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「冥界神・ハーデース」

2010-07-25 20:22:26 | ギリシャ神話

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 「住めば都と言うけれど、地獄は適用外!?」


 冥界の王ハーデース。この人は辛気臭い、死者の神さまをやっていたりする。


 「しかもね、うちのご主人さまときたら、嫉妬深くて陰険なんですよ。もう大変なんだワン」と語るのは地獄の番犬ケルベロス。


 この三つ首の犬までこばされるとは相当の暗い性格の神さまみたいだ。でも、この冥界の王って、どういう経歴の持ち主なんだろう。ちょっと見てみることにしましょう。


 本名はハーデース。あの全能の神ゼウスの兄だ。しかも長男にあたる。父はクロノス、母はレアーと、血筋もしっかりしたお坊ちゃま。
 でもこんな立派な経歴の持ち主であるに、よほど日陰が好きだったらしい(クロノスに食べられて長い間暗い胃の中で過ごしていたから、性格に陰を落としたのかもしれないが)。よって死者の国の王となった。


 ところがお似合いだ、ピッタリの適役と言われれば言われるほどに、日向が恋しくなるというもの。そのすでに叶えられない欲求は死者の国の経営にぶつけられるのだった。現状維持では物足りず、いつも領土拡大の執念に燃えていた。


 これだけを聞くとワンマン経営の暴君と思いきや、これがわりと幸せな様子だった。まさか亡者の悲痛な叫び声を聞きながら、悦入っているなんてことは無いと思うが…… 。


 ここで冥界の経営陣を紹介しましょう。
 魂を冥界の連れてくるのは、“軽薄兄ちゃん”こと泥棒の神ヘルメースの役目(営業スカウトといったところか)。入り口で怖い顔をしているのが三つ首のケルベロス。彼(たぶん牡だと思いますけど)は生ける者を冥界に入れず、死者を冥界から出さないという使命を担っている(まあ、警備員でしょ)。
 次に冥界の川を渡してくれるのは、渡し守のカローンだ(案内係というところか)。そして川を渡ると三人の裁判官が待っている(いわゆる重役)。


 一人目はミーノース。ポセイドーンに生け贄を捧げなかったばっかりに奥さんが牡牛と浮気してしまったと言う可哀想な人。彼はゼウスから法律を学んでいたため、死んでからここで働いているのだ。
 二人目は、ラダマンテュス。この人はミーノースの兄弟といわれている。ところが、かつてアポローンの息子の美少年ミレトス(!?)を奪い合って、兄弟喧嘩している(こんな人たちが裁判官で良いのだろうか?)。
 三人目は、高潔な男として有名なアイアコスだという。




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