか、その肝心なところが整理して話せない自分のふがいなさでした。

それは、大学の専攻が食品化学分野だったため、まさか、そんな仕事に就くとも思わず、経営学の体系的な知識を得ていなかったからです。販売士の資格を2級まで取り、日経を3紙読み、事務所の経済雑誌や商業関係の雑誌を読み漁りましたが、不安は消えませんでした。

中小企業診断士の資格を取ったのは、そのためで、さらに、と経営学の論議を戦わすことになるとは、考えてみもしないことでした。

分野は様々ですが、経験則で語れることには限界が来ます。
自分が、「講座やセミナー」を組み立てるときには何が必要か考えて、不足する要素、必要となる要素の吸収を貪欲に進めることが大切だと思います。

・・・・・

午前中に常磐線に乗ると必ず進行方向左側の席に座っていました。
なぜかというと、晴れている日は、右側の席は他の路線に比較して非常にまぶしく、大好きな沿線の景色を見続けられないからです。
先日、雨模様のため、右側に座りました。霞ケ浦を見ることができました。
少し、位置を変えると見えるものがあります。

講座やセミナーを組み立てること その3

2018-11-10 13:46:13 | 考える

その1で、「ドメイン」「マーケティング」「オペレーション」それぞれにポイントがあるとしましたが、今回は「マーケティング」について考えてみます。

書籍やWeb媒体などによる情報発信や、各種媒体により名前が売れるなど、自ら「情報や特技」について広く周知することによって、独自事業でも、依頼されても、2で取り上げた「ドメイン」が明らかなものとなり、マーケティングにも有利になり…ということではなく…、講師として情報提供した時に、その講座やセミナーに参加した方に満足を得てもらえるか…というサービス・マーケティングについて。

依頼された講座やセミナーの場合お客様は、依頼主なのでその関係も大切ですが、サービスを提供する相手の満足が、依頼主の満足につながるという考え方が大切だと思います。

さて、参加した方の満足を得るために、「みだしなみ」と「時間管理」という常識だけど大きく価値を左右することについて考えてみたいと思います。

① みだしなみ
「清潔感のある服装」という大前提に加え、参加してくださる方に話す内容を信頼して頂く服装・みだしなみが大切です。

職業生活の最初の頃にインストラクター研修を受講した時、講師をする時には、スーツを着ること、ブラウスを着ること、ボータイのブラウスでないときは、スカーフを巻くこと、あるいは、女性用のネクタイを着用することがきちんと見える身だしなみだと教えられました。
男性並みの服装という意味もあったのかもしれません。

だからという訳ではなく、私は必ず上下同じ生地のスーツを着ます。ファッションも進化し、女性のワークスタイルも多様になりました。けれども、見せたい自分を演出するために、多彩な服を着こなすのは私には負担です。自分のセンスがないことが分かる程度の感性は持ち合わせています…

自分の服装のセンスがないことは置いといて、服装について考えてみたいと思います。

ひとつは、話す内容に合っているかということです。
ライフスタイルを語る人が、リクルートスーツでは違和感があります。
料理人などの清潔でなければならない業種の人の爪が伸びていたら、ネイルが派手だったら、内容に信頼できないと考える人も多いのではないでしょうか。

もうひとつは、参加される方との関係です。
余暇時間に関することであれば、「楽しさ」や「安らぎ」など、テーマに沿った自分を演出することで、参加される方の満足を得られるかもしれません。
一方仕事に関することであれば、「知識の提供」が求められます。事例発表で自分の業務の話のみをするといった場合は、話す内容に合わせればよいのですが、テーマに沿った講演などであれば、きちんとした服装だと参加される方に感じてもらうことが大切です。
スティーブ・ジョブズならジーンズでも大丈夫かもしれませんが、多くの組織で喜ばれない服装を避けることで、印象を悪くしないことも心得ておきたいことです。

