10/12(水) 【NGO非戦ネット公式イベント】 南スーダンの現状と自衛隊の駆けつけ警護 ~NGOの支援現場から視る
2016.9.27
昨年9月、安保関連法が成立しました。その法のもとで、今年11月から南スーダンのPKOに派遣する自衛隊の部隊に「駆け付け警護」などの新任務が付与されます。日本の自衛隊の活動が大きく変わるため、大きな注目を集めています。
南スーダンで今月、紛争被害者の支援活動を実施した日本国際ボランティアセンター(JVC)のスーダン事務所代表の今井高樹さんが10月に一時帰国します。今井さんは2007年よりスーダンおよび南スーダンでの活動を行っており現地の事情に詳しく、また、日本のメディアもほとんど入っていない南スーダンの首都ジュバの状況を知る数少ない人のひとりです。なかなか情報がない南スーダンについて市民の目線で語っていただき、私たちの生活や平和について考える会にしたいと思います。
聞き手には自衛隊のPKO問題に詳しいジャーナリストの布施祐仁さんを迎え、分かりやすく解説してもらいます。
■日時:2016年10月12日(水)19:00~20:30
■資料代:1,000円(NGO非戦ネット加盟団体の会員は500円、高校生以下は無料)
■場所:築地本願寺講堂 (本堂に向かって左手、門法ホールの2階)
■定員:80人
■主催:NGO非戦ネット
■お申込み:以下のフォームからお願い致します(参加人数の把握にご協力ください)
goo.gl/6Grmpw
■チラシはコチラからダウンロードできます
スピーカー:
今井高樹(いまい・たかき)さん日本国際ボランティアセンター・スーダン事務所代表。
東京都出身。会社員生活のかたわらJVCの活動にボランティアとして関わる。2004年に退職後、アメリカの公立小学校にインターンとして勤務したのち、2007年5月 よりJVCスーダン現地代表。スーダン南部自治領(現南スーダン)のジュバに3 年にわたり駐在。2010年よりスーダン(北部)の南コルドファン州に移動、 2011年6月の紛争勃発後は首都ハルツームに駐在する。
布施祐仁(ふせ・ゆうじん)さん
1976年生まれ、ジャーナリスト。『平和新聞』編集長。著書に『経済的徴兵制』(集英社新書)、『ルポ イチエフ 福島第一原発レベル7の現場』、『日米密約 裁かれない米兵犯罪』(岩波書店)、『18歳からわかる平和と安全保障のえらび方』(共著、大月書店)など。岩波書店『世界』4月号に「南スーダン内戦に自衛隊はどう対処したか〜内部文書で見るPKOの真実」を執筆。
築地本願寺講堂 (本堂に向かって左手、門法ホールの2階)
東京都中央区築地3-15-1
日比谷線「築地」駅 徒歩約1分 / 有楽町線「新富町」駅 徒歩約5分
浅草線「東銀座」駅 徒歩約5分 / 大江戸線「築地市場」駅 徒歩約5分
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http://news.infoseek.co.jp/article/harborbusinessonline_20161009_00112256/より転載
HARBOR BUSINESS Online / 2016年10月9日 9時0分
南スーダン現地の支援関係者は、PKOの「駈け付け警護」に誰も期待していない!?
