「愛の女神に愛された箱入り息子」
アドーニス、愛の女神アプロディーテーに人生を翻弄された人。彼の両親は、フェニキアの王女ミュラとその父キニュラス(何ですと!)だった。
ミュラがアプロディーテーの祭礼を怠ったために、愛の女神は恐ろしくも忌まわしい罰を彼女に与えたのだ。
あのエロースを使って、父親を愛するように仕向けた。もちろん、これは禁断の愛―― 。激しい慕情にミュラは苦しんだ。
ミュラがアプロディーテーの祭礼を怠ったために、愛の女神は恐ろしくも忌まわしい罰を彼女に与えたのだ。
あのエロースを使って、父親を愛するように仕向けた。もちろん、これは禁断の愛―― 。激しい慕情にミュラは苦しんだ。
追い討ちをかけるように、アプロディーテーの罰は続く。
愛の女神は王キニュラスをだましてミュラの乳母に手引きされた婦人と共に一夜を過ごさせる。しかし、この婦人はミュラだったのだ。
キニュラスは、その婦人が娘とは知らずに…… 。そうしてミュラは、アドーニスを身ごもった。
自分の所業を知ったキニュラスは、ミュラを殺そうとするが、神々はミュラを木に変えて逃がしてやる。
やがて、その木にイノシシが衝突して、その裂け目からアドーニスが生まれたのだ(自然に樹皮が割れて生まれたという説もある)。
愛の女神は王キニュラスをだましてミュラの乳母に手引きされた婦人と共に一夜を過ごさせる。しかし、この婦人はミュラだったのだ。
キニュラスは、その婦人が娘とは知らずに…… 。そうしてミュラは、アドーニスを身ごもった。
自分の所業を知ったキニュラスは、ミュラを殺そうとするが、神々はミュラを木に変えて逃がしてやる。
やがて、その木にイノシシが衝突して、その裂け目からアドーニスが生まれたのだ(自然に樹皮が割れて生まれたという説もある)。
こうして生まれたアドーニスは、それはそれは美しい子供だった。なんたって“美少年”の代名詞―― 。アプロディーテーは一目で気に入ってしまった(やれやれ)。
彼女はアドーニスを箱に入れてペルセポネーに渡し、養育を頼んだ。
ところが、これがいけなかった。アドーニスのあまりの美しさにペルセポネーも魅入られてしまい、アプロディーテーに返そうとしなかったのだ。
激しい女の、じゃあなくて…… 女神たちの争いが始まる。これは怖い。愛の女神アプロディーテーと黄泉の国の女王ペルセポネーの争いだ。
見るに見かねたゼウスは、二人を仲裁する。判定によると、アドーニスは一年の三分の一ずつ、それぞれの女神と共に過ごし、残る三分の一を自由に過ごしていいとのこと。
彼女はアドーニスを箱に入れてペルセポネーに渡し、養育を頼んだ。
ところが、これがいけなかった。アドーニスのあまりの美しさにペルセポネーも魅入られてしまい、アプロディーテーに返そうとしなかったのだ。
激しい女の、じゃあなくて…… 女神たちの争いが始まる。これは怖い。愛の女神アプロディーテーと黄泉の国の女王ペルセポネーの争いだ。
見るに見かねたゼウスは、二人を仲裁する。判定によると、アドーニスは一年の三分の一ずつ、それぞれの女神と共に過ごし、残る三分の一を自由に過ごしていいとのこと。
アドーニスは自分の自由に任された期間もアプロディーテーと過ごしたそうな。そこのあなた、羨ましい? まあまあ、話はまだ続く。
アドーニスは狩猟が大好きだった。アプロディーテーが止めるのも聞かずに危険な狩猟をしつづけた彼は、ある日イノシシに襲われ、鋭い牙で突き殺されてしまう。アプロディーテーは悲嘆し、その傷から流れた血から、赤く綺麗なアネモネの花を咲かすようにしたのだった。
花は、今でも毎春、レバノン山の山腹を美しく覆っている。
花は、今でも毎春、レバノン山の山腹を美しく覆っている。
ちなみに件のイノシシ、誰かがアドーニスを亡きものにするために送られて来たとも言われている。
容疑者はアプロディーテーの夫ヘーパイストス、恋人のアレース、ふしだらな愛を嫌った純潔神アルテミスなどなど…… 。
容疑者はアプロディーテーの夫ヘーパイストス、恋人のアレース、ふしだらな愛を嫌った純潔神アルテミスなどなど…… 。
こうしてみると、アプロディーテーの愛を受けるだけで呪われていると言えるのかもしれないですねぇ。