たまたま書店の本棚から見つけた見出しの新書。「日米安保条約」ではなく、「日米地位協定」について書かれていました。一般的に日米の同盟関係を論ずるときは条約を考察するのでしょうが、「地位協定」に着目して戦後の在日米軍を取り巻く日米の思惑や時代背景が丁寧に表されています。
基地従業員として直接関わりのある雇用についての歴史的な変遷、その根拠も「地位協定」に基づいています。また、沖縄で特に目立つ「基地問題」の原因にもこの「協定」が大きく関わっています。
では、ということで著者がその協定の内容に触れているのか、というと実はそうではありません。驚いたことに協定の影に「合意議事録」の存在があり、実際の日米両政府の運営で、肝となるところは、それを根拠にされているということでした。これについては、私は全く知りませんでした。
全国の同業の方、自分が働いている在日米軍基地の成り立ち、労管では絶対説明しない基地従業員の歴史、お給料の仕組み、基地を取り巻く問題の本質がどこにあるかが書かれています。
日米地位協定|新書|中央公論新社 (chuko.co.jp)