経営学を大学で教えていた亡父が産業構造について石垣の石を例え話に語っていた。
「石垣は大きな石だけでできているのではない。いろいろな石の組み合わせでできていて、小さな石がなくては崩れてしまう。大企業だけで成り立っているわけではなく、中小企業があってこその産業構造なのだ。」と。
写真は、地下鉄虎ノ門駅から金融庁・霞が関ビルに抜ける出口に向かうところにある旧江戸城の石垣。
様々な形の石が堅牢な石垣を作っている。
先日、赤坂御門の前を通ったときに取った写真。
父の言葉を考えているとふとこの石垣のことを思い浮かべた。
大きな仕組みの中で動いていると、ひょっとしたら、この写真のようなきれいな四角い石組みを理想としている人が居るのかもしれない。
権威の象徴として、美しく仕上げられた石垣の形。けれどこれも石垣の中にはいろいろな石が組み合わされていて、何百年もの時を経た今でもその形を保っている。
先人の技術に首を垂れるとともに、石垣の技術について思い出すことがあった。
何年か前に、大分県珠洲市の角牟礼城(つのむれじょう)に行った。山の上の方には穴太積の石垣が残るその城跡には、御長坂という石垣で作られた石畳があった。残念ながら、穴太積の石垣まで立ち寄る時間はなかったが、堅牢な石垣には目を見張るものがあった。
いうまでもなく、穴太積と言われる野良積みの石垣は、「石の声を聴く」と言われる技術であり、日本が誇る文化である。
さて、石垣を産業構造だとすると、様々な疑問が湧いてくる。
今の産業構造はどうだろうか?
これからの産業構造はどうなるのだろうか?
中小企業の強みを発揮するためにはどのようにすべきなのだろうか?
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改めて、「石の声を聴く」から、考えてみることが大切ではないかと思う。
小さな自分ができることは何かを考えている。