更に、今の自分を見せることも大切ですが、今後の仕事の展開をどのように描くか、ということも、考えておきたいことです。

② 時間管理
中小企業診断士の講座の講師をしている時にほめてもらったことがあります、内容をではなく5分か10分前に終わるのが良いと言われました。質問時間を残して時間前に終了し、質問が無ければそれで終わりということをほめて頂きました。皮肉なのかなと一瞬思いましたが、誠実な方が、「時間が決まっているのだから、その時間内にきちんと終わってほしい」と話してくださいました。

時間が長引いてしまうことは、依頼された講座であれば関係者すべてに迷惑をかけることになります。独自事業で予定の時間に終わらないことは、自分への負荷をかけること、それは頑張れば良いのかもしれないけど、他の仕事への影響が無いとは言い切れません。
自分が伝えたいことだけが参加される方にとって欲しい情報ではないこと、自分が用意したものを話し切ることではなく、講座構成の中での役割を認識して行動することが、最終的には参加されることの満足につながることを考えていかなければなりません。
(こんなこと書いていますが、時間が超過することも無いわけでもなく…反省しています)

サービス・マーケティングでは、サービスの提供側と受け手側の関係をどのように結ぶのかによって品質が決まってきます。
人と人の問題なので、個人的な好みや、相性に左右されます。見た目が〇割などとも。

だから、目指したいのは、「あなたのことは好きじゃないけど(と思われてもいいけど…もちろん、好きの方がいいけれど)、あなたの言っていることは納得できる」ということ。

つづく

・・・・・

写真は、はるな愛さん。今日参加したイベントで、すごいなあと。
イベントの目的に合ったテーマで、解りやすく、そして自らの立場をはっきり示し、それを生かすことの大切さを話されました。
みごとでした。


講座やセミナーを組み立てること その2

2018-11-10 00:56:53 | 考える

その1で、「ドメイン」「マーケティング」「オペレーション」それぞれにポイントがあるとしましたが、今回は「ドメイン」について考えてみます。

「ドメイン」とは、顧客層、顧客ニーズ、独自技術の組み合わせで事業領域を明らかにすることですが、これを講座やセミナーを組み立てることで考えていきたいと思います。

講座やセミナーでは、顧客層「このような方に」、顧客ニーズ「こんな情報や体験を欲しがっている」、独自技術「私の持っている特技や情報を提供する」のですが、この事業領域が大きければ、マーケティングとオペレーションに力点をおいて独自事業として伸ばせるものだと思います。

農業者の方に体験教室をお勧めする場合がありますが、その根拠は、この事業領域を大きく持てるかどうか見極めがついた時です。
食への関心を持つ方々は多く、多様なニーズがあり、そのニーズに対応できる経験や見識がある…。

さて、
このような独自事業や、あるいは「企画提案」などといった場合は、マーケティングとオペレーションに力点を置けば良いのですが、講座やセミナーの講師を依頼された場合、「参加される方」、「参加される方のニーズ」が読み切れない場合や、「期待されている情報や特技」とのギャップがある場合も。

「参加される方」や「参加される方のニーズ」については、
① 募集前に依頼されている場合が多いため、募集後の参加される方の状況などを知っておく。
② 依頼主が実施した過去の講座のコンセプト、内容等可能な限り把握し、自分以外に講師がいる場合は、その方々の過去の実績や考え方の基本などを知っておき、自分の立ち位置をはっきりさせる。
③ 過去の経験があれば、参加される方と参加される方のニーズの振れ幅の大きさを想定しておく。
など、いくつかの方法があります。

「期待されている情報や特技」とのギャップがある場合は、
① 自分の持っているものと、期待されているもののギャップを埋めるため、自分の持っている情報や特技の棚卸をする。そして、関連付けて体系化する、さらに合致する原理原則(フレームワークと呼ばれるものなど)を活用し組み立て直す。
② 依頼されたタイトルで、依頼者は何を成果にしたいかをきちんとヒアリングする。それでも、伝えられることと自分の持っている情報や特技にギャップが大きいと感じたらタイトルの変更を申し出る。
③ ギャップが埋められないときは、断る。
など、「自分には何ができて、何ができないのか」をきちんと伝えていくことが大切です。

