「欲望の快速ランナー、愛もほどほどに」
アタランテーは純潔神アルテミスと同じく、女狩人。父親は、男の子を望んでいたために失望して彼女を捨ててしまう(おいおい)。
可哀相に、アタランテーは牝熊に育てられ、子熊たちが彼女の兄弟姉妹だった。狼少年ならぬ熊少女というわけだ。
可哀相に、アタランテーは牝熊に育てられ、子熊たちが彼女の兄弟姉妹だった。狼少年ならぬ熊少女というわけだ。
アタランテーは、やがて猟師に拾われて養育される。そのため成人した彼女は狩猟を好み、またそれが上手で足も大変速くて腕っ節も強い、とてもワイルドな美女だった(当たり前か)。
そんなものだから結婚にも、女性としてたしなみも関心を示すことがなかった。
そんなものだから結婚にも、女性としてたしなみも関心を示すことがなかった。
しかし、そんな美しくもワイルドな彼女を愛した人物がいる。自分に向けられた激しい愛に前に、心動かされないに女性はいないようで。
その人は、メレアグロス。彼は見事彼女の心を射止めた。共に狩りをして得たイノシシの皮を、メレアグロスはアタランテーに与えるが、なんと、その皮をメレアグロスの母の兄弟が横取りしてしまったのだ。
怒ったメレアグロスは、彼らを殺すが、メレアグロス自身も母親に殺されてしまう(この母親は、息子より兄弟の方が大事なのね……)。
その人は、メレアグロス。彼は見事彼女の心を射止めた。共に狩りをして得たイノシシの皮を、メレアグロスはアタランテーに与えるが、なんと、その皮をメレアグロスの母の兄弟が横取りしてしまったのだ。
怒ったメレアグロスは、彼らを殺すが、メレアグロス自身も母親に殺されてしまう(この母親は、息子より兄弟の方が大事なのね……)。
結局アタランテーの結婚はお流れに―― 。唯一愛したメレアグロスを失い、以前にも増して結婚の意志をなくした彼女だが、美女であるがゆえに周りが放っておかなかった。それ程までに美しかったのである。
「メレアグロスは、もういない! チャンスだっ」
求婚者は山となす。仕方なしにアタランテーは、こう言った。
「あたしと徒競走をして勝った方と結婚しますわ。でも…… 負けたら、その首を頂戴しますから」(なんか格好良いぞ~)
今度は敗者の首が山となす。
「普通にやったら勝てない」
青年ヒッポメネースは、アプロディーテーに助けを請うて一計を案じ、女神自らもいだ三つの黄金のリンゴを手に入れる。
彼は、そのリンゴをアタランテーに追いつかれそうになると転がした。アタランテーは、黄金のリンゴが欲しかったのか、いや、彼を勝たせたかったのかもしれないが、その度にリンゴを拾って、ついに負けてしまうのだ、徒競走に、ではなく、彼の愛に(でもこの話、日本の昔話に似てませんか?)。
彼は、そのリンゴをアタランテーに追いつかれそうになると転がした。アタランテーは、黄金のリンゴが欲しかったのか、いや、彼を勝たせたかったのかもしれないが、その度にリンゴを拾って、ついに負けてしまうのだ、徒競走に、ではなく、彼の愛に(でもこの話、日本の昔話に似てませんか?)。
さあ、結婚だ。ところがこの二人。家に帰る途中、アプロディーテーの神殿で結ばれた。家まで我慢できなかったんだねぇ…… (何をだっ!)。
「わたくしの神殿で何をなさっているのよっ!」
怒ったアプロディーテーは(そりゃ怒るよな……)、二人をライオンに変えてしまう。
当時のギリシャでは、ライオン同士は交わることなく、ライオンは豹とだけ交わると信じられていた。
つまり、二人は永遠の貞潔を強いられたというわけ。愚かということなかれ、若気の至りだね、これは…… 。
当時のギリシャでは、ライオン同士は交わることなく、ライオンは豹とだけ交わると信じられていた。
つまり、二人は永遠の貞潔を強いられたというわけ。愚かということなかれ、若気の至りだね、これは…… 。