最初に踏み出してしまったのは人の暮らしで・・・
大きな境界線は徒然に伝わり・・・物言わぬ分別がどことなく引かれて・・・
迷信だと疑われながら・・・それぞれの暮らしは守られていた・・・。

生まれた家も・・・育った町も、誰が繋い行くかなんて・・・
ジャンケンでも多数決でも・・・くじ引きで決めた訳でも無いのに・・・
覚えの残る、愛嬌な顔は・・・やさしく時を重ねている・・・。
それでも空き家を数えて、空き地を歩いて・・・こぼれるように消えて行く景色は・・・
誰が始めた訳でも無い・・・追いかけっこなのかも・・・。

気付かない魅力や・・・育てる伝統は、特別でも無いそのままの暮らしの中にあり・・・
シャッター通りに・・・アーケドの下・・・
格子の並ぶ狭い路地や・・・海と山に囲まれて、深い吐息は廻りを包み・・・
いつも手を繋いで歩いた散歩道に・・・見える訳も無い境界線を踏み越えて・・・
自分達で越えたその先に・・・取り戻せない暮らしを造ってしまったのかも知れない。