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南スーダンにPKO(国連平和維持活動)として派遣されている陸上自衛隊に、今年11月には「駆け付け警護」任務が付与される見通しだ。政府は任務を付与するかどうかの最終結論を10月中に出す見込みだが、なかなか詳しい現地の状況は伝わってこない。
そこで、9月に南スーダンの首都ジュバに入り、避難民への支援活動を行った国際NGO、「日本国際ボランティアセンター」(JVC)スーダン事務所現地代表の今井高樹さんに話を聞いた。
7月の戦闘激化以降、南スーダンに入った日本人は、自衛隊と政府関係者を除けば今井さんくらいだろう。
◆街中での写真撮影禁止、報道関係者専用の収容所まで
「南スーダンは2013年の内戦勃発以降、継続的に戦闘が発生しています。しかし、その状況は国外にほとんど伝えられていません」と今井さんは語る。
「南スーダン政府は海外に国内の状況を知られることを極度に嫌い、報道関係者に対する弾圧を行っています。戦闘行為を伝えようとする報道関係者は、政府により拘束・投獄されることが常態化。報道関係者を収容するための専用の収容所まであるそうです。
また、外国人が街中で写真を撮ることさえ禁止されています。市民が密告することもあり、外国人が捕まることも日常茶飯事です」
◆自衛隊の存在自体も知られていない
日本が「駆け付け警護」を行うということは、現地では伝えられているのだろうか。
「自衛隊の存在自体、南スーダンではあまり知られていません。『国連PKOの一部』くらいの認識しかないでしょう。もちろん自衛隊がPKO5原則を持っていることや、憲法上の制約があることなども、現地では全く認識されていません。
2013年の内戦勃発以降、戦闘を止められてこなかったPKO部隊に対して、国民はほとんど何も期待していません。戦闘発生時の避難場所としては頼りにされていますが。南スーダン政府は『避難民の中に反政府派がまぎれ込んでいる』と考えているため、避難民に対しても敵対的です。
そもそも、南スーダン政府自体がPKOを快く思っていないようです。外交の公式な場では政府がPKOや国連を批判することは控えていますが、政府の高はたびたび『PKOは主権の侵害。出ていってほしい』と発言しています」
◆現地の支援関係者たちは、PKOより民間警備会社を信頼
実際、現地で活動する支援関係者はPKOに「駆け付け警護」をしてもらっているのだろうか。
「現地のNGO関係者の間では『安全確保ではPKOに期待できない』という意見が一般的です。7月の戦闘の際、外国人が多く泊まっている首都ジュバのホテルが政府軍の兵士に襲撃されました。南スーダン人のNGO関係者が殺害され、外国人は長時間拘束されたうえに何人かの女性はレイプされ、国際問題に発展しました。
その際、宿泊客は駐在しているPKOに対して救助を要請しました。しかし、PKO側は検討をしたうえで、出動を拒否しました。そういったこともあって、現地の支援関係者はPKOには期待せず、民間警備会社と契約をして身を守っています。
後にこの襲撃は南スーダン政府軍兵士が行ったということを南スーダン政府が認め、国連の要請によって調査を行っています。もちろんPKOは何も手を出せないでしょう」
◆武力行使以外で日本が貢献できる分野の議論も必要
「南スーダンでは、政府軍と反政府軍のそれぞれに同調する民兵が入り乱れている状況。PKO部隊が南スーダン政府の検問所で停められることもよくあります。もし駆け付け警護で出動して、政府側の民兵とことを構えれば、南スーダン軍とPKOが戦闘状態に入ってしまう可能性すらあります。
日本政府は駆け付け警護に際して『相手国の同意を得る』と言っていますが、それはどう考えても不可能です。自衛隊が自国民を守るためにPKOの指揮を離れて独自に救助活動することが現実的とも思えません。駆け付け警護はそもそも前提がおかしいのです。
現地の状況を知りもしないで行われている、架空の議論に疑問を感じます。私のように現地生活が長くなると、いったい現地の人々にとってはどうなのだろう……と考えてしまいます。こうしている間にも、現地では毎日数え切れないほどの弾薬が使われ、多くの命が失われています。
日本では、自衛隊がどうするかということばかり議論されています。『武力の行使』以外の分野では、どのような形で内戦・紛争解決に貢献できるのかといったことも議論するべきでしょう」
※JVCでは南スーダンの緊急支援に対する寄付を募っている。詳しくはJVCのHPを参照。今井さんは現在日本に一時帰国し、10月12日に東京・築地本願寺講堂で報告会を開催する。
<取材・文/白川愚童 写真提供/日本国際ボランティアセンター(JVC)>
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