「チャンスを生かしたい」と思う人がいます。
過大な要求にこたえることによって成長する方もいます。
でも…人に何かを伝えることは、自分の自己実現の欲求のためにすることではありません。

ただ、一方で、自分自身の能力を限定して考えてしまう人もいます。
「期待されている情報や特技」を期待されたのは、自分が見えていない能力を他の人が評価したからかもしれません。
最初からバリアを張り、自分の殻を割ることを恐れてはいけません。

つづく

・・・・・

写真は、東海道線で、横浜方面を見たときに見えた重たい雲を写したものです。
晴れた空だけを見たら、遠くの重い雲に気付かないかもしれません。
想定したように、戸塚を越えたあたりから、灰色の空、多摩川を越えたあたりから雨脚が激しくなり、荒川を越えると空が明るくなりました。
道のりの先のヒントに気付くと、これからのことが考えやすくなります。

講座やセミナーを組み立てること その1

2018-11-08 14:12:17 | 考える

仕事の中で、講座やセミナーの講師をすることがあります。
することがあります…と言うより、大切な仕事の要素です。

また、仕事の中で、「体験」や「教室」をすすめたり、ご相談を受けたりすることがあります。

自分の仕事の中で、また、自分自身が受け手となって感じたことから、講座やセミナーを組み立てることについて、考えていることを。

最初の仕事で、小売店支援のための研修会の講師をしたのが、今の仕事までつながっています。

最初の最初、サンドイッチシステムの導入の仕事をしていた時、5日間の研修、5日間オープニング支援、一応の枠組みはあるものの、最初の上司に企画書を書くことを命じられました。
何度も、何度も…
企画の段階で、理解できるものを組み立てる重要性を教えてもらいました。
右も左も分からない新入社員に、仕事の基礎を徹底的に教えてくれた最初の上司に出会えたことは、本当に幸せでした。

本社に変わり、販売に関する研修会の内容を組み立て、講師をするという仕事になりました。
ありがたいことに、インストラクター養成研修などを複数受講させてもらい、研修の構成をまなび、企画書を書き、上司にアドバイスをもらいました。
(そして何度も修正…ここでも…当たり前…)
インストラクター養成研修で、見られる仕事だという意識を強烈に印象づけてもらったことは、とても価値があることで、お行儀の悪い私ですが、最低限のマナーを守れているのはこの機会があったからだと思います。

中小企業診断士の資格を取り、資格取得のための塾の講師の声をかけて頂きました。
ほどなく試験制度が変わり、新しい受験科目の新しいテキストを作成し、講座を組み立てました。
そのための勉強は、自らが資格の受験生であったときよりも厳しいものでしたし、社会経験がある高学歴の方々に対する情報提供として、合格という果実をつかんでもらうために有効なものであるかということ、などなど、厳しく、けれども充実した時間でした。

このような、仕事を学ぶ大きな機会だけでなく、人の前で話をすることは、そのたびに、どうすれば伝えられるか試行錯誤の積み重ねです。
そして、そのたびに、より良くするためにはどうすれば良かったのかと、自省する日々を重ねています。

この仕事ってなんだろうと考えた時、「ドメイン」「マーケティング」「オペレーション」それぞれにポイントがあるなと考えました。
まるでコンサルタントみたいですね。そういえば、私は経営コンサルタントと呼ばれる仕事でした…

カタカナ言葉の多用良くないですね。
符号だと思ってお付き合いください。

つづく

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写真は、上野東京ラインの東京行きのグリーン車です。
長距離の移動で、仕事をしたい時などに利用しますが、東海道線の駅で乗車するとグリーン車の車両すべてのブラインドが降りていることがありました。
行く先が見えないことは、不安なことです。